勝俣 弾 院長の独自取材記事
Smile Fit Dental Studio
(目黒区/祐天寺駅)
最終更新日:2024/10/21
祐天寺駅近くで、地域に根差した診療を30年以上続ける「勝俣歯科医院」は、2024年に「Smile Fit Dental Studio」にリニューアル。勝俣弾(はずむ)院長は、「治療から予防へ」をテーマに、従来から一歩進んだ予防医療の提供をめざしている。「メンテナンスを行うにとどまらず、口内の問題の根本を解決に導くことで、患者さんが病気にならずに済むようにして差し上げる。それが当院の治療と予防におけるモットーです」と院長。その一環として、顎の位置や噛み合わせまで正すための矯正に力を入れるほか、マイクロスコープなど先進の機器をそろえたという。多様な取り組みを通じて健康意識増進までサポートする院長に、同院の特色について詳しく話してもらった。
(取材日2022年8月22日/更新日2024年8月20日)
全身の健康を見据えた根本的な「予防」を歯科から
まず、先生のご経歴やこちらの理念について伺いたいです。
東京歯科大学を卒業後、東京都内や横浜市内の歯科医院で診療経験を積んで、院長職も経験し、2019年に当院の副院長に就任しました。その際、院内の全面リニューアルを行うと同時に当院の理念を時代に即したものにアップデートしたため、2022年に父から受け継いだ時も非常にスムーズでしたね。理念とする「明日の笑顔に-Next Smile-」は、コンサルタントの方をファシリテーターとして迎え、スタッフ全員で意見を出して練り上げたものです。健康で笑顔の人生を歩んでもらうため、口の健康を守り、地域の皆さんの全身の病気まで防ぎたい。 そのために私たちにできることを考え、実行するという意思を込めました。さらに、理念を実現するため当院は「輝き」「つながり」「守る」「頼れる」という「4つの心」をキーワードに掲げています。これらの頭文字を合わせると「かつまた」に。当院が4つの心で構成されていることを示しているのです。
診療面のテーマを教えてください。
「治療から予防へ」をテーマとしています。これは単に定期通院してメンテナンスを、という水準にとどまらず、「虫歯や歯周病などの病気になぜなったのかの『根本原因』を探り、そこに対してアプローチする」ということです。また、口は歯科、体は医科と役割分担するのが一般的ですが、本来、口は体の一部ですよね。こうした観点に立ち、私は医科に関する知識も吸収して、「より深い意味で全身の健康を守るため」、そして、患者さんご自身が備えている「健康になる力を引き出すため」の予防をめざしているんです。そのために口の中の状態だけでなく、全身の健康状態、生活スタイル、パーソナリティーといった側面にまで目を配り、当院の考える予防を実現するための提案やアドバイスを送ります。一方、治療が必要な方もまだ多くいらっしゃいますから、予防の前段階として、お一人お一人に合った歯科治療を提案することも重視しています。
なぜ根本原因にまでアプローチするのですか?
そこには、単なる予防や治療のみでは虫歯や歯周病になってしまう方、治療後も何度も再発する方が少なからずいらっしゃるということが関わっています。なぜ病気になるのか、再発を繰り返すのかを探ると、歯並びに問題が見つかることがあります。一歩進んで、歯並びの問題の背景を調べると、その根本には口周りの筋肉や舌の位置、呼吸の仕方などが深く関与している場合もあるのです。また、噛み合わせが前後・左右にずれているなどの理由から、顎の位置が適切でない方もかなりいらっしゃいますね。噛み合わせは普段の食生活や姿勢、ストレスからくる歯ぎしりなどの影響も受けて変化してしまうものなのです。このようなことからも、効果的な予防や再発防止のためには、患者さんの生活全体を把握し、根本的な問題解決を図る必要があるとおわかりいただけるかと思います。
装置のみに頼らない矯正プログラムを多世代に届ける
歯並びが悪いなら矯正だけをすればいい、とは限らないのですね。
そのとおりです。根本原因にアプローチするために噛み合わせの改善もめざす矯正に力を入れており、さらに総合的な矯正プログラムも提案しています。このプログラムの特徴が一般的な矯正と異なるのは、装置だけに頼らないところ。むしろ患者さんご自身で行っていただく自主トレーニングが重要となります。総合的な矯正プログラムを当院に導入するにあたっては、その道の先駆的存在の先生のもとで知識や技術を習得させていただきました。日々アップデートを続けている私自身の知見も取り入れながら、専門的なプログラムを、さまざまな年齢の方に対応できる形でご用意しています。お子さんから成人の方まで、ぜひお試しください。
具体的にはどんなトレーニングを行うのでしょう。
当院で提案している手法の一つは、MFT(口腔筋機能療法)と呼ばれるトレーニングです。これは、舌や唇や頬の筋肉や咀嚼に使う筋肉など口周りの筋肉の機能改善に加え、歯並びにかかる力のバランスを整えることを目的としています。歯列にかかる力のバランスを整えていくと、歯を正しい位置に導くことにもつながっていくと考えられているんですよ。MFTの主な対象はお子さんですが、矯正後に後戻りしにくくなることも期待できるため、矯正を行う成人の方にも提案しています。特にお子さんの場合、口の周囲の筋肉が弱いままだと、顎の発達が不十分になったり、舌が正しい位置に収まらなかったりして、歯並びの不具合だけでなく口呼吸となることも。ですから、早めに取り組むことをお勧めします。
お子さんのMFTではどんな工夫をされていますか?
