北中 孝司 院長の独自取材記事
北中レディースクリニック
(大阪市北区/西梅田駅)
最終更新日:2024/10/02
西梅田駅から徒歩1分、優雅な雰囲気が漂うヒルトンプラザウエストの4階に位置する「北中レディースクリニック」は産婦人科・内科を標榜するクリニックだ。院長の北中孝司先生は1979年に大阪市立大学医学部を卒業後、大学病院や総合病院などで産婦人科の医師として、周産期医療や婦人科疾患の診療に尽力してきた。2012年に同院を開業以来、自身の知識や経験を生かした診療はもちろんのこと、日々進歩する医療を常に取り入れながら、地域の患者の健康を支えてきた。「診療中は黙って熟考するので愛想がない、何を考えているのかわからない、と言われることもありますが、とにかく患者さんの症状をどうにかしたいということだけを考えて診療にあたっています」と語る北中院長に同院開業の経緯や診療にかける想い、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2022年8月10日)
通いやすく安心感のあるクリニックをめざして
まずは開業に至った経緯について教えてください。
大学病院での診療を中心に行ってきましたが、周囲の方から勧められたことがきっかけで開業しました。こうしてさまざまな駅から近く、患者さんにも通っていただきやすい場所で開業できたのは幸運だったと思っています。患者さんの年齢層は幅広く、10歳代から70歳代くらいまでの方がお越しになります。標榜科としては産婦人科と内科ですが、今はほとんどの患者さんが産婦人科の内容で受診されていますね。妊娠中の方や妊娠を考えている方、婦人科系の疾患や産後うつ、更年期障害にお悩みの方など、いろいろな方がいらっしゃいます。また私自身留学経験があり、英語でのコミュニケーションが可能なので、日本語が話せない患者さんも多いです。あとは乳児や成人のワクチン接種も行っています。今年で開業から10年を迎えますが、これからも全力で一人ひとりの患者さんに向き合っていきたいですね。
幅広い診療を行っているのですね。
そうですね。私は妊娠から出産前後の周産期まで広くサポートしています。産婦人科のさまざまな診療に携わってきましたから、女性のさまざまなお悩みについて、どんなことでもひとまず相談していただけるようなクリニックをめざしています。妊娠中の方に関しては産院と連携を取りながら診療を行っています。診療時のパートナーの方の同席も大歓迎ですよ。特徴的なのは思春期の方、更年期の方、精神的な不安が大きい方にも門戸を開いていることでしょうか。特に精神的な症状が強い方の場合、いきなり精神科を受診するのはハードルが高いと感じる方も少なくないようです。私が話を聞くことで安心してくださる方もいますし、必要に応じて漢方薬などの処方も検討します。また、時にはより適した医療機関に紹介することもあります。
スタッフ構成や診療体制について教えてください。
医師は私1人で、そのほかに受付や看護師がそれぞれ2〜3人ずつ勤務しています。皆仲良く明るい雰囲気で、新型コロナウイルス感染症が流行する前はよく食事にも行っていました。私から何か指導したりすることはあまりありませんが、スタッフがそれぞれ自主性を持って働いてくれているので頼りにしています。スタッフ同士でこまめにミーティングも行ってくれていて、患者さんが安心して通い続けられるようなクリニックづくりに貢献してくれていると思います。当院は患者さんの数が多く、月曜から土曜は夜19時まで受付しているので、スタッフが私の忙しそうな姿を見て心配してくれることもあります。診療は医師にしかできないことなので、スタッフにはそれ以外の部分でサポートしてもらっていますね。
異常を速やかに発見して信頼できる医師へ紹介
先生が診療において大切にしていることを教えてください。
一番は病気や異常の早期発見ですね。妊娠中の方の場合には、お母さん、赤ちゃん両方の健康状態を確認し、万一赤ちゃんに異常が見つかれば、私自身が安心して任せられる医療機関へと紹介します。婦人科疾患も同様です。女性特有のがんである子宮頸がん、子宮体がん、乳がん、卵巣がんなどは早期発見できれば治癒も見込めますから、いつでも「絶対に異常を見落とさないぞ」という想いで診療にあたっています。がん検診に関しては、新型コロナウイルス感染症の流行とともに受診を控える人が増え、一時は心配しましたが、近年はまた受診する方が増えてきたので少しホッとしています。
医師としてご自身で自覚されているこだわりは、どのようなところにありますか?
