疲れなどの曖昧な症状も多い甲状腺疾患
些細な変化でも一度受診を
英クリニック
(津市/久居駅)
最終更新日:2026/10/15
- 保険診療
体のだるさや動悸、発汗、体重の増減など、日常の中で感じるさまざまな不調。その原因が甲状腺の病気にあるとは、なかなか気づきにくいものだ。特に女性では、更年期にみられる症状と重なることもあり、「少し疲れているだけ」と思って過ごしてしまうことも少なくない。甲状腺の病気には、甲状腺ホルモンが過剰になるバセドウ病や、甲状腺機能低下症の原因となる橋本病などがあり、症状の現れ方もさまざまだ。「英クリニック」で甲状腺疾患の診療にあたる牛田美帆先生は、「曖昧な症状を年齢などのせいと決めつけず、気になることがあれば気軽に相談してほしいですね」と話す。他の不調とも重なりやすいからこそ、患者の話に丁寧に耳を傾けることを大切にしている牛田先生に、甲状腺疾患の特徴や診療で心がけていることについて詳しく話を聞いた。
(取材日2026年10月1日)
目次
甲状腺に異常がなくても、別の原因が隠れていることも。一つずつ丁寧に確かめ、適切な治療につなげる
- Q甲状腺疾患とはどのような病気ですか?
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A
▲甲状腺や副甲状腺の病気について幅広く診療を行う
大きく分けると、甲状腺ホルモンの異常によるものと、甲状腺にできる腫瘍があります。甲状腺ホルモンが過剰になる代表的な病気にバセドウ病があり、甲状腺ホルモンが不足する原因としては橋本病がよく知られています。甲状腺腫瘍は良性のものが多いですが、甲状腺がんが見つかることもあります。甲状腺とは別の臓器として副甲状腺があります。副甲状腺機能亢進症の中には、血液検査でカルシウム値が高いことを指摘されたり、骨粗しょう症や骨折をきっかけに詳しく調べたりする中で診断につながるものもあります。副甲状腺機能低下症には、手術後に生じるものや特発性のものがありますが、比較的まれな病気です。
- Q具体的に、どのような症状があるのでしょうか?
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A
▲些細な体調の変化も見逃さないよう丁寧な診察を心がける
甲状腺機能亢進症では、体重減少や発汗、動悸、手の震え、下痢など、さまざまな症状がみられます。症状の現れ方はさまざまで、すべてがそろうわけではありません。一つの症状だけがみられることもあれば、いくつかの症状が重なって現れることもあります。一方、甲状腺機能低下症では、むくみや寒がり、便秘、だるさ、皮膚の乾燥などがみられます。どれも日常で起こり得る症状で、更年期の症状と重なることもあるため、甲状腺の病気とは気づきにくいことがあります。もともとあった便秘やむくみが以前より強くなった、他の症状も出てきたといった変化があれば、一度受診のきっかけにしていただければと思います。
- Q検査方法について教えてください。
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A
▲甲状腺の状態を確認するために用いる超音波検査装置
診断にあたっては、まず血液検査と甲状腺の超音波検査を行います。もう少し詳しく確認する必要がある場合には、アイソトープを用いた検査をご提案することもあります。その場合は検査のできる医療機関をご紹介し、検査結果については当院でご説明することも可能です。甲状腺機能の検査は、一般的な健診の標準項目には含まれていません。そのため、こうした症状があっても甲状腺の病気を疑わなければ、検査につながりにくいところがあります。血液検査をして初めてわかることもありますので、「こんな症状で受診してもいいのかな」と思うようなことでも、気になる変化があれば、遠慮することなくご相談ください。
- Qどのような治療を行いますか?
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A
▲病気の原因を見極め、その人に合った治療を提案する
原因となる病気によって治療方法は異なります。バセドウ病では、まず内服治療を行うことが多く、十分な効果が得られない場合や副作用で薬を使えない場合には、放射性ヨウ素内用療法や手術を検討します。状態を見て薬を中止できる方もいますが、長い期間を経て再発することもあるため、その後も定期的に血液検査で確認していきます。また、亜急性甲状腺炎ではステロイドや痛み止めを使うことがあり、無痛性甲状腺炎では治療をせず経過を見ることもあります。甲状腺の病気ではなかった場合も、更年期の症状などが考えられれば、漢方薬やプラセンタ治療をご提案したり、婦人科をご紹介したりしながら、その方に合った治療につなげていきます。
- Q予防や対策をとることはできるのでしょうか?
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A
▲一人ひとりの症状に向き合い、適切な診断につなげる
バセドウ病や橋本病、甲状腺の腫瘍には、確実な予防法があるわけではありません。ただ、海藻類などに多く含まれるヨウ素を極端に取り過ぎると、甲状腺機能に影響することがあります。普段の食事で適量をとる程度であれば、それほど心配する必要はありません。病気が見つかった後は、ご自身の判断で通院や治療を中断しないことが大切です。特にバセドウ病では、治療の中断を繰り返すと状態が悪化することもあります。一方、検査で異常が見つからない場合には、ストレスや更年期の影響、さらに副腎や下垂体など、他のホルモンの異常がないかも考えていきます。その方の症状を見ながら、可能性の高いものから順に確認していくようにしています。

