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岡本 泰之 院長の独自取材記事

岡本甲状腺クリニック

(大阪市旭区/関目高殿駅)

最終更新日:2022/02/08

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地下鉄谷町線関目高殿駅・今里筋線関目成育駅・京阪関目駅からすぐ。駅からほど近いビルの4階にあるのが「岡本甲状腺クリニック」だ。院内は検査室だけで6部屋あり、先進の検査機器なども充実。そのため、大阪府内だけではなく京都などの遠方からも多くの患者が訪れるという。若年・中年層の患者も多いこともあり、子どものための待合室や授乳室も完備。甲状腺疾患の治療を専門とするクリニックで日々診療と研究にまい進する岡本泰之院長に、最近増えている症例から今後の展望まで、幅広く話を聞いた。

(取材日2017年5月19日)

患者が通いやすい場所に充実した設備のクリニックを

患者さんはどのようなエリアから来院されますか?

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甲状腺疾患治療の専門クリニックということで遠方からの患者さんが多いんです。そのため、まずは駅からすぐという利便性の高い場所、そして大阪府内だけではなく京都など他府県からも来やすい場所、かつ専門の医療機器を多く設置しますので広いスペースが必要という、その3つの条件に合ったところとして選んだのです。地下鉄谷町線を使えば大阪・梅田から10分以内で着くことができますし、京都からは京阪で、そして最近地下鉄今里筋線もできましたので、3駅利用可能となりました。

なぜ甲状腺専門クリニックを開業されようと思ったのですか?

もともとは大学を卒業してから、内分泌・代謝について広く勉強していました。その中で甲状腺という分野があり、私の恩師といいますか、指導してくれていた先生がその甲状腺を専門にしていたので、私も興味を持ったんです。勤務先の病院で甲状腺疾患の診療をしていくうちに、少しずつ患者さんが増えてきて、こんなに患者さんが多いのなら、もう少し利便性の良いところに専門のクリニックを立ち上げると、患者さんにとって受診しやすい環境になるのではないかと思ったのがきっかけです。

他院から紹介されて来られる患者さんも多いのですか?

多いですね。甲状腺は個人個人の経過がずいぶん違う病気なので、すぐ治るような方もいますし、逆に治るまでに10年以上かかるような方もいます。また、なかなか症状のコントロールがうまくいかない場合もあるので、当院のような専門のクリニックへ紹介されてきます。もちろん、ご自分で勉強して担当される先生もいらっしゃいますが、まったく異なる病気が同じような検査結果を示すようなこともある専門的な分野なので、正しい判断を下すには知識と経験が必要です。動脈硬化を調べるために行った検査で、たまたま甲状腺に腫瘍が見つかったのでそれを良性か悪性か確認をしてほしいということもあります。

甲状腺ホルモンの病気には、性差があると聞きました。

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割合としては女性の方が多いです。甲状腺の病気は、自己免疫という免疫異常により起こる病気が多いためです。自己免疫疾患には、例えば、リウマチや膠原病などがありますが、その多くは女性のほうがかかりやすいといわれています。原因は正確にはまだわかっていないのですが、女性ホルモンの影響や遺伝的なものと考えられています。

診療の基本方針は「専門性」「合理性」「共感性」

アメリカのシカゴで専門的な研究を積まれたとお聞きしました。

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恩師の推薦があって、シカゴまで勉強をしに行く機会を得られました。そこではバセドウ病の免疫異常の勉強をしていたのですが、実に研究に専念できる環境でした。日本にいると、どうしても診療が入ってくるため、研究だけに集中することが難しかったので……。シカゴでは、3年間研究一筋でしたね。また、日本という国を見つめ直すという良い機会にもなりましたよ。

診療で心がけていることはどのようなことですか?

