歯周病の原因と治療について知り
正しいケアを身につけ病気を予防
澤歯科
(名古屋市中区/丸の内駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
多くの日本人が罹患、または予備軍であるといわれる歯周病。症状が進んでしまうと歯を失うことにもつながりかねないため、歯周病治療はもちろん、病気の予防に関しても注目が集められている。歯周病治療を専門にこれまで数多くの研鑽を積んできた「澤歯科」の澤政樹院長が、定期的なクリニックの受診以上に気を配っているのが、日常生活におけるケアの内容だ。日常生活のケアにおいて大切なこととは何か。澤院長に、同院の治療内容の解説をはじめ、歯周病にまつわる疑問に、詳しく答えてもらった。
(取材日2018年6月13日)
目次
日常生活のケアも含めて歯周病治療。正しいケアを習慣化し、良い状態を維持する
- Q貴院の歯周病治療について教えてください。
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A
クリニックで行うこととしては、月1回程度の定期的な歯のクリーニングを基本とし、必要に応じてレーザー治療を取り入れたり、位相差顕微鏡を用いて菌の構成を確認したりします。歯石の状態によっては、麻酔を用いて歯周ポケットの深い部分までしっかりお手入れすることもあります。大学院在籍時には、歯茎を剥離してクリーニングするフラップオペレーション(歯周病外科処置)も行っていましたが、麻酔を用いたり、歯茎を剥離したりといった処置は、処置後に痛みや知覚過敏が起こりやすいため、患者さんの負担も大きいものです。そういった大がかりな処置をしないで済むように、定期検診だけでなく毎日のケアが重要と考えています。
- Qそもそも、歯周病とはどんな病気なのですか?
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A
歯周病は原因となる細菌に感染し、免疫力などが低下するなどして発症する病気で、多くの生活習慣病と同様に、基本的には完治することはありません。しかし口腔内の状態を上手にコントロールすることで、安定させることは可能です。安定した状態を継続して維持できれば、それは「治った」とも言えるでしょう。つまり歯周病治療は、継続したケアを通して「いかに良い状態を維持するか」が重要なのです。一方で、歯周病によってなくなってしまったもの、例えば顎の骨などは、たとえ状態が安定したとしても再生されるわけではありません。当院でも保険適用の歯周組織再生療法に対応しております。
- Q歯周病を予防するためにはどうすればいいのでしょうか?
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A
突き詰めると、胎児の段階から感染を予防していくことが望ましいですね。人間の体に取り込まれる常在菌は、基本的にお母さんから受け継がれるもの。つまり歯周病を予防するためには、善玉菌が優位になるように整えていくことが重要ということなのです。当院では妊婦さんに行う歯科検診の中で、乳酸菌によって歯周病の原因菌の活動を抑制することを目的とした、日常生活のケアの指導にも取り組んでいます。乳酸菌という、口に含んでも問題ないものを使用する方法のため、乳児期の予防にも活用できますし、今まさに治療を行っている方にもお勧めです。これは一例ですが、毎日のケアがあってこそ、予防や状態維持ができるのだと考えています。
- Q日常生活のケアも、治療の一つなのですね。
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A
そのとおりです。歯周病治療は、クリニックで行うことがすべてではありません。定期的にクリニックでクリーニングをしていても、毎日のケアがきちんとしていなければ、意味がないのです。毎日のケアこそが、歯周病治療および予防において、最も大切と言えるでしょう。そのため当院では、患者さんにとって必要なケア用品の選定と適切な使い方の解説にも非常に力を入れています。ケア用品にしても、かなりの種類があって、例えば奥歯専用の歯ブラシもあれば、インプラント治療をされた方向けの歯磨き粉などもあるんですよ。適切な選定と指導を通して、患者さんの日常生活に正しいケアを定着させることが、私たちの役割だと思っています。
- Q歯周病にも関連する補綴治療に対する考え方をお聞かせください。
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A
確かに歯周病は、進行すればいずれ歯を失うこととなります。補綴治療を検討する際、最初に考えなければいけないのは、患者さんの求める生活の質です。すでに歯を失う危険が予見できる状態であれば、早期に抜歯し、インプラント治療を行うのが妥当と考えます。しかしインプラント治療は費用もかかるため、気軽に選択できるものではありません。歯を抜くことで入れ歯を選択せざるを得ない場合、またそれによって生活の質が下がると考えられる場合は、無理に抜くべきではないと思います。治療の答えは一つではありません。患者さんが生活に求めることは何か、それに対してできることは何かを考えることが、重要だと思います。
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。