緑内障の早期発見・治療のため
鍵となる精密検査と総合的な診断
もりた眼科クリニック
(府中市/府中駅)
最終更新日:2024/04/11
- 保険診療
視神経の障害により視野異常・視力低下が起こる緑内障。日本人における失明原因の第1位で、その割合は年を重ねるごとに増加し、40歳以上の日本人20人に1人が緑内障と推定されている。ほとんど自覚症状がないまま病気が進行していくのがこの病気の怖いところで、症状に気づいた時には既にかなり進んでいるケースが多いそうだ。中高年以降増える目の病気には白内障もあるが、白内障は手術をすれば視力の回復は期待できる。しかし緑内障で一度視神経障害を起こすと、二度と元の状態には戻らないのが現状だ。緑内障治療の鍵となる早期発見と早期治療に力を入れる「もりた眼科クリニック」森田哲也院長に、この病気の特徴や、同院が取り組む緑内障の専門診療について話を聞いた。
(取材日2017年3月15日)
目次
精密な検査機器を駆使して状態を数値化。自覚症状なく進行する緑内障を診断
- Q緑内障とは具体的にどんな病気なのでしょうか?
-
A
緑内障は目の神経(視神経)が障害されて視野が欠ける病気です。視野が狭くなり、視力が落ち、最悪の場合は失明に至ります。「急性緑内障」の場合は目が痛い、見えないなどの症状が出ますが、大多数は「慢性緑内障」です。自覚がほとんどなく、視野が半分ぐらい欠けてからでないと気がつきません。アレルギーやドライアイなど別の症状で受診されて、診察したら緑内障が発覚するというケースが多いです。ご家族が緑内障の方、「急性緑内障」は遠視が強い方、「慢性緑内障」は近視が強い方がかかりやすいため、注意が必要です。レーシックで近視を治療した方でも、視神経を治しているわけではないので病状が進行している場合があります。
- Q緑内障かどうかを調べるには、どのような検査が必要ですか?
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A
眼圧・眼底・視野検査のほかに、視神経や網膜を撮影するOCT(光干渉断層計)検査を行います。緑内障には眼圧が正常な「正常眼圧緑内障」もあり、神経の厚さを数値化するOCTは緑内障を早期発見するための大切なツール。OCTを使うと、視野の欠けや眼圧の上昇などの異常がなくとも、緑内障を発見できるのです。また、1分ほど画面を見ているだけのOCT検査は技術改革によって画像の解像度が良くなり、診断能力が上がりました。「前視野緑内障」と呼ばれる視野異常が出現する前段階での治療開始が検討されるなど、早期発見・早期治療がより重要となってきています。
- Qより正確な診断をするために大事なことは何ですか?
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A
近視の場合、視神経がさまざまな形状をしているため、緑内障による変化があるかどうかを判断するのは、緑内障を専門にしている医師でも難しいところです。また、視神経が障害される病気は緑内障だけではないので、検査結果だけに頼ると誤った診断にもなりかねません。ですから、検査結果と医師の経験値の双方をもとにした総合的な判断が重要となります。
- Q緑内障と診断された場合、治療にはどのような方法がありますか?
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A
目の圧がある限り視神経は圧迫され続けるので、緑内障の進行を完全に抑えるのは難しいです。少しでも視神経の負担を減らして病気の進行を遅らせるために、まずは眼圧を下げることをめざす点眼薬による治療を行います。眼圧の変動・視野異常のパターン・緑内障の危険因子・患者さんのライフスタイルを総合的に判断し、点眼薬を選択します。緑内障治療で重要なのは、毎日点眼を継続することです。視野異常の程度やパターンから患者さん一人ひとりに「目標眼圧」を設定し、きめ細かな緑内障管理を行います。視野が悪化した際は点眼の変更や追加をしながら経過をみますが、状況によってはレーザー治療や外科手術を行うこともあります。
- Qこちらの医院で受けられる緑内障検査について教えてください。
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A
眼圧と角膜には密接な関係があります。例えば、レーシック手術を受けると角膜が薄くなり眼圧が低く測定されるため、緑内障が見落とされがちです。また、正常眼圧緑内障と診断された人は病気発覚後も注意が必要で、一部の正常眼圧緑内障は角膜が薄いため、眼圧が低く測定されます。眼圧が低く測定されると正しい点眼治療が行われず視野が悪化し、手術に至るケースもあります。正確な検査に基づく緑内障診療をモットーとしている当院では、そうした緑内障患者さんの視野を守るため角膜の厚みを考慮して眼圧測定値を補正できる眼圧検査機器や、 視神経の状態が詳細にわかるOCTを完備し、より精密な緑内障判断・治療に努めております。