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樋上 茂 院長、樋上 弓子 副院長の独自取材記事

ひがみ耳鼻いんこう科・いびき睡眠クリニック

(西伯郡日吉津村/伯耆大山駅)

最終更新日:2022/09/13

樋上茂院長、樋上弓子副院長 ひがみ耳鼻いんこう科・いびき睡眠クリニック main

鳥取県西部に位置し、米子市に囲まれた県内唯一の村、日吉津村。この地で2011年に開業した「ひがみ耳鼻いんこう科・いびき睡眠クリニック」は、院名のとおり耳鼻咽喉科に加え、いびきや睡眠時無呼吸症候群など睡眠障害の診療に力を入れている。院長の樋上茂先生、副院長の樋上弓子先生は夫婦で、ともに鳥取大学医学部出身。カナダの専門施設に留学し2人で習得したノウハウを生かして、睡眠障害に悩む患者の診療にあたっている。さまざまな睡眠のトラブルや病気を解消することで地域の健康に貢献したいと語る、実直な人柄の茂院長と快活で話しやすい雰囲気の弓子副院長。絶妙なバランスが印象的な2人にたっぷりと話を聞いた。

(取材日2022年7月19日)

多くの患者が通いやすい場所と診療時間を考慮し開業

睡眠障害を専門にした理由をお聞かせください。

樋上茂院長、樋上弓子副院長 ひがみ耳鼻いんこう科・いびき睡眠クリニック1

【茂院長】鳥取大学医学部附属病院で睡眠時無呼吸症候群(SAS)を診療していたのですが、当時はSASを診療している施設があまりなく、遠方から来られる患者さんも多かったんです。毎日診療していたことでさまざまな症例を診ることができ、大きな経験になったのが専門として取り組むようになったきっかけです。ですが、過眠症を疑うケースや、CPAP(持続陽圧呼吸療法)の効果が少ない例などわからないことが多く、独学での診療に次第に限界を感じるようになりました。そんな時、カナダのマニトバ大学睡眠障害センターに夫婦で留学できる機会に恵まれ、PSG(終夜睡眠ポリグラフ検査)、MSLT(反復睡眠潜時検査)などの睡眠検査やSAS治療のためのCPAP圧の調整技術、睡眠障害の実地診療など先進的な技術や知識を吸収できたことで、日本では数少ない睡眠障害に特化したクリニックとして開業しました。

長年の大学病院勤務から開業に踏み切ったのはなぜですか?

【茂院長】大学病院の外来では、SASの患者さんの通院は多くて週2回ぐらいしか受け入れられず、昼間働いている方は仕事を休んで来なければなりません。患者さんのニーズに僕が合わせたいと思い、開業を決めました。当クリニックでは、平日の月・水・金は午後7時まで診療し、日曜診療も取り入れています。日吉津村で開業したのは、米子エリアでは東部に耳鼻科が少なく、この辺りは新興住宅地で子どもが多いので耳鼻科が必要だったことが一つ。あと、睡眠障害の専門クリニックは中国・四国地方では珍しく、遠方からの受診も予想されたので、高速道路のインターチェンジから近い上に周囲の交通量が少なく睡眠検査のための静かな環境が整っているこの地が最適と考えて選びました。

院長、副院長はお互いを医師としてどう見ていますか?

樋上茂院長、樋上弓子副院長 ひがみ耳鼻いんこう科・いびき睡眠クリニック2

【弓子副院長】院長の、医療に対して真摯に向かい合っている姿勢を尊敬しています。患者さんのためを思う医療を提供したいというスピリッツは、大学時代からずっと変わっていません。患者さんからは厳しいといわれることもあるんですが、その病気を中長期にわたってトータルで診た時に、患者さんの健康のためにひるまずはっきり意見を言うのはすごいなと思いますね。
【茂院長】僕が厳しいことを言う分、副院長が間に入ってクッションの役目をしてくれています。僕が診察して副院長が検査しているのですが、診療以外のことを全部やってくれていて、本当に助かってますね。

大人と子どもで違う、睡眠時無呼吸症候群の要因

いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんにどのような診療を行っていますか?

樋上茂院長、樋上弓子副院長 ひがみ耳鼻いんこう科・いびき睡眠クリニック3

【茂院長】大人のいびき・SASの主な要因は骨格・年齢・肥満です。肥満でない方の場合は、鼻・喉・骨格が関係していることが多いですね。SASの診療は、眠気を催す原因にほかの睡眠障害が混じっていないことを確認するか、ほかの睡眠障害がある場合はそれを治療してからSASかどうか判定をすることが重要です。患者さんに詳しく問診を行い、ほかの睡眠障害がないとわかれば、自宅でできる呼吸の検査になります。さらに詳しい検査が必要なら1泊入院。足の動きや呼吸についてビデオで撮影し、モニターの映像とデータを同期させて判定する終夜睡眠ポリグラフ検査を行います。ここまでできることが睡眠障害専門の施設ということになり、大学病院以外では全国的にもまだ少ないですね。検査用の3つの個室にはエアコンと寝心地の良いベッドを備え、睡眠のデータがきちんと取れるよう配慮しています。

子どものSASは、大人とは要因が違うのですか?

