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症状に応じた負担の少ない方法で
鼠径ヘルニアに対する日帰り手術

おだクリニック日帰り手術外科

(福岡市中央区/渡辺通駅)

最終更新日:2021/10/29

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  • 保険診療

下腹部の腹圧で鼠径(そけい)部の筋膜が裂けて穴が開き、内臓の一部が皮下に飛び出す鼠径ヘルニア(脱腸)。中年以降の男性に多く見られる病気だが、小児の鼠径ヘルニアもある。「昔は手術となると数日の入院を要していましたが、今では日帰り手術が可能になり、患者さんの負担も減りました」と語るのは、福岡市にある「おだクリニック日帰り手術外科」の小田斉院長だ。同院では鼠径部を切開するクーゲル(Kugel)法と、腹腔鏡手術による2つの手術方法を導入している。超音波検査で精密に診断し、状態に応じた治療法を提案している。「自然に治ることはありません。大事なことは、患者さんご自身が納得した治療法を選択することです」と語る小田院長に、鼠径ヘルニアの症状から手術の内容などについて話を聞いた。

(取材日2021年10月3日)

放置すると腸閉塞や腹膜炎になることも。患者の状態に合わせ、切開法、腹腔鏡手術による日帰り手術を提案

Q鼠径ヘルニアについて詳しく教えてください。
A
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▲きれいで清潔な待合室

足の付け根から恥骨にかけての鼠径部の筋膜が破れ、内臓脂肪や腸などの内臓の一部が皮下に飛び出す病気、いわゆる脱腸です。加齢によって筋膜が緩んでくる40歳代以降に多く見られ、9割近くは男性です。自然と引っ込んでいることも多いのですが、放置するとヘルニアの穴も少しずつ大きくなり、常に脱出したままの状態になることもあります。腹圧によって飛び出した部分がニワトリの卵くらいの大きさから、握りこぶし以上の大きさまで徐々に膨らみ、下腹部が引っ張られるような痛みを伴うようになります。ひどくなると腸閉塞や腹膜炎になり、激しい腹痛、嘔吐などの症状が出ることも。根治のためには、外科的に筋膜の穴をふさぐ手術が必要です。

Qどのような手術を行うのですか?
A
2

▲手術方法の違いをしっかりと説明

成人鼠径ヘルニアの場合、基本的に“メッシュ”という網目状の人工の膜を用いて穴を補強します。鼠径部を切開する手術方法は2つ。筋膜の上からメッシュで覆う従来の方法と、筋膜の下にメッシュを広げて筋膜を補強する「クーゲル(Kugel)法」です。従来の方法では腹圧がかかると、メッシュがめくれて再発する可能性があり、そのためメッシュと筋膜をしっかりと縫い合わせ、術後につっぱり感や痛みを伴うというデメリットもありました。一方、クーゲル法は筋膜の下にメッシュを挿入するため、組織とメッシュが自然と一体化し、腹圧がかかってもメッシュがめくれず、メッシュが腹壁を支えるため再発が少ないというメリットがあります。

Q腹腔鏡手術でも対応できるそうですね。
A
3

▲腹腔鏡手術を説明する小田院長

腹腔鏡手術は、おなかに5mmの小さな穴を3ヵ所開け、腹腔鏡で腹腔内を観察しながら、クーゲル法と同様に腹膜と筋膜の間にメッシュを挿入し、筋膜の弱い部分すべてを補強する手術法です。筋膜の下にメッシュを広げて筋膜を補強するため、クーゲル法と同等に再発も少ないですし、傷が小さいため痛みも少なく、より早期に社会復帰が可能になります。特に働き盛りの若年者~中壮年の方や、傷を気にされる女性にお勧めの方法です。当院では高画質の腹腔鏡を用いて細かい部分まで把握し、確実にメッシュを固定することで、さらなる再発率の低減をめざしています。デメリットは全身麻酔が必要なことと、クーゲル法よりも手術時間が長いことです。

Q小児の鼠径ヘルニアも、日帰り手術が可能なのでしょうか?
A
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▲子どもから大人まで、鼠径ヘルニアの日帰り手術に対応

当院では原則として2歳以上のお子さまに日帰り手術を行っています。小児の鼠径ヘルニアは20人に1人といわれるほど多い病気です。おむつ交換などで親御さんが気づく場合や、健康診断の際に小児科で指摘されることもあります。手術方法は、溶ける糸を用いて筋膜の穴をふさぐ方法です。メッシュなどの異物は一切使用しません。手術時間は15分程度で、術後はベッドで2~3時間ほど休息し、軽食を食べた後に歩いて帰宅できます。皮膚の傷は10〜15mmほどで、接着剤で固定するので抜糸や消毒の必要もなく、おしっこなどで汚れても問題ありません。翌日からシャワー、翌々日から入浴が可能です。傷は成長の過程でほとんど消えてしまいます。

Q鼠径ヘルニアの日帰り手術の流れを教えてください。
A
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▲年齢や症状に応じて手術を行う

初診時に超音波(エコー)検査で筋膜の穴の部位とヘルニアの状態を確認し、手術が必要な場合は術前検査を行います。鼠径部を切開するクーゲル法にするか、腹腔鏡手術にするかは、状態に応じて患者さんに選択してもらいます。手術当日の朝入院し、午前中に手術を行い、午後には退院します。手術時間はクーゲル法で20分、腹腔鏡手術で40分程度。前者は軽い鎮静麻酔で、後者は全身麻酔で行います。いずれも傷口は接着剤で固定するため、抜糸や消毒などの必要はありません。手術の翌日からシャワー、翌々日からは入浴が可能です。手術から数日以内に再診に来ていただき、術後の状態を確認します。激しい運動は2週間程度控えてもらいます。

ドクターからのメッセージ

小田 斉院長

働き盛りの若年~中壮年の患者さんや女性には腹腔鏡手術をお勧めします。傷が小さく、痛みが少ないという大きなメリットがあり、早期の社会復帰がめざせます。とはいえ全身麻酔になるため、80〜90歳代の高齢者や基礎疾患がある患者さんにはクーゲル法が良い選択です。小さなお子さんのヘルニア手術も、入院準備の煩わしさがなく、親御さんの負担を軽減できます。このように当院では、年齢や症状に応じ、適した手術法を提案しています。大事なのはアドヒアランス、つまり医師から得た情報をもとに、患者さんが主体性を持って治療内容を選択することです。患者さんご自身やご家族が納得できる治療を、ぜひ私たちと一緒に考えていきましょう。

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