負担の少ない顕微鏡手術も選べる
腰部脊柱管狭窄症
島脳神経外科整形外科医院
(川崎市中原区/元住吉駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
症状が進むと、腰痛などで歩行が困難になっていく「腰部脊柱管狭窄症」。主な原因は加齢による骨の変形で、60代以上の高齢者に多い。鎮痛剤の服用や、患部の神経に麻酔を打つブロック注射などで改善することも多いが、中には治療の効果があまりなく日常の動きすら辛いというケースもある。重い痛みやしびれが続けば歩く距離も短くなり、行動範囲が狭まるとともに全体の筋肉も落ちてしまう。そうなる前に、手術に踏み切ったほうがいい症例は確実にある。ただし、手術するならできるだけ身体に負担のかからない方法がベターだ。そこで、日本脳神経外科学会脳神経外科専門医で17年にわたりこの病気の治療にあたってきた「島脳神経外科整形外科医院」の島浩史院長に、病気の原因や症状、近年の手術法について詳しく聞いた。
(取材日2016年9月6日)
目次
薬物療法や神経ブロック療法などで改善しなければ手術を検討
- Q脊柱管狭窄症の脊柱管とは何ですか?
-
A
▲高精度なMRIやマルチスライスCTなど先進の機器を完備
ひとことで言えば、背骨の中にあるトンネル状の空間のことです。背骨は、椎骨というだるま落としのだるまのように空洞のある骨がたくさん重なってできています。この空洞のつながりが脊柱管で、空洞には神経の束や血管が、脳からお尻のほうまでずっと通っているような構造です。神経を守るようにして囲んだ椎骨の重なりは、身体を前後左右に倒したり曲げたりできるよう、骨と骨の間にクッション役の椎間板があり、バンドのように伸び縮みする黄色靭帯などによってつながっています。
- Qこの病気はなぜ起こるのですか?
-
A
▲地域医療連携画像診断部門も設けている
椎骨をつなぐ椎間板や靭帯が傷んでくると徐々に分厚くなり、その部分の脊柱管が狭くなります。その狭くなった部分が脊柱管内を通る神経を圧迫して症状が出てくるわけです。脊柱管が狭くなる原因は、主に加齢による椎間板や黄色靭帯などの傷み。そのため、高齢になるほどこの病気のリスクは高まるといえます。また、腰に負担をかけるほど椎間板や靭帯は早く傷みますから、例えば事務仕事の方よりも重労働の方のほうがどちらかというとリスクは高くなります。スポーツ選手などは、傷み方も激しいケースが見られます。実際に当院で診させていただいたバレーボールやスキージャンプの選手は、一般の同年齢の方よりも傷んでいましたね。
- Q主な症状と治療法を教えてください。
-
A
▲手術実績も豊富な同院
腰痛や下肢のしびれ、間欠性跛行が主な症状です。間欠性跛行とは、しばらく歩くと痛みなどが出るものの、座って前かがみの姿勢で休んでいると症状が治まってくるという、この病気特有の症状のこと。脊柱管の靭帯は、立っているとふくらんで神経を圧迫し、座って前かがみになると圧迫しなくなるため、このようなことが起こるわけです。治療法は、大きく分けると、保存療法と手術療法になります。保存療法とは、鎮痛剤などを服用する薬物療法、痛む神経に直接麻酔薬を注射する神経ブロック療法など。一般的には保存療法から始め、効果が見られず症状がつらい場合は、手術療法を考えます。手術では、神経を圧迫している骨や黄色靭帯を取り除きます。
- Qこちらでは身体への負担が軽い手術が受けられると聞きました。
-
A
▲体への負担が少ない顕微鏡下での手術を選択することもできる
当院では、顕微鏡手術と内視鏡手術が選べます。どちらも、従来の手術に比べて傷口が非常に小さくて済み、骨から筋肉を剥離する量も少ないため、術後の回復が早いのが利点です。特に、顕微鏡手術では、患部を拡大して立体的に確認できるので、神経を圧迫する骨や靭帯を取り除く範囲も最小限。背骨の一部を削る手術では、インプラントという金属で補強し安定させなくてはいけない場合がありますが、顕微鏡手術では削る範囲を最小限に留めることができるため、補強しなくても強度が十分に確保できるケースも出てきます。金属を入れずに済めば、骨がもろい骨粗しょう症の方や感染症のリスクが高い糖尿病の方にとってメリットは大きいと思いますよ。