植野 映 院長、宮本 真実 先生、佐藤 愛佳 先生の独自取材記事
つくば国際ブレスト&レディースクリニック
(つくば市/つくば駅)
最終更新日:2024/09/10
「つくば国際ブレスト&レディースクリニック」は、筑波大学附属病院病院教授やつくばメディカルセンターで副院長兼ブレストセンター長をしていた植野映(えい)院長が自身の理想を具現化するべく開業したクリニックだ。今では婦人科の佐藤愛佳(まなか)先生や訪問診療担当の宮本真実先生らの医師やスタッフが集結し、幅広い女性の悩みに応え、地域医療に貢献するクリニックへと成長した。やわらかなトーンの院内はふんわりと優しい雰囲気で、植野院長の人柄が表れているよう。仲が良く思いやりにあふれる植野院長、宮本先生、佐藤先生の3人に話を聞いた。
(取材日2024年5月30日)
高い精度の乳がん検診をめざす
植野院長が理想とするクリニックとはどのような存在ですか?
【植野映院長】私がつくばメディカルセンターを定年退職する際、いろいろな医療機関からお誘いをいただきましたが、これまでの患者さんへの責任もありますし、当時このエリアに専門のクリニックが不足していたこと、素晴らしいタイミングで出資のお申し出があったことから、私の理想を実現するべく開業を決意しました。一番のこだわりは高度かつ精密な乳がんの診断と手術を提供する医療機関であることですが、術後の補助内分泌療法も専門的に行っています。また術後の局所再発や対側乳房の新規乳がんの早期発見に努めております。患者さまの待ち時間も短縮できるよう日々取り組んでおりますが、時にお待たせしてしまうこともあり、心苦しく感じております。働く医師やスタッフに関してはクリニックでも継続して研究活動ができること、子育てがしやすく家族を大切にできる職場環境の構築、検査の要である技師の養成などもめざしています。
とても小さい段階の乳がんの発見にも努められているそうですね。
【植野院長】早期発見には診断力が重要ですが、それには検査機器と技術力が必要です。当クリニックには私が開発から関わった乳房専門検査台、先進の超音波診断装置やマンモグラフィ撮影装置を導入しています。私が筑波大学在職時に乳がんの診断基準策定に関わった経緯もあって、海外で講演する機会もありました。しかし私だけでできることではありませんので、マンモグラフィや超音波画像の診断を得意とされる先生や、技術を磨いてきた技師の力も集結させて取り組んでいます。検診ではがんをできるだけ早期に発見することが肝心ですが、怪しいものをすべて拾うのはかえって弊害を生じることもあり過剰な診療につながります。悪性腫瘍を精度良く正確に診断することが大切です。がんの手術については、提携病院で時間が許される限り私が担当いたしております。
日々の診療で心がけていることはありますか?
【植野院長】正確な診断はもちろんですが、患者負担をできる限り軽減させた低侵襲の治療、丁寧な手術や美しい術後の出来栄え、痛みに配慮した診療なども心がけています。あとは患者さんとのコミュニケーションも大切にしており、医師・スタッフ・患者さんが互いに話しやすい雰囲気になれるよう気を配っています。なんとなく検診や診察にハードルを感じている患者さんもいらっしゃるかもしれませんが、マンモグラフィの撮影や乳房超音波検査は女性技師が担当します。医師は私をはじめ男性もおりますので、女性医師をご希望の場合はおっしゃってください。さらに手術後の治療は婦人科とも連携して、引き続き当クリニックで行うこともできますので、患者さんのご負担も減らせるかと思います。また治療のすべての過程をフォローしていて、緩和医療にも注力していますので、我慢せずなんでもおっしゃっていただければと思います。
自分らしく生きるために婦人科の活用を
4月から婦人科がフルオープンされたと聞いています。
【佐藤愛佳先生】婦人科の本格稼働に合わせ、2024年4月から私も常勤医となりました。乳がん検診と子宮がん検診を同日にできるのも当クリニックの特徴です。私はお子さん方の性教育にも力を入れておりまして、地域の小中学校、高校などで講演活動も行っているのですが、診療面でも地域に貢献したいという思いがあります。ですから今は、私が望んでいたスタイルに近づいている感じがしています。例えば、検診での来院は良い機会と考えて、日頃からお困りのことはないか併せてお尋ねするようにしているんです。月経は妊娠するために重要なものですが、必要以上に我慢することはないと思うんです。でも多くの女性は我慢するのが普通だと思っている。そんなところも気になっています。
どんな思いで日々の診療と向き合っておられますか?