基本方針にもなってますが、まずは「専門性」です。新たな学術的な情報などは常に把握し、臨床研究という形で定期的に勉強会に発表し、その中でスタンダードなものに加え、先進の知識を常にフォローしながら専門性を高めています。また、医療は経済的な社会活動の一環であるということも常に念頭に置いています。これは基本方針の2つ目の「合理性」ですね。そして、專門でやっていると、病気の状況、病気から発生してくる症状というものが経験則としてわかります。しかしその反面、患者さんが今抱えている症状・問題が「関係ない」ということもわかるのです。でもそれを、関係ないと口に出してしまうと、患者さんの気持ちはどうなるでしょうか。まずはすべての症状をいったん受け入れ、そこからまた一緒に考えていく、患者さんがどう思っているかというのを常に理解するよう努力し、「共感性」を持とうということを、クリニックとしてのスタンスとしています。

先生のご趣味などを教えてください。

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もともと情報工学のほうに進みたいという気持ちがあったのですが、医療の道に進みまして。今でもプログラミングやシステム構築を、趣味でやっています。趣味というか実際に、このクリニックの業務システムを開発したり、測定機器のデータをデータベースシステムに接続して日々の診療で利用、というように実務の中で使ってもいます。また、クリニックの開業時にはホームページも自分でつくっていました。あと、ここ10年ぐらいなのですが、ピアノを習い始めました。恩師の記念パーティーの時には演奏もしまして、その時は必死に練習しましたね。ピアノはある程度の時間が必要なので難しいですが、楽しいですよ。

多くの人が頼ってくれるクリニックをめざして

甲状腺の病気の難しさはどういったところでしょう?

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まず、受診のきっかけが難しいと思います。甲状腺はほとんどの場合、症状が進むまで自覚がない人が多いのです。また、不調に気づいたり、不審な検査結果があって一般的な検査を繰り返しても、なかなかハッキリしないのです。まずは甲状腺という臓器があって、そこに発生する病気があるということを、広く知ってもらうというのが大事なのですが、なかなか難しいですね。甲状腺ホルモンに異常の起こる病気は、薬を飲むと健康な時のホルモン値に戻ることが見込めます。その結果、体調も良くなることが期待できますが、病気が治ったわけではありません。特に若い人だと忙しさなどから治療を中断してしまい、結果として悪化してしまう人が多い印象です。不整脈の症状が出る人もいますので、急に薬をやめて悪化した場合は、突然死の危険もあります。治るまでに長くかかる病気というのも、もっと知ってもらう必要があります。

子どものための待合室や授乳室があるのはなぜですか?

実はここ数年、妊娠中の甲状腺機能の管理が厳格化というか、数値が厳密になってきています。正常範囲内でも20〜40代の妊娠を希望する女性、あるいは妊婦さんの場合に限って、もう少し厳しい値にコントロールしましょう、というものです。また、不妊治療を受けている方は、婦人科で甲状腺ホルモンが少ないのではないかと言われ、こちらを紹介されたという患者さんが多いです。そのようなことから、子育て世代の女性患者さんの割合が年々増えてきました。そのため、増築時に子どものための待合室と授乳室を新しくしました。

最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

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甲状腺のホルモン異常が多い年代は20代から40代です。甲状腺ホルモン異常というのはどこかが痛くなる、熱が出るなどというものではない、いわゆる「全身症状」です。例えばホルモンの分泌量が低い方だと「いつも眠い、むくみっぽい」などの比較的ありふれた症状なので、なかなか甲状腺の病気だというのがわかりにくいのです。また、数値が高い方でもひどい症状の方から、あまり症状が出ない方もいます。いずれの場合も、「ほかの病気がないのに何だかおかしい」と思ったら、甲状腺ホルモン値を測るようにしてください。特に妊娠した時にはホルモン不足がないかどうか、初期のあたりに産科の先生に確認されるのがいいかと思います。また、甲状腺の病気になりやすいかどうかは遺伝的な要因が大きいので、身内にそういう人がいないかどうかも、妊娠する前に確認しておくというのがいいですね。

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