入院なしで受けられる
低侵襲の前立腺肥大症レーザー手術
かとう腎・泌尿器科クリニック
(平塚市/平塚駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
男性の泌尿器疾患の中で患者数が最も多いといわれる前立腺肥大症は、残尿感や頻尿などさまざまな排尿障害を引き起こす泌尿器疾患の一つだ。手術で治したいと思っても入院や体への負担が心配で、このまま我慢しようと考えている人も少なくないという。「かとう腎・泌尿器科クリニック」の加藤忍院長は、「前立腺肥大症の手術は、近年出血の少ない低侵襲のレーザー手術が主流となっています。しかも入院することなく日帰りで受けられます」と話す。内視鏡下手術やレーザーを使った手術を数多く手がけ、早くから、ホルミニウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)や接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)を用いた日帰りのレーザー手術に取り組んできた加藤院長に、前立腺肥大症の治療法や手術の流れについて話を聞いた。
(取材日2021年2月19日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q前立腺肥大症とはどんな病気ですか?
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A
男性生殖器の一つである前立腺が加齢とともに大きくなる疾患です。80歳ではおよそ80%の人が前立腺肥大症を発症していて、そのうち25%の人に症状が見られます。前立腺は通常クルミくらいの大きさですが、肥大するにつれて尿道や膀胱が圧迫され、尿の出が悪い、残尿感、頻尿、突然我慢できない尿意に襲われる尿意切迫感といったさまざまな排尿障害が出てきます。発症の原因は男性ホルモンとの関連性が指摘されていますが、まだすべてはっきりとは解明されていません。また、前立腺肥大症は良性の疾患で、進行しても前立腺がんに変化することはないとされていますが、前立腺がんが原因で他の排尿障害を引き起こすケースもあります。
- Qどのような治療が行われますか?
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A
軽症の場合は薬物療法を行います。薬には、前立腺や尿道の筋肉を緩める作用が見込めるα1遮断薬、前立腺を縮小させる目的の5α還元酵素阻害薬など複数の種類があり、症状に応じて薬を選びます。薬物療法で効果が得られない場合や薬物療法が受けられない場合は手術を行います。手術にはレーザーによって前立腺を消失させる接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)、レーザーによって前立腺をくり抜くホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)、肥大した前立腺を電気メスで取り除く前立腺切除術(TUR-P)があります。レーザーを用いた治療はTUR-Pと比べると出血が少ない低侵襲の手術であることから、当院では日帰りで行っています。
- Q入院なしで手術を受けられるメリットを教えてください。
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A
レーザーによる手術は体への負担が少なく、日帰りで行える優れた手術だと思います。患者さんも入院時のストレスが軽減でき、時間的余裕のない人でも手術が受けられます。また経済的な面でもメリットがあるでしょう。ただ、日帰りで手術を行うには、先進のレーザー機器が導入されていること、執刀する医師も、内視鏡手術の豊富な経験や高い技術を有していることが重要です。さらに麻酔科医による専門的な管理および手術後のきめ細かいフォローも欠かせません。当院では、手術前には必ず麻酔科の医師による専門的な全身評価を行い、術後は、患者さんに私の携帯番号をお知らせして、何かあった場合にもすぐに対応できるようにしています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1診察と検査
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前立腺肥大症の進行程度について診察および検査で診断。検査は国際前立腺症状スコア(IPSS)を用いた自覚症状の評価、直腸内指診、尿検査、尿流測定、超音波による残尿検査、前立腺超音波検査、前立腺がんのスクリーニング検査としてPSA測定などを行う。検査の結果、手術が必要となったら、別の日に手術前説明日を設けて、手術に関する説明を行う。
- 2手術前の説明と麻酔科の医師による術前検査
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手術前の説明日には手術内容についての説明が医師からあり、その後、術前検査へ。採血、エックス線検査、心電図、呼吸器機能検査などを行って、麻酔科の術前診察を受け、安全に手術を実施するための管理体制を整える。
- 3レーザー手術
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患者の年齢や合併症の有無など、一人ひとりの状態に即してテーラーメイドのレーザー手術を実施。同院ではホルミウムレーザーによる核出術とさらに低侵襲なダイオードレーザーを使用した蒸散術を行っている。手術時間は1時間から1時間半。前立腺を除去した部分の安静を保つため、尿道留置カテーテルを挿入して手術は終了。術後はリカバリームールで5時間程度休憩。麻酔がしっかり切れたら帰宅できる。
- 4手術の翌日に受診
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手術の翌日に受診し、カテーテルを抜去。また、貧血や炎症の有無を確認する血液検査や抗生物質の点滴も行う。
- 5手術1週間後に受診
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手術後1週間後に診察。尿検査や尿流量検査などで排尿の状態や合併症の有無などを確認する。その後は1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後と定期検診を行う。