蔵本 武志 院長、蔵本 和孝 副院長の独自取材記事
蔵本ウイメンズクリニック
(福岡市博多区/博多駅)
最終更新日:2026/08/13
博多駅筑紫口から徒歩4分ほどに位置し、県内外から多くの患者が訪れる「蔵本ウイメンズクリニック」。1995年の開院以来、妊娠・出産を願う人々と向き合ってきた蔵本武志院長は、さまざまな研鑽を積んだ生殖補助医療のスペシャリスト。同院には不妊治療の専門家である医師をはじめ、培養士や看護師など、専門的な知識と技術を有する総勢約70人ものスタッフが在籍し、患者の悩みに心を砕き、笑顔へと導いている。要となるのはスタッフ全員の決して諦めない姿勢だ。2025年には、総合病院の産婦人科などで研鑽を積んできた蔵本和孝先生が副院長に就任し、さらなる診療体制の強化を図っている。武志院長と和孝副院長がかじを取るチーム医療にふれた。
(取材日2026年2月19日)
生殖医療の研鑽を積んだスタッフとチーム医療を提供
まずはこれまでの歩みからお聞かせください。

【武志院長】医学部卒業後、山口大学医学部附属病院の産婦人科を経て、山口大学大学院で不妊に関連するホルモンの研究に従事しました。大学院修了後は山口県立総合医療センター産婦人科副部長や山口県済生会下関総合病院産婦人科部長を務めるなど、40年以上不妊治療に携わってきました。1990年には体外受精を中心に研鑽を積むため、オーストラリアのPIVETメディカルセンターに留学。アメリカやヨーロッパでも体外受精を扱う先進施設で学んできました。これらの経験から、生殖医療は医師一人ではできず、培養、看護、心理など各部門の専門知識を持つ人々によるチーム医療が良い結果につながり、患者さんの満足度向上が望めると確信しました。
それが1995年、体外受精を中心とする不妊治療を扱うクリニックの開院につながったのですね。
【武志院長】ここからすぐ近くの場所で開院し、2003年に21世紀にふさわしい充実した生殖医療を行うべく、現在の場所へ移転しました。当院は、他の施設で不妊治療をされた方や40代の患者さん、男性不妊症の方も多いのが特徴です。治療にかける時間に余裕がない方も多いため、各部門に研鑽を積んだ専門スタッフを配置して不妊の原因を適切に捉え、チーム医療による効率的な治療で早期の妊娠をめざします。そのため、国際的な品質マネジメントシステムに関する規格であるISO9001を2004年に認証取得し、品質管理・安全管理を徹底しています。生殖補助医療の質の向上と安全管理をめざすJISART(日本生殖補助医療標準化機関)には2003年の発足当初より加盟しています。JISARTを通じて他院の取り組みを学び、良い点を診療に生かしています。
2025年には和孝先生が副院長に就任されました。

【和孝副院長】大学卒業後、九州大学に入局し、九州医療センターや北九州市立医療センターなどで研鑽を積み、日本産科婦人科学会産婦人科専門医を取得しました。実は子どもの頃、父は仕事で忙しくあまり家に帰ってこず、寂しい思いをしていたんです。しかし、医師になってから、父が福岡の不妊治療をけん引してきたことや患者さんのことを第一に考えて診療してきたことを改めて知り、自分も不妊治療の分野を専門とすることに決めました。2019年からは、当院で非常勤として働きながら、大学院で子宮内膜と老化をテーマに研究しました。その後、浜の町病院で不妊症手術や不妊治療に関する知見を深めました。2024年から当院常勤となり、2025年に副院長に就任しました。
多様な高度生殖医療で妊娠を支援
こちらのクリニックならではの特徴を教えてください。

