初期段階はほぼ無症状の糖尿病
定期的な健診で早期発見・治療を
十日市場整形外科内科リハビリテーションクリニック
(横浜市緑区/十日市場駅)
最終更新日:2025/04/15


- 保険診療
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの不足や作用の低下によって、血液に含まれる糖分が多くなる病気。主な原因として、遺伝・肥満・運動不足・膵臓の病気などが挙げられる。初期段階ではほぼ無症状だが、血糖が多い状態が続くと血管に障害が出やすくなり、自覚症状がないままに失明・腎不全・心臓病・脳卒中など重篤な合併症に進展するリスクがある。「十日市場整形外科内科リハビリテーションクリニック」の内科医・羽田哲也先生は、「早期発見のためには、定期的な健康診断の受診が大切です」と呼びかける。実際に、血液検査で糖尿病が発見されるケースは多く、早期発見し血糖コントロールを図ることで合併症の予防が期待できるという。糖尿病の種類や治療法について、羽田先生に聞いた。
(取材日2025年4月4日)
目次
根気強く付き合うことが必要な糖尿病。食事療法、運動療法、薬物療法で血糖コントロールを図り合併症予防を
- Q血液とインスリンの関係を教えてください。
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A
▲患者と話すときは、肯定と共感なくして提案はないと話す羽田院長
インスリンは、膵臓のベータ細胞から分泌されるホルモンです。人間の血液中には、食事を取る・取らないに関わらず常に糖が流れており、インスリンの作用によって細胞に取り込まれ体の活動源となっています。インスリンは、いわば細胞のドアを開ける鍵のような役割を担っているのです。インスリンの働きが正常であれば、細胞にたどり着いた糖はすぐに吸収されるため、血中に糖分があふれることなく血糖値は一定になります。しかし、インスリンの分泌低下や、きちんと生成されているにもかかわらず十分な効果を発揮できない場合には、糖分が吸収されず血糖値が高くなります。これが糖尿病です。
- Qどのような症状が出た場合、糖尿病を疑いますか。
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A
▲整形外科で来た患者も、気になる内科領域を一緒に受診可能
主な症状としては、喉がよく乾く、水分補給が多い、皮膚が乾燥しやすくかゆい、尿の回数や量が多い、体が疲れやすい、傷の治りが遅い、目がかすみやすいなどがあります。心当たりがある方は、一度検査を受けることをお勧めします。また、健康診断の結果、早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上、糖負荷試験(75gOGTT)2時間値が200mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上、HbA1cが6.5%以上の数値が出た方についても、受診が必要です。
- Q糖尿病にはどのような種類がありますか。
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A
▲糖尿病について正しい認識が重要
「1型糖尿病」、「2型糖尿病」、「妊娠糖尿病」などがあります。原因不明で突然発症する「1型糖尿病」は、主に子どもや若年層、痩せ型の方など、幅広い人に発症します。インスリンを生成するベータ細胞が破壊され、最終的にはインスリンがほとんど生成されなくなるため、インスリン製剤を使用して血糖値を一定に保つ必要があります。遺伝、過食や運動不足、肥満などが原因と考えられている「2型糖尿病」は、主に中高年が発症しやすく、糖尿病患者の95%を占めています。妊娠中の一時的な糖代謝異常によって起こる「妊娠糖尿病」は、出産後に血糖値が正常に戻るケースが多いのですが、将来的な糖尿病リスクが高くなるため注意が必要です。
- Q治療法について教えてください。
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A
▲自分に合ったカタチで継続することが大事
主な治療法は、食事療法、運動療法、薬物療法の3つです。食事療法は、1日3回の食事を基本に一人ひとりに合ったエネルギー量を取っていきます。運動療法は、インスリンの働きの改善とエネルギー収支のバランスを取ることを目的に、適度な運動を実施します。全身を使った少しきつめの有酸素運動を1日20分から60分程度、週3日から7日実施するのがお勧めです。さらにダンベル、腹筋などのレジスタンス運動を組み合わせると良いでしょう。食事療法と運動療法で血糖を十分にコントロールができない場合は、合併症の有無などを考慮した上で薬物療法を実施します。経口薬やインスリン製剤を用いますが、用法・用量を守ることが大切です。