MFTは筋力トレーニングですから、お子さん自身がやる気になって自ら筋肉を動かさないと望む結果が得られません。そのため、本人が納得してトレーニングに取り組めるように工夫しています。例えば、最初にお子さんの口の動きを動画に撮って、本人や親御さんに見せ、口の動きを自分なりに評価して改善への意欲を持ってもらっています。また、すでにMFTを終えた患者さんのトレーニング前・後の写真を見せ、わかりやすく説明をするのも一つの方法です。ほかにも、MFTや矯正に興味を持ってもらえるよう当院オリジナルのキャラクターを制作中で、完成したらお子さんにもっとアピールできると思っています。
噛み合わせや顎の位置まで適切に整えていく矯正を
成人の噛み合わせの大切さについて教えてください。
虫歯や歯周病のほか、かぶせ物や入れ歯がよく壊れるなど、口の中のトラブルを繰り返す背景には噛み合わせの不具合や、それに伴う顎のずれがある可能性があります。心当たりのある方はまず、噛み合わせの状態を歯科医院で確認したほうがいいでしょう。当院では顎の噛み合わせや動きを評価する検査装置を導入しており、検査結果を参考に望ましい顎位を割り出しています。また矯正では、歯並びと顎位の両方を確認しながら、なるべく非抜歯で行えるよう計画を立てていきます。ほかに、インプラントを入れても噛み合わせがずれたままだと、十分に機能を発揮できないことが考えられますね。そのため当院では、噛み合わせの調整後にインプラント治療を行う方法も選択肢としてご提案しています。
こちらのスタッフさんはとても生き生きとされていますね。
診療はスタッフ全員が気持ちを合わせて行わないと難しいチーム作業です。当院の理念はメンバー全員で定めたものですから、各自が自分事として捉え、それによって組織自体が強くなっていると感じています。今後、各人の裁量で動ける範囲をより広げていってもらいたいと思っており、そのために一緒に講習会に行くこともありますね。すでに、MFTなどのトレーニングの指導役は歯科衛生士をはじめとしたスタッフが中心になって担ってくれています。スタッフの成長を見るのはうれしいですし、スタッフたちも自分自身の成長を楽しんでくれているようです。
最後に、今後の展望についてお聞かせください。
インプラントも矯正も入れ歯も、口腔内を良い状態にするための手段にすぎません。それらを活用しながら良い噛み合わせをつくることで、根本的な予防につなげるというスタンスを今後も重視したいと考えています。また、口腔内の問題は口呼吸が原因である場合も多いため、今まで得た知見をもとに呼吸法の指導に力を入れていけたら、と。これまでも医科歯科問わず多分野の扉を叩いてきましたが、これからは食育についても学びたいと思っています。現在は社会状況として難しいものの、いずれは子どもの歯並び相談会や食育イベントなどを開催したいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本53万円~、子ども向けのMFTプログラム:46万2000円~、ワイヤー矯正/121万円~、セラミックインレー/7万4250円~、セラミッククラウン/12万1000円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。