【武志院長】患者さんの背景や治療歴、卵巣予備能の状態など個々の条件に応じてオーダーメイドで提供することをめざしています。卵巣刺激の工夫に加え、大きな特徴は、胚のさまざまな情報を蓄積し、受精卵を培養器の外に出さずに観察できるタイムラプス機能つき培養器の活用です。患者さんが希望される限り決して諦めないという気持ちをスタッフ全員が持って取り組んでいます。
【和孝副院長】生殖補助医療だけでなく子宮鏡手術や卵管鏡下卵管形成術(FT)に対応しています。子宮鏡手術では、内膜にできたポリープや筋腫を、正常な内膜への影響を抑えながら摘出します。FTは狭窄・閉塞している卵管を広げるための治療法です。いずれも福岡で行えるクリニックは少ないと聞いています。院内で処置することで、患者さんの負担軽減につながればと考えています。
男性不妊にも対応する他、メンタルカウンセリングなども実施されているとお聞きしました。
【武志院長】患者さんの約半数が男性不妊ということもあり、当院では早い時期から男性不妊を専門にした診療枠を設けてきました。また、治療には精神的負担も伴うため、メンタルカウンセリングに25年以上前から取り組んでいます。こうしたさまざまな取り組みを行うため、当院には総勢約70人のスタッフが在籍しています。当院は患者さんの年齢は制限していません。もちろん難しい症例もありますが、それを可能にするためのチーム医療だと考えていますので、少しでも望みがある限り、全力でお応えします。
スタッフ全員が一つのチームとして治療に取り組んでいるのですね。

【和孝副院長】全体のレベルアップを目的に週1回カンファレンスを行い、症例ごとにより良い治療方針を検討し提案しています。医師だけでなく看護師や培養士などそれぞれの職種でAIを活用した抄読会や勉強会への参加を推奨し、学びを診療に生かしています。例えば、院内システムも整備し、症例と論文を照らし合わせて治療方針を導きやすいマニュアルを整えています。また、治療内容をわかりやすく伝えるための説明動画も作成しました。各分野で、患者さんのために何ができるか常に考えています。
妊娠・出産を希望する人がいる限り、決して諦めない
2022年に不妊治療の保険適用範囲が拡大され、どのような変化がありましたか?

【武志院長】大きく3つの変化がありました。まずは患者さんの経済的負担軽減。精神的な安心感につながり若い世代の来院も増えています。次に体外受精の標準化が進み、全国どの医療機関でも同じ治療を同じ料金で受けられるようになりました。さらに、不妊は治療すべき病態であるとして社会的認知が進み、通院のため職場の理解を得やすくなったと感じています。
【和孝副院長】保険診療の導入により、思い切ったことに取り組みにくくなった面もあります。しかし、海外に目を向けると、生殖医療はまさに日進月歩。当院は毎年海外での勉強会に参加していますし、今後も新しい治療法にアンテナを張っていきたいですね。
不妊治療の注意点や現状の課題について教えてください。
【和孝副院長】保険診療で不妊治療を行う際には、年齢によって回数が制限される治療もあり注意が必要です。体外受精は治療開始時点で女性が43歳未満であることが条件。さらに、開始時期が39歳と40歳では挑戦できる回数が大きく異なります。妊娠を希望される方は早めに受診し、治療計画を立てていただきたいと思います。
【武志院長】従来の体外受精や顕微授精の技術・検査がすべて保険適用となったわけではなく、保険と併用できる自由診療として、生殖補助医療として使える11種の先進医療が認められています。今後はこれらの先進医療が保険適用となることを期待しています。また、40代で妊娠・出産を希望する方も多く、不妊治療継続のために働き方を変える方や退職を選ぶ方は少なくありません。こうした方の経済的負担軽減のためにも、40代の保険適用回数の拡充が必要と考えています。
最後に、これから妊娠・出産を考えている方へメッセージをお願いします。

【武志院長】女性が最も安全に妊娠・出産しやすい時期は25~35歳までとされています。将来、赤ちゃんを望まれる方は、いざという時に困らないよう、人生設計を立てられることをお勧めいたします。お子さんを希望されて1年たっても妊娠されない方は専門の施設にご相談ください。当院では、生殖医療の質やサービス面のさらなる向上のために、新たなクリニックビルの増設を計画しています。
【和孝副院長】「蔵本ウイメンズクリニックだったら間違いない」と言われるような医療を患者さんに届けることをめざしています。そのためには、日々の研鑽を積み重ねていくしかないと考えています。先に院長が申したとおり、患者さんが希望される限り、われわれも決して諦めることはありません。全力で支えていきますので、一緒に頑張りましょう。
自由診療費用の目安
自由診療とはタイムラプス機能つき培養器を用いた採卵・体外受精・胚培養/19万5000円~、抗酸化剤添加培養液を用いたタイムラプス機能つき培養器を用いた採卵・体外受精・胚培養/19万5000円~

