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伊藤 英明子 副院長の独自取材記事

鈴鹿腎クリニック

(鈴鹿市/鈴鹿駅)

最終更新日:2019/09/02

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前身である「河出内科」から一貫して地域に根差し、初期の腎臓疾患から合併症予防、先進的な透析療法の提供とともに、ADL(日常生活動作)の維持・向上に尽力してきた「鈴鹿腎クリニック」。「患者さんファーストの医療の提供」を信条とする河出恭雅理事長・岩島重二郎院長とともに、多くの患者を支えているのが、日本皮膚科学会皮膚科専門医の伊藤英明子(いとう・えみこ)副院長だ。透析患者は血流が悪く免疫力が低下していることから小さな傷も治りにくく、気づかないうちに悪化しADLを大きく損なうケースも珍しくないという。「内科と皮膚科が連携し診療にあたることは、適切な治療につなげる上でたいへん有益です」と語る伊藤副院長に、診療に対する思いを語ってもらった。
(取材日2018年1月7日)

皮膚科の専門性を生かし透析患者に寄り添う

これまでのご経歴をお聞かせください。

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1995年に愛知医科大学を卒業後、1年間愛知県の総合病院で研修後、皮膚科を専門に三重県の総合病院・大学病院で研鑽を積んできました。病院ではさまざまな皮膚病変の治療や皮膚がんの手術といった外科的処置などに加え、入院患者さんの褥瘡管理などにも携わっていました。その後、当院が「鈴鹿腎クリニック」となる少し前から、診療に携わるようになり、現在に至ります。

皮膚科を専門とした決め手とはどんなものでしたか?

皮膚科の診療では、外科と内科、双方の持ち味が必要となることに魅力を感じました。例えば熱傷に対する処置などは外科的なスキルが求められますし、皮膚病変は、皮膚そのものに原因がある場合だけでなく、服用している薬剤や、膠原病といった内科疾患が原因となることもあります。「皮膚は“内臓の鏡”である」という言葉もあるほどで、内科の視点も欠かせないんです。皮膚という一つの臓器を診る上で、さまざまな視点が必要となる。そんな奥深さに惹かれたんです。また、透析患者さんにも皮膚のトラブルは多く、たいへん密接な関係にあります。近年、透析患者さんは高齢化していることから、お1人での通院が難しかったり、ご自身で体位変換ができないことから褥瘡が起こりやすかったりと、皮膚トラブルに見舞われやすいんです。自分が積み重ねてきた研鑽が、ずっと身近にあった透析治療においても、役立つものと思いましたね。

透析治療において、内科に加えて皮膚科の診療が行えることにはどんなメリットがあるのですか?

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皮膚の異変にいち早く気づけ、適切な処置につなげられることですね。現在、多くの透析患者さんは糖尿病を併発しており、血流が悪くなっているだけでなく、末梢神経障害によって、特に足の皮膚トラブルに気づきにくいといった特徴があります。気づかないうちに靴擦れができていた、というのも珍しくありません。しかしそんな傷でも、大ごとにつながる可能性も少なくないのです。処置をしないまま潰瘍などが進んでしまうと、蜂窩織炎(ほうかしきえん)という皮膚細菌感染症にかかりやすくなります。最悪の場合、足を切断することにもつながります。リスクが何十倍にも跳ね上がってしまいますからね。単に皮膚のトラブルといっても、安易に考えてはいけません。他にも、処方された薬が原因で薬疹が出ることや、シャントの造影検査で用いる造影剤によってアレルギー症状が出ることもあり、皮膚科の専門性が発揮される場面はとても多いんです。

診療科の垣根を超えて連携しチーム体制で患者を支える

診療では具体的にどのようなことを行っているのですか?

