健診で肝臓の数値に異常が出たら
早めに診てもらいたい肝臓疾患
やまうち消化器内科クリニック
(名古屋市中区/栄駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
健診を受けたら肝臓の数値に異常が見られたが、忙しいからまだ精密検査を受けていない。けれど気になっている。そんな人は意外と多いのではないだろうか。肝臓の疾患には、B型・C型のウイルス性肝炎や、脂肪肝などが挙げられる。肝臓はもともと再生能力が高く、手術で一部分を切除をしても、回復が見込まれる臓器なのだそうだ。ただし、適切な治療を受けないで放置しておくと、肝硬変や肝臓がんなど、重篤な病気への悪化が懸念される。自覚症状がほとんどないこれらの病気を早期に発見するためには、定期健診を受け、異常が見られたらすぐに専門医に診てもらうことが一番なのだと院長の山内学先生は言う。現代に生きる私たちが覚えておきたい病気のひとつとして、肝臓に関する疾患について聞いた。
(取材日2016年10月17日)
目次
自覚症状がない肝臓疾患。健診で早めに知ることが大切
- Q肝臓の検査は、どのように行うのでしょうか?
-
A
健診で肝機能の数値が悪く、当院を受診される方がほとんどですので、まずは当院でも再び血液検査を行い、その後はエコーを使った診断や、CTやMRIなどの画像検査もします。肝機能の数値が高い原因が何かを解明していくためです。そこで病名がわかり、それにあった治療をしていきます。ウイルス肝炎は発がんリスクが高いので、調べる項目としては必須ですね。
- Q肝臓の病気にはどのようなものがありますか?
-
A
中でも多いのは脂肪肝ですね。B型・C型肝炎という、肝臓がんになりやすい病気が今まで注目されていました。現代においては、肥満の方が増えているのに比例して、脂肪肝の患者が増えてきています。肝臓に脂肪が高度についていても、肝機能が正常な方も見えるので要注意です。一般に過剰なエネルギーを取ると、肝臓に脂肪が沈着し、肝細胞自体にダメージを与えてしまうと、さまざまな肝機能障害をもたらします。
- Qゆくゆくはどうなってしまうのでしょうか?
-
A
脂肪肝だからと軽く見てそのままにしておくと、脂肪肝炎の場合は炎症が続くと肝硬変や肝臓がんへと進行することがあります。肝硬変とは、文字通り肝臓が硬くなってしまう病気です。硬くなるにつれて、肝臓の機能もだんだんなくなっていきます。そのうちに肝硬変の中に肝臓がんができてくるのです。
- Q予防法はあるのでしょうか?
-
A
これはもう、食生活の改善に限りますね。脂肪肝だけを治す薬というものがないので、摂取カロリーを気にしたり、運動をして脂肪を蓄積させないようにしていただきたいです。肝臓の病気と聞くと、お酒を飲む人だけと思われがちですが、そんなことはありません。意外と女性にも多い病気です。あとはまめに健診を受けていただいて、早期に肝機能異常を発見することです。痩せて終わりではなく、一度脂肪肝の診断を受けた方は、その後の経過も定期的に診てもらうとよいでしょう。
- Qウイルス肝炎についても詳しく教えてください。
-
A
ウイルス肝炎には、A型からE型まであり、肝がんに進行するB型とC型が重要です。B型肝炎は、ワクチンの導入や輸血のチェックなどにより、母子感染や輸血時感染はほぼ予防されていますが、性交渉などによる感染は続いています。このため最近日本でも乳児へのワクチン接種が始まりました。またB型肝炎は内服薬で肝がんへの進行を抑えることができるようになってきました。一方C型肝炎は、今では副作用の少ない薬も開発され、内服薬で治せる時代となりました。肝臓がんの原因のほとんどが、B型・C型肝炎であることから、現在の日本では率先して肝炎ウイルスの検査(無料)を受けるよう呼びかけています。