十分な理解のもと「産む」感覚も実感できる
無痛分娩
等々力産婦人科
(世田谷区/尾山台駅)
最終更新日:2021/10/12
出産を考える女性であれば誰しも、「できるだけ痛みのない、楽なお産がしたい」と望むことだろう。その選択肢の一つに挙げられるのが、麻酔を用いて出産時の痛みをコントロールする無痛分娩だ。本当に痛みはないのか、だれでも選択できるのか、麻酔の方法やリスク、出産時の感覚など気になる点について、初産婦の約65%、経産婦の約50%が無痛分娩で出産するという「等々力産婦人科」の鈴木啓太郎院長に詳しく伺った。
(取材日2015年9月9日)
目次
無痛分娩の選択には妊婦自身の正しい認識と理解が不可欠。熟練の痛みコントロールで「産んだ」感覚も実感
- Q無痛分娩はどのような方に向いていますか?
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A
お産に対して恐怖心が強かったり、緊張しやすい方にお勧めします。麻酔の効果で筋肉が弛緩し、お産の進行が良くなる効果も期待できます。また麻酔には血圧を下げる効果もあるので、出産時の血圧上昇予防の意味も兼ね、少し高血圧気味の方にも向いているといえるでしょう。さらに、出産時に体力を消耗しないため、産後回復が圧倒的に早いのも大きなメリットの1つ。「職場復帰を早くしたい」「育児に専念したい」とお考えの方は選択肢の1つとして検討されることをお勧めします。血液凝固異常のある方は、麻酔の処置の際、リスクを伴う可能性があるため無痛分娩には適しません。極度の肥満や42歳以上の初産婦の方はハイリスク妊娠とみなし、当院では大きな病院をご紹介しています。
- Q無痛分娩時の麻酔の方法やリスクについて教えてください。
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A
麻酔は、背中から脊髄の手前にある硬膜外腔という隙間に細いチューブを挿入して麻酔薬を注入する硬膜外麻酔法を用います。初産婦の方は陣痛が来てから入院し処置を始めますが、経産婦の方はお産の進みが早く無痛の効果が間に合わないこともあるので、計画的に分娩を誘発します。予定前に陣痛が来た場合も、極力、対応しています。リスクは低血圧や無痛効果が高すぎることによる分娩遷延、発熱や頭痛、下肢のしびれなど。いずれも起こることはまれで、万が一、発生時には迅速かつ適切に対処しています。背中からチューブを入れることに恐怖心を持つ方もいますが、姿勢を正しく動かずにいていただければ5分とかからない処置です。逐一、お声かけしながら処置を行いますので、ご安心ください。
- Q無痛分娩は出産時もまったく痛みを感じないのですか?
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A
いろいろな考え方がありますが、当院では、陣痛開始から子宮口全開になるまでの分娩第一期の間は極力痛みを取り、子宮口全開から娩出までの分娩第二期では、妊婦さんがいきめるだけの力を発揮できるよう、麻酔の量を調整しています。やはり妊婦さんがいきまなければお産は進みませんし、「産まされた」ではなく「産んだ」という感覚を大事にしていただきたいですから。人によって痛みの感じ方が違うため、経験によるところが大きいのですが、一番痛い時を10とするなら、だいたい2か3程度の生理痛のような痛みにコントロール。しっかりといきんでいただく時間は、経産婦さんで1時間、初産婦さんで長くて2時間ほどが一般的です。
- Q出産のどのくらい前までに無痛分娩を決めなければならないのでしょう?
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A
クリニックによっては分娩予約段階で自然分娩か無痛分娩か選択しなければならないところもありますが、私がもっとも大事にしているのは、無痛分娩のメリットデメリットを十分に理解した上で、妊婦さんご自身に選択していただくということ。ですから当院では、まず普通に出産予約だけをいただき、定期的な妊婦健診を通して信頼関係を構築。さらに、妊娠16〜26週に行うマタニティクラスを受講し、無痛分娩に関する説明をじっくり聞いてご自身で判断できるだけの知識を持ってから決めていただくようにしています。26週目までに決める方がほとんどですが、中には34週目くらいまで迷われる方も。基本的には、事前予約を受けて同意書をかわし、事前検査を経て出産に臨むことになりますが、自然分娩を希望しながら陣痛が来て急に「やはり無痛に」という方もいらっしゃいます。少しコストはかかりますが、そういった突然のリクエストにも極力お応えしていきたいと思っています。
- Q無痛分娩を選択した場合、費用はどのくらいかかりますか?
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A
出産は同じ妊婦さんでもそのたびに何が起こるかわからず、自然分娩を希望しながら吸引分娩や帝王切開になったり、赤ちゃんに緊急の処置が必要になるなど、状況に応じて費用も変わります。ですから、おおよその目安となりますが、当院では、自然分娩の場合、経産婦さんで75万円〜、初産婦さんは80万円〜。無痛分娩の場合は、そこに12〜15万円が加算されますので、経産婦で90万円〜、初産婦は95万円〜となります。