触診や検査で血栓リスク防止を
処方量にもこだわる低用量ピル治療
北中レディースクリニック
(大阪市北区/西梅田駅)
最終更新日:2024/10/02
- 保険診療
若い女性を中心に服用する人が増えている「低用量ピル」。服用することによってホルモンバランスを整えることにつながり、月経に伴う耐え難い痛みといった月経困難症の改善が期待できる。女性にとっては人生を楽しむためのサポートをしてくれる薬剤とも言えるが、反面で血栓症など重篤な副作用も懸念されている。「血栓症のリスクが高くなる50歳以上の方や35歳以上の喫煙者の方は処方をお断りしています。」と徹底したリスク管理を行う、「北中レディースクリニック」では検査・診断に重点を置き、10種類の低用量ピルの中から患者の体に合わせた薬剤を提案することで、安全性に配慮した処方を心がけているという。「正しくピルを活用してほしい」と考える北中孝司院長に詳しい話を聞いた。
(取材日2024年7月12日)
目次
もう痛みを我慢する必要はない。低用量ピルを活用して公私ともに充実した毎日を
- Q低用量ピルについて先生のお考えをお聞かせください。
-
A
月経困難症のために低用量ピルが使用されるようになったのはここ15年ほどのことです。私は、生理に伴う痛みや不調に悩む患者さんには低用量ピルの服用をお勧めしていますが、きちんと検査を行った上でまずは超低用量ピルの処方から始めるようにしています。なぜなら、低用量ピルにはごくまれといえど重篤な副作用を起こす可能性があるからです。医師の説明をよく聞いて、副作用のリスクも考えて正しく安全に活用していただければと思います。
- Q先生は特に血栓のリスクに注意して処方されているそうですね。
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A
低用量ピルの副作用で代表的なものが、血管内で血液が固まり詰まる「血栓症」です。私はかつてこの副作用が出た方を担当したことがあり、その怖さは熟知しています。ですから当院では、低用量ピルの処方を希望される方には血栓症を調べる血液検査、毎回の血圧測定など、必要に応じ検査を入念に行います。また血栓のリスクが高くなる高血圧や片頭痛などの方へは、事前に問診を行い、処方可能かどうかの判断をしています。中でも、血栓の初期症状が出やすいふくらはぎの触診は欠かせません。ふくらはぎに痛みやむくみがある場合や、その他の検査結果によってはピルの中止なども視野に入れながら、慎重に処方しています。
- Qだからこそ一度の処方量にもこだわっておられるのですね。
-
A
処方開始から6ヵ月間は血栓症のリスクが高いため、検査で異常がなくとも1ヵ月分ずつの処方を基本としています。6ヵ月経過して問題がなければ、患者さんの希望に合わせてそこからは3ヵ月分ずつ処方しますが、定期的な血液検査や足の触診などの診察は継続的に必要であると考えて行っています。とはいえ、患者さんの中には仕事で多忙な方も多いため、1回に1ヵ月分以上処方してほしいという声も少なくありません。そうした場合は、リスクの説明を行ってきちんと注意喚起した上で、患者さんの事情や気持ちに寄り添う形で希望に沿った処方を行います。
- Qピルを服用することで他に起こる副作用、注意点はありますか?
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A
よく見られるのは、吐き気や不正出血といった副作用。服薬でこうした副作用が見られる場合は、患者さんのお話を聞いた上で10種類ほどある低用量ピルの中から、より体質に合う薬に変更していきます。また慢性的な頭痛、高血圧、子宮体がんなどを患っている方は副作用が出やすくなることがあるため、漢方薬や鎮痛剤の併用や、先に頭痛の外来への受診をお勧めするなどの工夫をすることもあります。なお当院では、初めてピルを服用する患者さんには、体への負担が少なく費用も抑えやすい超低用量ピルから処方して、患者さんの様子や体質を見ながら低用量ピルに変えていくことで、副作用を含む悩みの軽減にも努めています。
- Qピルを希望する患者さんへメッセージをお願いします。
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A
低用量ピルは、月経困難症の治療を目的とする場合は保険が適用されます。10種類の中から体質に合うピルが見つかれば、快適な日常を過ごすためにぜひ活用していただきたいと思っています。基本的にはどなたでも気軽に服用できる薬ですが、先にお話しした血栓症のリスクなどの副作用のことをきちんと知った上で服用を始めてください。低用量ピルは毎日1錠、同じ時間に飲む必要がありますが、うっかり忘れたら気づいた時点で服用し、丸一日気づかなかった場合は翌日に2回服用することで予定どおり治療を進められます。