歯並び・噛み合わせの改善をめざす
子どもの頃から始める口腔育成
安部歯科医院
(東大阪市/鴻池新田駅)
最終更新日:2022/06/13


- 保険診療
小さな子どもに歯が生えそろいだすと、気になってくるのがその歯並び。なるべくきれいに並んでほしいと、早いうちから強い関心を抱いている母親も多いことだろう。だが、その対策が歯の生える以前からすでに始まっていると聞くと、驚く人も多いのではないだろうか。噛み合わせには子どもの体の姿勢が大きく影響し、それが歯並びを左右することもあるのだとか。つまり、正しい姿勢をつくることが健康への第一歩となるとも。そんな口腔育成と呼ばれる予防的なアプローチを専門的に実践しているのが、「医療法人 I's MEDICAL 安部歯科医院」の安部逸世院長。今回は口腔育成の仕組みや重要なポイント、具体的な改善方法など、同院での取り組みを通じてじっくり聞いてみた。
(取材日2018年4月13日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q姿勢と歯並びの関係性について教えてください。
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A
不正咬合の多くは発育異常によるものといわれています。正常に成長できていないことが口の中に現れるのですが、赤ちゃんへの授乳のときからすでに始まっている場合もあります。母乳を与えるときのお母さんの姿勢が、正しい飲み込みや呼吸ができるかに影響し、そこから舌や唇の筋肉がうまく使えないなど口の中の機能が制限され、その制限の結果、でこぼこした歯並びで生えてくるようになると考えられているのです。つまり、噛み合わせへの影響は歯が生える前から始まり、それは姿勢が影響していることもある、ということですね。授乳以外でも、離乳食の与え方・座らせ方・寝かせ方・歩かせ方など、育児に関するさまざまなことが影響します。
- Q具体的には、どのような改善方法があるのですか?
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A
トレーナーというマウスピース型の装置を用い、口の中の機能の改善をめざす方法があります。この装置はお子さんみずからが持っている成長する力を利用するもので、ワイヤーで力をかけて歯を無理やり動かすものではありません。舌や唇の筋肉の使い方、飲み込みや呼吸を補正すれば、歯並びも自然にきれいに並んでくるという考え方の治療方法です。ただ、そもそも姿勢から始まっていることですから、姿勢が悪いまま装置を入れても大きな効果は期待できません。正しい姿勢に導くための運動やトレーニングを並行して行うことが大切で、飲み込みや呼吸を装置で改善しつつ、同時に体全体の姿勢も改善していくということが治療のポイントとなります。
- Q生え替わりが遅いと心配されている親御さんもいるようです。
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A
特別な原因がない限り、歯は必ず生え替わります。歯には男女差をはじめ成長の個人差があり、1、2年程度の違いであれば問題ありません。ただ、きちんと食事ができない、飲み込めないといった問題を抱えている子どもがいますから、それを判断したり、問題がないと安心していただくためにも、まずは噛み合わせの専門知識のある歯科医院を訪ねてみるのがいいでしょう。歯並びが完成する時期の3歳児歯科健診というものがありますが、不正咬合はそれ以前に起こっていることですから、やはり早ければ早いほどそのお子さんに合ったアドバイスができます。まだ歯が生えそろっていない時期でも、食のことや飲み込みで悩んだ場合は気軽にご相談ください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1まずは問診・カウンセリングを受ける
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まずは問診票に気になること、どういったことをしたいのかなどを記入する。その内容をもとに、同院に常駐する歯並びコーディネーターと呼ばれる専任のスタッフとのカウンセリングを行う。食事の際の癖など、日常で気づく悩みをここで相談できる。
- 2体全体の状態確認と、歯科医師による診査・診断
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カウンセリングの後は、エックス線検査や歯型模型の製作など、現在の口の中の状態の資料採りが行われる。同院では、舌や唇の筋力測定など口の中や口の周りの状況だけでなく、姿勢写真を撮影して全身の情報を集めていく。こうした資料結果をもとに歯科医師による診断があり、その後、コーディネーターの説明を受けて、今後の改善ポイントや具体的な進め方などを確認する。
- 3さまざまな機器を使ったトレーニング
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噛み合わせを改善するためのトレーニングは、通常の歯科治療と同様、予約をした上で院内にてレクチャー。まずは風船を膨らませたり、吹き戻しという玩具を吹いたり、ガムを噛んだりといった舌や唇を使うトレーニング。さらに、トランポリンや斜面板などを用い、つま先に荷重することで正しい姿勢を覚えるトレーニングも同時に行われる。いずれも子どもが楽しめるよう工夫されているが、家庭での親の協力も大切なのだそう。
- 4マウスピース型装置を用いた自宅でのトレーニング
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正しい飲み込み方や呼吸の方法を覚えるための器具が、トレーナーと呼ばれるマウスピース型装置。装置を入れることによって呼吸を楽にして、正しい顎の成長に導くようにしていく。日中1時間程度の装着で使い方を覚え、夜寝ている間はずっと装着する。装置にはさまざまな種類やサイズがあり、その子どもに適したものを選択して使用。通常は上下一体型だが、慣れるまでは下側にだけ入れて練習する場合もある。
- 5生活習慣指導を受ける
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口腔育成には日常生活の習慣が大きく関わるため、生活習慣の指導も欠かせない。同院の生活習慣の指導は、姿勢の改善を中心に、子どもの抱き方や授乳指導をはじめ、食育から食事の時の座り方、靴の選び方など、実に多岐にわたる。また、管理栄養士による食事指導も受けることができる。間違った姿勢や食べ方を続けているとすぐに悪い癖がついてしまうため、普段の生活から意識的に取り組んでいくことが大切なのだそう。