赤木 郁生 院長の独自取材記事
小倉南歯科医院
(北九州市小倉南区/朽網駅)
最終更新日:2026/07/08
北九州市小倉南区に位置する「小倉南歯科医院」は、小児から高齢者まで幅広い年齢層を受け入れ、障害のある人の歯科診療や、通院が難しい人への訪問歯科診療にも力を注いできた歯科医院。研修医として同院に入り、そのまま勤め続けて現在は院長を務める赤木郁生先生は、特定の領域に偏らず、保険診療を軸とした幅広い診療を大切にしてきた歯科医師である。建物の老朽化を機に、同院は2026年10月の移転リニューアルを予定しており、歯科用CTやマイクロスコープといった設備を新たに導入する計画だという。障害の有無や年齢を問わず、誰もが同じ環境の中で歯科医療を受けられる体制づくりを続けてきた同院。患者一人ひとりのライフステージに長く寄り添う医療をめざす赤木院長に、これまでの歩みと、診療に対する思いについて話を聞いた。
(取材日2026年6月12日)
幅広い年齢層と多様な患者を受け入れる地域の歯科医院
どのような患者さんが多く来院されますか。

地域でいうと、小倉南区やその近隣にお住まいの方が中心です。年齢層は小児から高齢者まで幅広く、世代を問わず診療できる体制を整えています。一方で、障害のある患者さんまで範囲を広げると、市外や、隣の大分県といった遠方から来院される方もいらっしゃいます。障害のある人を専門的に診てくれる歯科医院が近くになく、当院まで足を運んでくださるケースもあるのです。当院は、一般的な外来診療も普通に行いながら、そうした幅広いニーズにも応えられる点が特徴だと感じています。近隣の方の日常的な治療から、遠方から相談に来られる方の対応まで、間口を広く構えていたいと考えています。
障害の有無を問わず同じ環境で、という考え方を大切にされていますね。
これは当院の理事長がもともと大切にしてきた考え方です。まだ訪問診療を行う歯科医院がほとんどなかった頃から取り組んでおり、外来に通えない人にも医療を届けたいという思いが原点にあります。障害のある人とない人を切り離すのではなく、同じ環境の中で、それぞれに合った歯科診療を受けていただくことをめざしてきました。待合室や診療室も分けず、同じフロアで過ごしていただいています。当院は毎日誰かが訪問診療に出向いており、私自身は火曜と木曜に訪問診療を行い、通院が難しい人のもとへも医療を届けています。来られる人を待つだけでなく、こちらから出向くという姿勢も含めて、誰もが安心して歯科にかかれる地域でありたいと考えています。
スタッフの皆さんには、どのようなことを伝えていますか。

患者さんを自分の家族と思ったときに、どこまでしてあげたいか、してあげられるかを考えて行動してほしいと、常日頃から伝えています。法人の理念には「患者さん一人ひとりの友人として、最大最高のサービスを提供する」という言葉があり、それを具現化する努力を怠らないようにしています。具体的な取り組みとしては、所属の歯科医師による勉強会を月に1回開いています。それぞれが症例を持ち寄って検討し、その患者さんに何ができるかを質疑応答しながら共有する場です。一人で抱え込むのではなく、院内全体で知恵を出し合える環境があることが、当院の強みだと思います。スタッフ全員で知識を高め合い、診療の質を保ち続けることを大切にしています。
診療の幅を広げるため、移転リニューアルを計画
移転リニューアルを予定されているそうですね。背景を教えてください。