【茂院長】子どもの場合はアデノイドや扁桃腺、骨格、鼻の病気などが挙げられます。大人と子どもで共通しているのが骨格で、例えば親子3代でSASという場合、骨格が同じことがほとんどです。骨格とは顎が小さいとかで、SASは喉が狭いために起こることが多いんです。お子さんの口が普段から開いている、親御さんがいびきをかいている、寝ている時に「くぅーくぅー」という寝息が聞こえる、などあればSASの可能性がありますので、ぜひ一度受診してもらいたいですね。診察では、親御さんからの情報と喉の広さなどをエックス線検査で確認し、寝ている時のビデオも撮って総合的に判断します。これまでの経験から、寝姿を見ればだいたいわかりますね。SASと判定したら、お子さんがつらそうなので治療しましょうと親御さんに話します。

不眠症や過眠症の悩みで受診される患者さんも多いそうですね。

樋上茂院長、樋上弓子副院長 ひがみ耳鼻いんこう科・いびき睡眠クリニック4

【茂院長】数日眠れないと自分は不眠症だと思われる方も多いですが、2時間以上眠れないことが週に何日もある状態が数ヵ月続き、さらに睡眠のドクターから眠れるよう指導してもらっても改善しないとなって初めて不眠症という診断がなされます。当院で不眠症で悩んでいると来られる方の8割はこれを聞くと「自分は該当しない」と認識されるようです。そのため、当クリニックでは、とりあえず睡眠薬を出すといったことはせず、その前に必要なことをやるようにしています。もちろん本当に不眠症の方もいますから、その場合は薬もきちんと考えて出しています。また、過眠症は3日以上徹夜した時の眠たさが常にある状態です。検査をすればわかりますし、今は治療薬もあります。ただその薬を出せる医療機関が限定されているので、睡眠障害専門のクリニックを受診されることをお勧めします。

子どものうちから鼻呼吸にすることで睡眠障害を予防

耳鼻科診療の現状はどうですか?

樋上茂院長、樋上弓子副院長 ひがみ耳鼻いんこう科・いびき睡眠クリニック5

【弓子副院長】小児の受診が多く、中耳炎などの感染症がよく見られます。子どもは診る部分が小さい上に動きも激しいので、ご家族の協力とスタッフの保持で、頑張って鼻・喉・耳を診察しています。小児の感染症では、抗生剤が効かない細菌の耐性化が進んでおり、抗生剤は短期的には良くなりますが、使用を繰り返すうちにどんどん大変なことになってしまうということがわかっています。ですから、近隣の小児科の先生方に協力していただきながら、中長期を考えた必要最小限の投薬を基本に処置を行うようにしています。

クリニックの今後の展望について教えてください。

【茂院長】今世界中で注目されているのが、大人のSASを減らすことです。子どものうちに鼻呼吸にするために、歯や骨格の矯正などを行い、大人になった時のSASのリスクを下げるという取り組みを当クリニックでも進めています。そのために今、歯科医院と連携しているのですが、今後は小児科医院ともネットワークをつくっていきたいと考えています。地域の皆さんの睡眠に良い影響を与えられるよう、例えば10年後に大人のSASの率がほかの地域より減っていればいいですね。大学時代からそういうことを考えながら子どもの手術をたくさんしてきましたし、今もそう思っています。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

樋上茂院長、樋上弓子副院長 ひがみ耳鼻いんこう科・いびき睡眠クリニック6

【茂院長】短期的な治療ではなく、長い目で見て多少時間がかかっても、患者さんのためになるというしっかりした根拠のある治療を心がけています。耳鼻科疾患や睡眠について、僕の知識や客観的なデータ、根拠に基づいて診療していますが、今後も新しい情報を得てそれをなるべく早く、正しいかたちで患者さんにフィードバックできればと考えています。
【弓子副院長】一人ひとりの患者さんに寄り添ったオーダーメイドの対応をさせていただきます。何か気になることがあれば当クリニックで話してもらい、一番ふさわしい治療を一緒にやっていけたらと思っています。感染症対策も、パーティションの設置やカーテン越しの診察、換気システムなどに加え、ほかの患者さんと一緒にならないよう入り口や待機場所を別にしていますから安心していらしてください。

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