全国のドクター8,926人の想いを取材
クリニック・病院 160,459件の情報を掲載(2023年3月30日現在)

  1. TOP
  2. 福岡県
  3. 福岡市博多区
  4. 博多駅
  5. 医療法人 蔵本ウイメンズクリニック
  6. 蔵本 武志 院長

蔵本 武志 院長の独自取材記事

医療法人 蔵本ウイメンズクリニック

(福岡市博多区/博多駅)

最終更新日:2021/10/12

128109 top

博多駅筑紫口から徒歩4分、県内外から多くの患者が訪れるという「蔵本ウイメンズクリニック」は、不妊治療に力を入れる婦人科医院として1995年に開院。これまで妊娠・出産を願う多くの人々と向き合ってきた蔵本武志院長は、日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。同院は不妊治療の専門家である医師をはじめ、培養士、看護師、カウンセラー、事務など、それぞれの専門的な知識と技術を有する総勢約70人にも及ぶスタッフが集結しているクリニックだ。多くの悩みに心を砕き、笑顔へと導いてきた背景にあるのは、蔵本院長を筆頭とするスタッフ全員の決して諦めない姿勢。蔵本院長がかじを取るチーム医療、その情熱にふれてきた。

(取材日2021年4月16日)

生殖医療に関わる職能集団によるチーム医療を提供

まずはこれまでの歩みからお聞かせください。

11

私は山口県で高校まで過ごし、大学は久留米大学医学部へ進学しました。卒業後は山口大学医学部附属病院の産婦人科研修医を経て、山口大学大学院にて不妊に関連するホルモンの研究に従事し、大学院修了後は山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を務めるなど、これまで42年間不妊治療に携わってきました。山口県での体外受精・顕微授精による出生に携わったほか、1990年には体外受精を中心に研鑽を積むためオーストラリアのPIVETメディカルセンターに留学。アメリカやヨーロッパでも体外受精を扱う先進の施設でさまざまな知識と技術を学んできました。その結果、生殖医療は医師一人ではできず、培養部門、看護部門、心理部門などの生殖医療に関わる専門的な職能集団によるチーム医療を行うことが最も良い結果をもたらし、患者さんの満足度の向上につながることを確信したんです。

それが1995年、体外受精を中心とする不妊治療を扱うこのクリニックの開院につながったのですね。

はい。当時はここからすぐ近くの場所で開院をし、それから18年たった2003年に、21世紀にふさわしいより充実した生殖医療を行うべく、現在の場所へ移転しました。県内外から来られる患者さんの利便性も考え、移転先も移転前と同じ博多駅から近いこの場所にしたんです。当院はほかの施設で何度も不妊治療をされた方や40代の患者さん、男性不妊症の方も多いのが特徴です。治療にかける時間に余裕がない方が多いことから、各部門に研鑽を積んだスタッフを配置し不妊原因を適切に捉え、チーム医療による効率的な治療を行うことで早期の妊娠をめざします。そのため、医療の国際的な品質管理システムの規格であるISO9001を2004年に認証取得。医療の品質管理、安全管理を徹底しています。生殖補助医療の質の向上と安全管理をめざすJISART(日本生殖補助医療標準化機関)に2003年の発足当初より加盟しており、現在理事長を務めています。

生殖医療は日進月歩と言われています。可能になったことも増えたのでは?

22

例えば、がんを罹患した未婚女性が化学療法や放射線治療の前に未受精卵子を凍結保存し、妊孕性(にんようせい)の温存を図るケースは最近増えています。このように昔の生殖医療ではできなかったことも可能になったからこそ、初心忘れるべからずであらねばと思っています。私たちは悩んでおられる方一人ひとりのご希望を全力でかなえてあげたい、患者さんのご希望がある限り決して諦めない、この気持ちをスタッフ全員が持ち、一つのチームとして取り組んでいます。ですので、不妊治療助成金の対象が43歳未満になっている今も当院は患者さんの年齢は制限していません。もちろん難しい症例もありますが、それを可能にするためのチーム医療だと考えています。余程のことがない限りこちらから治療の卒業を提案することはありません。少しでも望みがある限り、全力でお応えします。