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クリニックでありながら、病院の回診のようなシステムを取り入れ、透析中の患者さんのベッドサイドでも診療を行うのが、当院の特色の一つです。当院では透析治療開始に際して、まず看護師で構成されたフットケアチームで、患者さんの足の状態を診させていただきます。足の血流の状態や外傷の有無、白癬症(水虫)などの病変がないかを確認しながら、患者さんにも食事をとれているか、痛みやかゆみがないかといったことをヒアリングし、必要に応じて皮膚科の受診を促します。そして私は、フットケアチームからの依頼を受けた後、皮膚科の視点から診察を行うといった流れですね。その後、透析での通院に際してもフットケアチームが足の状態を診ることで、ウオノメ、タコや小さな傷といった、患者さんが気づいていない初期の異変の処置を迅速に行えるような体制を整えています。

スタッフの皆さんとの連携も欠かせないものなんですね。

そうですね。ご高齢の患者さんの中には、症状を訴えることに消極的な方も少なからずいらっしゃいます。フットケアチームをはじめ、当院のスタッフの皆さんは、そういった方の言葉にできないことにもいち早く気づき、丁寧に所見を取った上で、診療につなげてくれます。皆さん勉強熱心ですし、先輩スタッフが新しく入ったスタッフに丁寧に指導している様子もよく目にしていますね。信頼関係もありますから、例えば足に所見を見つけた看護師が、まずフットケアチームに相談して、「これは先生に診てもらった方が良い」と、依頼箋を回してくることもあるんですよ。私としても心強さを感じますね。

改めて、貴院の診療体制のメリットについてどのようにお考えかお聞かせください。

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診療科や職種の垣根がなく、お互いの知見を交わせるだけでなく、各診療科がそれぞれの立場から、患者さんのことを第一に考えて診療に当たっていることで、柔軟かつ適切でスピーディーな診療につながっているとなっていると感じます。慢性疾患の中でも圧倒的に通院頻度が高く、患者さんとの“距離”が近いからこそ、親身になって考えられることでもありますし、考えなければいけないことと思っています。簡単なことではありませんが、できるだけ患者さんにより良い診療につなげていきたいです。

病気を治すだけでなく病気とともに歩む診療をめざして

伊藤副院長が、患者さんと接する時に心がけていることは何ですか?

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患者さんのことをしっかり見て診療することですね。カルテの記入は患者さんが診療室を退室した後にできることですから。診療中は、まず目の前の患者さんとしっかり向き合うこと。これに徹しています。また、患者さんの生活に寄り添える診療をめざしています。例えばガーゼ交換一つにしても、患者さんご自身で行うのは難しいといったこともあるため、透析での通院に際してフォローができるように、処置を工夫したり、時には積極的治療ではなく、生活を維持するためにできることに重点を置いたり。超高齢社会となり、患者さんの背景や生活環境は本当に多様化してきています。だからこそクリニックの診療では、治すことだけでなく、「病気といかに共存していくか」を考えることも大事なポイントだと思うのです。患者さんのことを知り、その人の生活の質をいかに保っていくのか。答えのない問いではありますが、常に考えるようにしていますね。

今後の目標や、取り組んでみたいことなどございますか?

子育てが一段落したこともあって、改めて学びの機会を増やしていきたいと考えているところです。医療は日々進歩していますし、新しい情報を得るためにも、学会などにできる限り参加していきたいですね。あとは、皮膚のトラブルに際して、何かあったら気軽に専門医を受診していただけるように、啓発していけたらと思っています。皮膚のトラブルは、例えば内科でも診察してお薬を処方することもできるものですが、見た目にすぐ判別できるものばかりでもありません。例えば、一見すると白癬症の症状に見えるけれど、実は「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」という、まったく異なる病気の所見である、といったこともあるんです。そういった、見極めの難しい疾患を適切に診断し、治療につなげるのが私たち皮膚の専門家の役割ですから、患者さんにも気軽に活用いただけるよう、働きかけていきたいです。

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

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皮膚のトラブルというのは、あえて言葉を選ばずに申し上げれば、命に大きく関わるものではありません。しかし「生活の質」という観点では、大きく影響すると私は感じています。なかなか症状が良くならない場合には、すごく似ているけれど、実は異なる病気だったということもありますから、気になることがあれば気兼ねなく、何でも相談してください。

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