歯科金属アレルギーには
原因を突き止め排除する歯科治療を
なかの歯科クリニック
(大阪市住吉区/あびこ駅)
最終更新日:2023/06/07


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長引く口内炎や口角炎、頬の粘膜や舌が白くなる口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)などの口中に出る症状は、歯科金属アレルギーの症状である可能性があるという。歯科金属アレルギーの症状は、口の中だけでなく、湿疹や痒疹など体の症状として現れることもあり、アクセサリーをつけることで起きる金属アレルギーと見分けることが、難しいともいわれている。そんな歯科金属アレルギーに注目しているのが「なかの歯科クリニック」の中埜健太郎院長。「皮膚科でパッチテストを受けてもらい、アレルゲンの金属を使わない修復物を使った治療を行います」と話す中埜院長に、歯科金属アレルギーの意外な原因からアレルギーと体の関係までを詳しく聞いた。
(取材日2023年4月18日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q金属アレルギーの原因となる金属は食べ物にも含まれているとか。
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A
チョコレートや大豆、お茶、コーヒー、海藻、魚介類にはニッケルが含まれています。マグロには水銀が入っているため、妊婦さんは食べすぎないほうがいいなどといわれています。金属アレルギーというのは、普段身につけるアクセサリーによるものもありますが、食べ物からも摂取しているということです。食べ物の場合、唾液の質が酸性かアルカリ性かで、体に取り込まれる量が大きく異なります。アルカリ性のほうが、金属が溶けにくいですし、歯科的に見ても虫歯や歯周病になりにくいですね。人の体の細胞は半年程度で入れ替わるといわれますから、普段から食べる物や食べ方に気をつけて生活されると良いと思います。
- Q金属アレルギーの人が、銀歯を入れても大丈夫なのでしょうか?
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A
アクセサリーなどに使われている金属と、歯科で使う銀歯は金属の種類が違うので、金属アレルギーの人が必ずしも銀歯や歯科治療で使う金属でアレルギーを起こすとは限りません。また、アレルギー反応が出るかどうかは、体質やその時の体調によっても変わります。体質的に解毒能力が高い人もいますし、口の中に金属を入れてすぐは大丈夫だったけれど、だんだんと口の中で金属が溶けて体に取り込まれて、数年後に症状が出る、ということもあります。花粉症と同じような反応ですね。そのため、歯科金属アレルギーの可能性のある方や心配とおっしゃる方には、まず皮膚科でパッチテストを受けていただくことをお勧めしています。
- Q保険診療でも対応可能なのですか?
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A
昔は保険診療内だと金銀パラジウム合金が一般的で、それ以外の素材を使う場合はほぼすべて自由診療でしたが、最近ではチタンのかぶせ物や、プラスチックの詰め物、かぶせ物も保険診療の範囲で対応ができるようになりました。強度が必要な奥歯の治療も、チタンのクラウンが使えますし、保険でできる治療の幅がかなり広がっています。チタンは整形外科で折れた骨をつなぐプレートとして使用されたり、歯科ではインプラントで骨に埋入物として使われたり、体との親和性に優れた金属で、歯科金属アレルギーが心配な方もお使いいただける素材です。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診。過去の治療歴と現状のチェック
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金属アレルギーと歯科金属アレルギーの違いを知らない人もいるため、まずは問診で、どちらに該当しそうか見当をつけていく。症状や考えられる原因について質問し、「ピアスで耳がかぶれた」「ネックレスの痕が首についた」と答える人は、金属アレルギーである可能性が高い。「アクセサリーを外すと症状が治まるのであれば、歯科金属アレルギーの可能性は低いです」と中埜院長。皮膚科受診の有無も確認する。
- 2口腔内検査
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口腔内の金属の有無は、エックス線検査で確認。外から見えない歯の内部で使われた金属もエックス線には写るため、視覚的にも理解しやすい。また、最近治療を終えた人は、銀色の詰め物やかぶせ物であってもチタン製のことがあり、その場合は歯科金属アレルギーである可能性は低いのだそう。このほか歯科金属アレルギーに似た症状には歯の根が膿んでしまう根尖病巣(こんせんびょうそう)もあり、この場合は根管治療が必要となる。
- 3皮膚科で金属アレルギーの検査を受ける
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具体的にどんな種類の金属にアレルギー反応を示すかは、歯科医院では検査ができないため、皮膚科や病院の歯科口腔外科の受診を勧めている。検査方法は、肌に数種類のアレルゲンのシートを貼って皮膚反応を調べるパッチテストを行い、どの金属に反応しているのかを調べることができる。単なる皮膚疾患である場合もあるので、皮膚科での処置で改善が期待できるケースもある。
- 4治療開始
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パッチテストで歯科金属アレルギーと診断されたら歯科医院を再受診。問題となる金属の修復物を外したり、アレルギーの心配のない素材に交換したりといった治療を行う。「免疫力が低下すると、歯科金属アレルギーだけでなく、さまざまな口腔トラブルを誘引しますから、日々の食事や生活習慣に目を向けることも大事です」と中埜院長。同院では、口腔だけでなく体の健康もトータルにサポートするため食事のアドバイスも行っている。
- 5定期メンテナンス
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口腔内を清潔にすることがすべての予防につながるため、まずは毎日の歯磨きをきちんと行うことが大切。その上で、歯科へ定期的なメンテナンスに通い、セルフケアで取り切れない歯石などのケアを行っていく。「口の中が汚れていると金属が劣化しやすく、溶け出しやすくなります」と院長。どんな人もどんな症状も、口の中を清潔に整えることが大切だという。「口や体の中をアルカリ性に保つ食事も心がけてもらいたいですね」と院長。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックを用いた治療/6万6000円~