建物が古くなってきたことが大きなきっかけです。建て替えるか移転するかという話になり、最終的に移転して新しくすることになりました。順調にいけば2026年10月から、新しい場所での診療をスタートできるのではないかと思います。現在の院内には歯科用CTがなく、対応が難しい治療もありましたので、移転先には歯科用CTやマイクロスコープを導入する予定です。これまで保険診療を中心に取り組んできましたが、患者さんのニーズに応えるため、保険外の診療にも少しずつ幅を広げていきたいという思いもあり、設備面を整えているところです。
新しいクリニックでは、どのような点が充実するのでしょうか。
一つは、全身麻酔を行うための専用の部屋を設けることです。これまでは専用のスペースがありませんでしたので、より安全に配慮して治療を提供できるような環境を整えたいと考えました。歯科用CTやマイクロスコープを導入することで、これまで対応が難しかった精密な治療にも幅広く応えられるようになります。また、摂食嚥下に関する診療にもこれまで以上に取り組んでいきたいと考えており、必要な器具なども少しずつそろえているところです。設備が新しくなることで、患者さんに提供できる医療の選択肢を広げていきたいですね。せっかく新しくするのですから、ハード面の充実をそのまま診療の質の向上につなげていきたいと思っています。
移転を機に、地域にどのような医療を届けたいとお考えですか。

基本的なコンセプトは、これまでと変わりません。小児から高齢者まで、そして障害のある人まで、幅広い年齢層・患者層を受け入れていくという姿勢は、移転後も続けていきます。設備が新しくなったからといって、特定の治療だけに特化するわけではなく、これまでどおり地域に根差した歯科医療を提供していきたいと考えています。長く通ってくださっている患者さんにも、変わらず安心して来院していただける歯科医院でありたいですね。場所や建物は新しくなりますが、地域の人にとって身近で頼れる存在であり続けたい、という思いを一番大切にしています。移転後も、これまで築いてきた信頼を土台に、丁寧な診療を続けていきます。
質を追求しライフステージに寄り添う診療をめざす
先生が歯科医師をめざされたきっかけを教えてください。

歯科医師ではないものの、父が医療に関わる仕事をしており、自分も医療に携わる仕事がしたいと考えていました。大学受験の時に歯学部という道があることを知り、進学を決めました。大学の6年間で学ぶうちに、歯科にもさまざまな専門分野があることを知りました。専門を究める道もありましたが、私自身は一つの分野に絞るよりも、保険診療を中心とした幅広い診療を手がけられるほうが向いていると思い、今の診療方針へとつながっています。
診療において大切にされていることは何でしょうか。
保険診療でも自費診療でも、まず質をとても大切にしています。時間内に早く終わらせること以上に、一つの治療に対して手を抜かず、しっかり100パーセントを求めて取り組むことを心がけています。若手には、時間がかかってもまず質を保つこと、その上で質を維持しながら早くできるようになれば良いと伝えています。早さを優先して質が落ちては本末転倒だと考えているからです。私は卒業後の臨床研修から当院にそのまま勤め、気づけば15年になりますが、この姿勢は一貫して変わりません。一本一本の歯と、その先にある患者さんの生活に、誠実に向き合っていきたいと思っています。
今後、力を入れていきたいことや展望を教えてください。

これまでと大きく変わるわけではありませんが、子どものうちから診て、その子が成人し、さらにその子どもを診ていく、というように、患者さんそれぞれのライフステージにずっと寄り添っていける歯科医院でありたいと考えています。一人ひとりの人生の節目に長く関わり続けられる医療をめざしたいですね。歯科医院はどうしても痛くなってから行く場所と思われがちですが、当院は困ったときだけでなく、健康なときから気軽に立ち寄れる存在でありたいと思っています。患者さんと長くお付き合いする中で、その人の変化に気づき、必要なときに必要な医療をそっと差し出せる。そんな、地域に寄り添い続ける歯科医院であることが、これからも変わらない目標です。
休日の過ごし方や趣味について教えてください。
休日は、2人の子どもがいますので、子どもと遊んで過ごすことがほとんどです。家族との時間を大切にしながら、リフレッシュしています。また、当院では若手を中心に、ゴルフやマラソンに部活のような感覚で取り組んでいます。ここ数年は北九州マラソンに出場したり、リレーマラソンに挑戦したりと、スタッフみんなで体を動かす機会も増えてきました。きっかけは、あるスタッフがマラソンを走っていて、それならみんなでやろうと声をかけ合ったことです。先日のリレーマラソンでは10人ほどで参加し、全員で完走できたのも良い思い出です。こうした活動を通じてスタッフ同士の距離が縮まることが、日々の診療での連携にもつながっていると感じています。

