不調の原因が上咽頭炎の場合も
上咽頭擦過療法(Bスポット療法)
はなまるクリニック
(川口市/東川口駅)
最終更新日:2022/04/06
- 保険診療
ウイルスや細菌は目や鼻、口から入って粘膜に付着し、感染を引き起こす。鼻や口から侵入した場合は、喉の突き当たりの部分にある上咽頭がその感染にさらされる場所になりやすいとか。「はなまるクリニック」院長の岡村一成先生は、医科の枠を超えた医学勉強会にもたびたび参加し、耳鼻咽喉科に関連するアレルギーや免疫疾患などに見識を深めているドクターだ。最近、上咽頭炎が原因と考えられる不調に悩む患者を診察する機会も増えたことから、同院では「上咽頭擦過療法(Bスポット療法)」の診療にも力を入れてきた。「Bスポット療法は慢性上咽頭炎が原因で引き起こされると考えられる、さまざまな不調を持たれている方にとって試す価値のあるもの」と話す岡村先生に、同療法の対象となる疾患や、その内容について詳しく語ってもらった。
(取材日2022年3月25日)
目次
慢性化すると鼻水が喉に流れたり、頭痛を引き起こすこともある上咽頭炎。早期の受診で治療を開始しよう
- QBスポット療法の特徴を教えてください。
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A
上咽頭が慢性的に炎症を起こしている方に対して行うものです。上咽頭は、鼻と喉の間に位置する口蓋垂、通称「のどちんこ」と呼ばれている部分の裏側にあります。上咽頭は空気の通り道にありとてもデリケートな部位であり、ほこりに混じって細菌やウイルスが付着すると、免疫力が落ちている時には炎症を引き起こすこともあるのです。ただ炎症が起きても自覚しにくく、それで発見・治療が遅れることも多いです。処置の内容としては、鉗子の先に巻きつけた綿に塩化亜鉛という薬剤を含ませて、それを上咽頭部にこすりつけるように塗布します。鼻から鉗子を入れて処置を行う先生もいますが、当院ではまんべんなく患部に塗るためお口の中から行います。
- Qどのような方が対象になりますか。
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A
慢性上咽頭炎を発症していると判断された方ですね。患者さんの症状としては、上咽頭に炎症が起きていると気づいて来院される方はほとんどいらっしゃいません。例えば、鼻や喉の違和感や痛みの他、頭痛、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などの症状を感じている方も上咽頭に炎症が起きているかもしれません。一時的には薬で症状が抑えられたとしても改善になかなかつながらない方などが、インターネットで検索してBスポット療法のことを知ることも増えているようです。当院では別の主訴で来院された方であっても、もし上咽頭炎が原因の不調だと判断できた場合は、保険適用ですので、このBスポット療法をご紹介させていただいています。
- Qこの処置で、どのような変化が期待できるのでしょうか?
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A
上咽頭の炎症を抑えていく目的のものですので、ウイルスなどの物質が取り除かれて免疫系の異常な反応を鎮めていくことにつながるのが大きな特徴です。実は、Bスポット療法自体はずっと以前からある治療法なんですよ。最近では感染症治療の後にも長引く不調が上咽頭にも関係しているのではないかと、このBスポット療法の可能性が注目されるようになってきているようですね。個人的には、今まで原因不明とされてきた耳鼻咽喉科領域の不調に対しても、上咽頭の炎症が関連していることが多いのではないかと考えています。
- Q痛みも伴うそうですが、気をつけていることはありますか。
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A
薬剤を塗布した際に、焼けるような痛みは感じますが、耐えがたいというほどではないのでご安心いただければと思います。当院ではBスポット療法の処置にかかる時間は15秒前後。処置後はヒリヒリ感が1~2時間ほど続きます。期間では10~15回、週に1、2度通っていただき、約3ヵ月が目安ですね。治療を中断して1~2週間間隔が空くと症状が後戻りしてしまうこともありますので、できるだけ集中して受けられる期間を設けてもらうのがベストでしょう。
- QこちらのクリニックでBスポット療法を受けるメリットは?
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A
処置の件数も重ねてきているので薬剤の塗布はあっという間に終わると思いますよ。口腔内からのアプローチなので短時間で処置できるのです。もちろん、しっかり必要な部位に塗れるように、事前に内視鏡で上咽頭の状態をチェックしてから行っています。継続して治療していくことで炎症を抑えていきますので、最初は治療後に出血していた方も出血することも少なくなり、その状況もみながら治療の進み具合を判断していきます。基本的には服薬との併用治療が望ましいのですが、当院では単独でBスポット療法を用いる方も多いです。