年齢や卵巣予備能を考慮したオーダーメイドの治療

こちらのクリニックならではの治療を教えてください。

33

高齢の患者さんは若い患者さんに比べて取れる卵子数が減少し、卵子の質が低下することで妊娠する確率も低下してきますが、その方の背景や治療歴、卵巣予備能の状態など個々の条件に応じて対処するオーダーメイドの治療をしています。卵巣刺激の工夫に加え、大きな特徴として挙げられるのが、胚のさまざまな情報を蓄積し、受精卵を培養器の外に出さずに観察できるタイムラプス機能つき培養器の活用です。また、2~3回胚移植を行っても妊娠が見込めない難治性の患者さんには、各部門が集結して問題解決に向けたカンファレンスも実施。このほか、不妊治療に詳しい看護師が不妊治療と仕事の両立に悩まれている方のお話をお聞きしてアドバイスを行うなど、さまざまな対応をしています。

男性不妊にも対応するほか、メンタルカウンセリングなども実施されているとお聞きしました。

患者さんの約半数が男性不妊でお悩みの方、そしてご夫婦ともに原因が見つかるケースもあることから、当院では早い時期から男性不妊を専門にした診療枠を設けて対応してきました。また、不妊治療は経済的、精神的負担からうつ病を発症される方も多く、メンタルケアが非常に重要となります。そこで臨床心理士によるメンタルカウンセリングに24年前から取り組んでいます。このほか染色体異常が原因によるお子さんを出産されたり、着床不全や流産を繰り返されたりする方、そして希望される方などを対象とした遺伝カウンセリングも行っています。こうしたさまざまな取り組みをしているため、ドクターだけでも非常勤含めると10人以上、総勢約70人のスタッフが在籍しています。

研鑽を重ねたスタッフをこれだけ集めるのは大変だったのではないですか?

44

いえ、情熱を持って前向きに努力し、技術と知識を吸収していくと、自然と同じ志を持つ人たちが集まってくるんです。医師一人では患者さんの願いをかなえることはできません。各専門家によるチームの構築が不可欠なのです。私の医師をめざした原点は「困っている人を助けたい」という想いでした。それは今も変わりません。難しい症例の方ほどウエルカムです。もちろんこれまですべての方を救えたかというとそうではではなく、中には願いがかなわないまま卒業を決断された方もおられました。その方たちの想いも背負っているわけですから、一人でも多くの方の思いをかなえることが私の使命だと思っています。

妊娠・出産を希望する人がいる限り、決して諦めない

これまでの医師人生の中で、印象的なエピソードがあればお聞かせください。

55

私が医師になって初めて体外受精を行った患者さんが、小学生になった娘さんを連れて会いに来てくださったことは今も忘れられませんね。この方以外にも、折につけお子さんの成長した写真を同封したお手紙を送ってくださる方がいます。ほんの一例ですが、このようなエピソードの一つ一つが不妊治療に携わって良かったと心から思わせてくれます。私にとって何よりのプレゼント。励みになりますね。

プライベートについてもお聞かせください。休日はどのように過ごされていますか?

休日は家で過ごすことが多いですが、観劇が好きなので大好きな劇団のミュージカルを観に行ったりしています。院長室にサイン入りのポスターも飾っていますよ(笑)。それから、休日は映画を観に行くこともあります。ただ、現在私はクリニックの診療以外にも、生殖補助医療を行う医療機関で構成された団体の理事長や、日本IVF学会の常任理事を務めさせてもらっているのでなかなかゆっくり休める日がないというのが現状ですね。

最後に、これから妊娠・出産を考えている人たちに、先生からメッセージをお願いします。

66

女性が最も妊娠・出産しやすい時期は25歳から35歳までとされています。それ以降は年齢を経るごとに卵子の老化が起こり、だんだんと妊娠・出産しづらくなります。将来、赤ちゃんを望まれる方は妊娠・出産を先延ばしにして、いざという時に困らないよう、人生設計を立てられることをお勧めいたします。ご結婚後、お子さんを希望されて1年たっても妊娠されない方は早めに専門の施設にご相談されてください。妊娠・出産適齢期であれば、不妊治療を受けることになっても治療回数が少なくて済むことが多く、経済的負担も少なくなります。そして、妊娠・出産を願うすべての方に一番お伝えしたいのは、諦めないでほしいということ。患者さんが希望される限り、われわれも決して諦めません。一緒に頑張りましょう。

自由診療費用の目安

自由診療とは

体外受精の初回診察料/2万円~(女性)、8000円~(男性)、体外受精の再診診察料/5000円~(女性)、体外受精/約45万~70万円 ※診察内容によって、価格は変動します

Access