一つは、患者さんの症状に悩むことが多いということです。例えばかゆみの症状を訴えている方に対して、「かゆみだけでそんなに熟考する?」と思われるくらい治療を検討することもあります。病気の大小にかかわらず、しっかり原因や治療を考えることを大切にしているのです。次に、不要な検査をしないということ。検査数が増えれば経営的には潤いますが、患者さんにとって負担になってしまいますから。ある検査で原因が究明できなければすぐに次の一手を考えるということにも努めています。3つ目は、薬の処方に関してです。今はオンライン診療もあり、一例として保険適用の低用量ピルなどは処方のハードルが低くなっています。しかし低用量ピルには、血栓症のリスクを高める副作用がありますから、当院ではむやみに大量のピルを処方することはしません。状況によっては患者さんの希望に合わせることもありますが、基本的にはリスクを鑑みて薬の処方をします。
医師同士のネットワークを大切にしているとも伺いました。
はい。「自分が診療した患者さんを自分が信頼できる医師に任せたい」という想いから、さまざまな診療科の尊敬できる医師とつながることを心がけていますね。患者さんが遠回りすることなく、適切な医療を受けられるようにすることが私の使命だと思っていますので、私自身の中で「この病態ならこの先生にお任せしよう」というのがある程度決まっているんです。しかし長年医師をしていると、年齢とともに信頼できる同僚や先輩方もどんどん引退していってしまいます。そこで最近は同僚や先輩の後輩にあたる医師を紹介してもらうなど、自分より若い先生方とのネットワークづくりにも力を入れていますね。
自分が信じる「まっとうな医療」を届けたい
医師として常に心がけていることは何でしょうか。
私の思う「まっとうな医療」をしていくことですね。そのためにも最新の医療を常に学び続けていきたいと思っています。開業医になると、大学病院や総合病院の医師とは環境が異なり、知識を得るために自主的に勉強会へ出席する、勉強するなど積極的な行動が必要となります。医療の進歩はとても目覚ましいので、開業後もその波に乗り遅れないよう、常にアンテナを高くして医学を学んでいます。やはり、患者さんにとってベストな治療方法を提案するためには、自身が常に勉強し続けることは大切だと思っています。
先生が医療に情熱を注ぎ続けるモチベーションを教えてください。
一番はこれまで多くの患者さんの命を救ってきたという自負と、これからも患者さんの命を救っていきたいという想いですね。私が今こうして医師をできているのは、これまでにさまざまな患者さんに出会い、診療をしてきた経験があるからだと思っています。あとは大学病院で指導していただいたたくさんの先輩医師にも感謝していますね。かなり厳しく指導されてきたので、当時は苦しいこともありましたが、あの頃の経験があったおかげで今の私の医療があります。そして今まで助けてくださった方々のおかげで、実りある医師人生を歩むことができ、感謝していますね。
最後に、患者さんへのメッセージをお願いいたします。
私は診察中に黙って熟考することがあるので、「愛想がない、何を考えているのかわからない」と思われる患者さんもいらっしゃることでしょう。不安にさせるのは良くないことですが、医療をサービスと考えておらず、とにかく患者さんの症状をどうにかしたいということだけを考えて診療していることを知っていただけたらと思います。今後も開業当初から変わらず、自分の思い描く「まっとうな医療」を胸に、自分の実力が発揮できればいいと思っています。「婦人科に来るのが楽しみだ」という患者さんは恐らく少ないでしょう。しかし私は一人ひとりの患者さんと真剣に向き合い、患者さんが「相談して良かった」「受診して良かった」と笑顔で帰ってくださるようなクリニックにしたいと思っています。どんなことでもお気軽にご相談いただきたいですね。