一般不妊治療と生殖補助医療
最適な選択をするためのポイント
医療法人 蔵本ウイメンズクリニック
(福岡市博多区/博多駅)
最終更新日:2024/12/06
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いざ不妊治療を開始しようと思った時、まず悩むのがクリニック選び。「できるだけ早く受診するほうがいいとは聞くけど……」「どんな治療法があるのだろう?」「一般不妊治療と生殖補助医療(ART)の違いって?」。検索すればするほど出てくる専門用語や治療法などに、自分たちに合うクリニックは果たしてどこなのだろうと頭を抱える人も多いことだろう。40年以上不妊治療に携わってきた「蔵本ウイメンズクリニック」の蔵本武志院長は、生殖医療は日進月歩といわれているだけに、可能になったことも年々増えていると語る。そして「パートナーと取り組むことが重要」だと言いきる蔵本院長に、不妊治療の入り口である一般不妊治療の流れや治療法、そのステップアップとなる生殖補助医療について解説してもらった。
(取材日2021年6月29日)
目次
不妊治療の入り口である一般不妊治療と、その先の生殖補助医療。最適な選択をするためのポイントとは
- Q不妊治療の流れについて教えてください。
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A
まずは不妊の原因を調べます。女性側の原因としては排卵障害や卵管通過障害、抗精子抗体の存在などがあります。その他にも子宮筋腫や子宮内膜症、クラミジア感染症が影響している場合も。一方、男性側はEDや精子数の減少及び運動率の低下などが主な原因になります。また、男女両方の要因が複数重なっている場合も多く見られますし、中には機能性不妊といって原因が特定できないことも。検査によって原因特定ができれば原因に合った治療を選択しますが、機能性不妊の場合、負担の少ないタイミング法や人工授精を行う一般不妊治療から開始。そこで良い結果が見込まれなければ体外受精、顕微授精といった生殖補助医療へ進みます。
- Qまずはどのような方法で行うのが一般的ですか?
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A
各検査で大きな異常が認められなかった場合は、まず一般不妊治療から開始します。超音波検査で卵胞の大きさをチェックし、尿中のLHという排卵期に出てくるホルモンを調べる排卵検査薬を併用するなどして、排卵の時期を推定します。タイミング法では排卵が近くなったら頻回に性交渉をもつように指導。人工授精では、推定排卵日に精液を採取して持参いただき、運動性の良い精子を集める処理をした後に、調整した精子を子宮内に細い管を使って注入します。排卵障害があるケースには、内服薬や注射による排卵誘発剤を併用することもあります。このような流れで数回繰り返し行う治療を一般不妊治療といい、一般的な不妊治療の入り口となります。
- Qそれでも難しい場合はどのような方法を行うのでしょうか?
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A
一般不妊治療で妊娠に至らない場合、体外受精や顕微授精という生殖補助医療を行います。排卵誘発剤を用い多数の卵胞の発育を促して、複数個の卵子を採取し、体外で精子との受精を図ります。卵子に精子を振りかける体外受精と、顕微鏡で見ながら1個の卵子に1個の精子を注入する顕微授精があります。顕微授精は精子の数が極端に少ない場合や運動性が悪い場合や体外受精で受精しなかった場合に適用。当院では原則として子宮に着床する直前の胚盤胞という状態になるまで5~6日間培養します。着床率を上げるため、その胚は一旦凍結保存し、子宮内膜を移植に適した状態に整え移植。生殖補助医療では各専門家がチームを組み高い妊娠率をめざします。
- Qどの治療を選択すべきか、そのポイントを教えてください。
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A
年齢の高い人は一般不妊治療に固執することなく、早めに生殖補助医療を行うことをお勧めしています。また、若くても卵巣予備能が低下している人は早めに治療のステップアップを考えるようにお伝えしています。生殖補助医療では、排卵誘発法もいくつか種類があり、強い刺激を行えば採れる卵子の数は増えることが見込めますが、それだけ体への負担も大きく、また費用もかかります。しかし、複数の受精卵が凍結できれば、それを用いて2人目の妊娠をめざせる場合も。女性の場合は妊娠できる年齢が限られていますので、将来設計も考えた上でどのような治療を選択するか、ご夫婦でしっかりと話し合いをされることが重要だと思います。
- Q不妊治療には早く取り組むことが重要なのですね。
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A
いくら技術が進歩しても、女性の年齢が上がるにつれ卵子の質は低下します。残念ながらそれを止めることはできません。不妊の原因はさまざまですが、晩婚化により妊娠を希望する時期が年々高齢化していることも不妊の大きな要因の一つ。卵子の質の低下は、妊娠率にも比例します。女性が妊娠・出産しやすい時期は25歳から35歳までとされており、それ以降は年齢を重ねるごとに、妊娠・出産しづらい体になっていきます。早く取り組むことが重要なのは昔も今も変わりません。しかし、その環境がいまだ整っていない社会であるのも事実。ストレスなく不妊治療に取り組めるよう、職場でのサポート体制が強化されることも願っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは抗精子抗体検査/4700円、人工授精/2万3000円、体外受精/約45万円~70万円、顕微授精/37万4000円~、タイミング法/1万円~ ※診察内容によって、価格は変動します