呼吸器内科の医師が診る
生活習慣病、COPDの危険とは
けやき内科
(名古屋市名東区/一社駅)
最終更新日:2021/10/12


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生活習慣病というと中高年の男性のイメージが強いが、最近では食生活の変化や運動習慣の減少、肥満などで若い世代にも増えているという。もちろん男性だけでなく女性もなるもので、日常の習慣が原因となるだけに誰にとっても日頃からの注意が必要だ。「けやき内科」の加藤景介院長は呼吸器内科が専門で、糖尿病や高血圧、脂質異常症などのほかに喫煙者に多いCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や、それに喘息を合併したACO(喘息COPD合併症)という病気にも注意を払う。同院には、その早期発見のための検査器がそろっているのが大きな特徴である。自覚症状がほとんどない生活習慣病について、またその治療の流れについて加藤院長に話を聞いた。
(取材日2016年12月6日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qそもそも生活習慣病とはどういうものでしょうか?
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A
食事や運動、飲酒などの習慣は人それぞれで、一概に基準はこう、とは言えませんが、その人の体が受け入れらない生活習慣によって引き起こされるのが生活習慣病だといえます。主に高血圧、脂質異常症、糖尿病などですね。私は呼吸器内科が専門で、当院にはCOPDの方も多く訪れますが、これも生活習慣病の一つといえます。遺伝的な異常の場合もありますが、多くはタバコ等の有害物質を日常的に吸い込むことで肺や気道に炎症が起きます。症状は慢性的な咳や痰、息切れなどで、ゆっくり進行することが多いです。また高血圧や脂質異常の方の多くは肥満傾向なのですが、肥満に伴う睡眠時無呼吸症候群もあり、これも生活習慣病といえます。
- QCOPDについて詳しく教えてください。
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A
「自分はたばこを吸っているから、咳や痰は当たり前」と軽く考えていると、ひどい場合は、低酸素血症といって肺の働きが落ちてきて酸素をうまく取り込めなくなり、結果として心臓に負担がかかり心不全の状況にもなります。日常生活での息切れや呼吸困難が多くなり、状況によっては在宅酸素療法が必要になることも。そもそも喫煙は動脈硬化を起こしたり、高血圧を悪化させたりするリスクもあり、高血圧で治療している方の5割以上がCOPDだというデータもあるんです。現状、見落とされていることが多く、早期発見、早期治療が重要ですね。当院の禁煙相談では、禁煙だけに重点を置くのではなく、そうした喫煙関連疾患の発見にも努めています。
- Q生活習慣病のみでなく呼吸器関連の検査もできるのですね。
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A
糖尿病、高血圧、脂質異常症などは放置すると、脳梗塞、心筋梗塞という脳血管障害や虚血性心疾患のリスクがあり、将来のそうした合併症を回避することが治療の目的となります。そのため当院では動脈硬化の目安となる「血管年齢」の測定も行っています。またCOPDについては、最近学会でも注目をあびているACOの判断のためNO(一酸化窒素)測定の検査器も備えています。CTと呼吸機能検査器、NO測定の機器の3つをそろえるクリニックは県下でも非常に少ないと思います。当院には、放射線技師と臨床検査技師もおり、身近な地域で総合病院と同レベルの検査、治療ができる体制が整っているといえます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1喫煙歴や生活習慣など問診票に細かく記入
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喫煙者はもちろん、今吸っていなくても喫煙経験があればリスクになるので、問診票には過去も含めた喫煙歴やその量などを記入する。医師の診察前に、予診室でスタッフが血圧や身長、体重の測定を行い、あらかじめ現在の状況を把握している。
- 2動脈硬化のリスクがある場合、血圧脈波測定を行う
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喫煙歴のある患者で高血圧や脂質異常症などの生活習慣病も合併されている場合、動脈硬化のリスクがあり血圧脈波測定を行うこともある。仰向けに寝た状態で、両手足と胸に電極をつけて測定する。また、高血圧の場合でも、中には甲状腺や内分泌系の疾患が原因の場合もあるので甲状腺ホルモンも調べたりする。すでに高血圧で高コレステロールの場合は、動脈硬化がおきているかどうかで治療の選択も変わってくる。
- 3喘息の合併を見逃さないために複数の検査を実施
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肺の状態を見るため、呼吸機能の検査をする。鼻で息をしないようにクリップでつまみ、管をくわえて息を思い切り吸ったり吐いたりを20分ほど繰り返す。「大きく吸って、吐いて」と検査技師がついて優しく指導してくれるので指示どおりに。気道におけるアレルギー反応の有無を確認する呼気NO濃度検査や炎症の程度を把握する呼吸抵抗測定も実施。COPDかどうかだけでなく喘息を併発していないかを調べることができる。
- 4CTでの画像検査
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肺や気管支の状態をさらに詳しく調べるために胸部CT検査も行う。専用ソフトウェアによるマルチスライスCTでの肺気腫解析もでき、重症度の見極めや肺がん合併などのスクリーニングも行う。保険適応外ではあるがCTによる内臓脂肪測定も可能とのこと。
- 5医師が治療計画を立て、使用する薬などを決定する
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ドクターとともに治療プランを立てる。重症度や喘息併発の有無などにより、使う薬の種類や量を決定する。指導室という部屋ではスタッフが1対1で患者をフォロー。血圧手帳への記録の仕方や、喘息の発作、体の症状などを記入する喘息日誌の記録の仕方について説明をする。ドクターには直接言いにくいことや疑問、不安があれば気軽に伝えることもできる。
自由診療費用の目安
自由診療とは「腹部CTによる内臓脂肪測定」は1回につき3500円