【佐藤先生】例えば日本は低用量ピルの使用率は諸外国に比べて低いんです。医師がお勧めしたとしても、なんとなく体に悪い気がしてとイメージで抵抗感を示される方もおられる。私はもちろん無理に勧めることは絶対にしませんが、もっと正しい知識が常識として知られるといいなと思います。月経や妊娠はある程度コントロールを図れますし、そういった知識を持つ権利が女性にはあるはず。実は月経の回数が多いと子宮内膜症のリスクが上がるとされ、不妊症につながることもあります。もっと女性が自分らしく生きていく、そんなお手伝いができたらいいなと思います。
佐藤先生が婦人科の医師として思うことはありますか?
【佐藤先生】初潮の頃から婦人科が身近な存在になればいいですね。親にも言いにくい相談って、年頃になればあると思うんですよ。月経がきつくて学校に行くのもつらいとか、避妊について知りたいとか。そんな時もかかりつけの婦人科があれば、1人でもすぐ相談に行けますよね。もしものときもアフターピルなどの知識があれば、なおさら適切な対処ができると思います。私はそういったご相談があれば、自分の体のことを考えて来院してくれてありがとう、偉かったね、と言える医師でありたいと思っています。診察時も最初から内診に抵抗感のある方には行いませんし、エコーでおなかの中の様子を診ることもできます。問診だけでも大丈夫ですので希望をお聞かせください。
患者を最期までケアするべく訪問診療にも取り組む
訪問診療もご要望は多いのでしょうか?
【宮本真実先生】植野院長の、診断時から終末期まで一貫して患者さんに寄り添いたい、もっと地域に貢献したい、との思いから訪問診療が開始しました。ご要望があればがんでも他の疾患でも病態に関係なくお伺いします。中にはさまざまなご事情から何年何十年も医療から遠ざかっていた方もおられるはずです。そこに私たちが関わることでうまく医療につなげることができれば、と思っています。訪問診療は患者さんのもとへ伺うので、何よりもまず信頼関係を築くことを大切にしています。そしてこれまでの治療の経緯などとともに、患者さんの生活スタイルや生き方のようなもの、ご家族の思いなどもできるだけ理解したいと考えています。
診療のポリシーはありますか?
【宮本先生】私は緩和医療を専門としていましたので、可能な限りつらくないよう痛みを軽減できるよう、穏やかに過ごすお手伝いをしたいと思っています。そして私たちが、困ったときにいつでも頼ってもらえる患者さんやご家族にとって「お守り」のような存在になれたらうれしいですね。植野院長はさまざまな実績をお持ちの先生ですが、とても気さくでスタッフ思い。患者さんからも慕われていて、診療や患者さんに対する情熱がすごく熱いんです。そんな植野院長の思いは医師やスタッフにも浸透していて、私たちを頼って来てくださった方には丁寧に寄り添っていきたいというのは、全員の思いです。患者さんやご家族には遠慮なく何でもご相談いただきたいですね。
読者へのメッセージをお願いします。
【植野院長】検診で発見される乳がんの多くが無症状といわれます。ですから症状がなくても年1回程度の定期的な検診を受けることが大切なのです。その際はぜひ精度の高い画像診断を受けていただきたいですね。お勧めはマンモグラフィと超音波の併用検診。また若い方であっても、日頃から乳房の状態を意識する生活習慣であるブレスト・アウェアネスを心がけ、少しでも違和感や不安を感じたら専門のクリニックを受診するようにしましょう。
【宮本先生】当クリニックは「がん難民を決して出さない」ことも使命にしています。乳がんと診断された場合はもちろんのこと、乳がん術後の転居や主治医の転勤などで「迷子」になってしまった方も、引き続き診療いたしますので、気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは乳がん検診/マンモグラフィ:6600円~、超音波検査:8800円~、マンモグラフィ・超音波検査併用:1万5400円~、子宮がん検診/子宮頸がん検診:4400円、子宮体がん検診:5500円、ピル/避妊ピル:2500円、アフターピル:8200円、婦人科総合検診/8000円~3万9000円