アトピー性皮膚炎や食物アレルギー
アレルギー症状を緻密に分析
おながわ小児科アレルギー科クリニック
(福岡市西区/橋本駅)
最終更新日:2025/09/08


- 保険診療
アレルギーと言っても、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症、じんましんなど症状や重症度は一人ひとり異なる。治療、そして予防で大切なのは、アレルギーを引き起こす原因を明らかにすること。女川裕司先生が院長を務める「おながわ小児科アレルギー科クリニック」では、プリックテストといった皮膚アレルギー検査や血液検査を適切に行い、年齢、環境因子などの因果関係を解き明かすことで、早期治療、長期的な予防を行っている。「今年の結果をベースに来年の生活を考えれば、アレルギーを理由にスポーツや学校行事を諦めなくて良いんですよ」と院長は言葉に力を込める。「親御さんが主治医になり、私たちがそのサポート役になることが理想です」と語る院長に、アレルギー疾患の診療方針などについて話を聞いた。
(取材日2025年9月4日)
目次
アレルギーの因果関係を明らかにし、一人ひとりの症状に合わせ将来を見据えた治療を実施
- Qアレルギー疾患に対するクリニックの診療方針について伺います。
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A
▲疾患ごとにスタッフ手作りの資料がある
アレルギー治療の目的は早めの無症状化です。患者さんに応じた長期的な治療方針を一緒につくっていきます。最終的には本人や保護者が主治医になることが理想です。例えば患者さん方が生活の中で積極的に食事の摂取方法などを工夫できるように治療の段階から丁寧な説明をしています。その中でも大切なことは、完璧を求めすぎないことです。完璧を求めすぎると、症状が出た際に「どうして症状が出てしまったのだろう」とご自身やお子さんを責めてしまうことにもなりかねません。しっかり治療と向き合いながらも、ある程度寛容になることが、長期的な治療には大切です。その失敗を含めた経験を共有し、サポートすることが私の役目だと思っています。
- Qアレルギー検査にはどのようなものがありますか?
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A
▲アレルギー検査について説明する女川院長
検査結果は、予防と治療のために必要な情報源です。アレルゲン検査には、血液と皮膚を用いるタイプがありますが、主として前者の血液検査を行っています。当院では2023年1月から12月までに1200件ほどの検査を実施しました。1回に13項目のアレルゲンが保険診療で調べられますので、一人ひとりに合った組み合わせを提案します。大切なのは、検査結果とそのアレルゲンによる因果関係を検討することです。長年の経験からあくまで結果を参考にしてアレルギーの治療を進めています。検査は生後5ヵ月から受けられますし、アレルギー疾患の診療にはかなり有益だと思われますので、まず検査を受けていただくようお勧めしています。
- Qアトピー性皮膚炎の治療のポイントについて教えてください。
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A
▲診察室の壁には薬が掲示されており、それを用いて説明してくれる
治療の最終目標は保湿剤のみできれいな皮膚をキープできることです。以前は賛否もありましたし、新薬も登場してきましたが、治療の根幹はステロイド外用です。ただ、副作用を起こさないためには、皮膚を清潔にし保湿剤でしっかりとスキンケアをすること、抗アレルギー薬でかゆみをコントロールすること、ステロイド薬もプロアクティブ療法といってすぐ薬を中止せず根本的な皮膚の改善まで減量しながら使用することを勧めています。当然、悪化因子や食物抗原の関与を見つけ出し、ライフスタイルに合わせた対策も重要です。罹患期間が長いほど、症状が治まり穏やかになるまで時間がかかりますので、早期のコントロールが最適だと思います。
- Q食物アレルギーの治療のポイントについて教えてください。
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A
▲診察室の壁に並ぶ薬や絵を用いて説明してくれる女川院長
食物により誘発される食物アレルギーへの対処としては、検査などで誘因抗原と確定した食物を食べないこと、すなわち食物除去が原則です。以前は完全除去を続けることが多かったのですが、最近では必要最低限の食物除去を行うようになってきています。小児の食物除去においては、栄養面も当然考えますが、保育園や学校などによる給食の問題もあります。また季節性や体調にも左右されますし、除去していた食物を食べたがらなくなる場合も多々あるため、保護者の方の考えをお聞きしながら、総合的に判断して除去を進めています。
- Q食物経口負荷試験とはどのような検査ですか?
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A
▲受診時にたくさんの情報を持ってきてほしいと語る女川院長
食物経口負荷試験は、アレルギーを疑われる食物を実際に食べてその後の症状を確認して診断する試験です。この試験により食物アレルギーの誘因抗原の診断や重症度の確認、また食物アレルギーに対する耐性を獲得したかどうかを確認することを目的とします。大切なのは検査と詳細な問診を行い、摂取できる量を見定めることです。お子さんの食物アレルギーにおいても、食物経口負荷試験は必要な試験だと思っています。