こちらの記事の監修医師
ふくろうの森耳鼻咽喉科
院長 中村 健大 先生
かふんしょう花粉症
最終更新日:2022/01/04
概要
スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉が、鼻の粘膜や目の結膜を刺激することによってアレルギー反応が起こり、鼻水や涙が止まらなくなる疾患。基本的には、原因となる花粉が飛ぶ時期にだけ症状が現れるが、中には複数の抗原(アレルギーの原因となる物質)に対するアレルギーを持っており、1年中症状に悩む人もいる。現在、日本には抗原となる花粉が約50種類あるといわれている。花粉症には鼻水とくしゃみがひどいタイプ、鼻詰まりがひどいタイプ、それら両方の症状がひどいタイプがあり、症状によって治療法が異なる。近年、花粉症患者が増加しているのは、スギ花粉の飛散量増加によるものだと考えられている。
原因
花粉症は、スギなどの花粉が鼻や目の結膜を刺激することによって起こるアレルギー疾患の一つであり、特にスギ花粉症は冬の終わりから春にかけて、毎年、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、涙が止まらないなどの症状で多くの人を悩ませている。日本では花粉症の患者が近年増加傾向であるが、その原因はスギ花粉の飛散量増加であるといわれている。スギは植林後40年ほどたつと成木になり、花粉を飛散し始めるが、植林されたスギの大半が樹齢40~60年となっており、活発に花粉を飛散させる時期を迎えているからである。また、日本ではスギのほかにもヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギなど約50種類の植物の花粉が花粉症を引き起こすといわれており、複数の抗原にアレルギーを持っている人の中には1年中症状に悩む人も少なくない。
症状
くしゃみや鼻水が止まらない、鼻が詰まるといった症状が特徴的である。また、目がかゆい、充血する、涙が止まらないといった目の症状も多くみられる。くしゃみは異物を外に出そうとする働きで、花粉症によるくしゃみは何回も立て続けに起こりやすい。また、鼻水は異物を洗い流そうとする働きで、風邪などの際の鼻水と違い、透明でさらさらしている。鼻詰まりは鼻の粘膜が腫れ、鼻の通り道が狭くなった状態で、ほかの症状よりも後から起こりやすい。鼻詰まりは自覚症状として認識されにくいが、鼻が詰まることにより口呼吸となり、口や喉が渇いて咳が出たり、においや味がわかりにくくなったりする。さらに、息苦しくなるため、眠りが浅くなるなどの影響もある。まれに全身の倦怠感や熱っぽさを感じたり、皮膚にかゆみが出たりすることもある。
検査・診断
問診でアレルギー症状の既往歴などを確認する。また、血液検査や皮膚アレルギーテストなどを行い、アレルギー反応を引き起こしている抗原を特定する。
治療
症状の傾向によって使う治療薬が異なる。くしゃみと鼻水がひどい症状の場合には抗ヒスタミン薬、鼻詰まりがひどい症状の場合にはロイコトリエン拮抗薬、いずれもひどい場合にはステロイド剤などを主に使用する。ただし、これらはすべて対症療法である。根本的な治療としては、抗原から抽出したエキスを体内に取り入れて、体を徐々に抗原に慣れさせていく「減感作(げんかんさ)療法」があり、皮下注射、および舌の下に薬剤を置いて吸収させる舌下免疫療法がある。また、花粉が飛び始める2週間程度前から薬による治療を始める「初期療法」によって、症状が出るのを遅らせたり、症状を軽くしたりできる可能性がある。
予防/治療後の注意
花粉の飛散の多い時期には窓を開けない、洗濯物や布団を外に干さない、外出を控えるといったことが必要である。外出しなければならないときには、眼鏡やマスクなどを着用して目や鼻を花粉から守ることで、症状を緩和できる。そのほか、部屋の掃除、特に窓際の掃除を徹底する、花粉が付着しやすい表面がけばだった衣類の着用は避ける、外から帰宅したら衣服や髪についた花粉をよく払ってから入室する、などの対策が考えられる。ハウスダストやダニによるアレルギーには、寝具の洗濯によるアレルゲンの除去も効果的である。
こちらの記事の監修医師
ふくろうの森耳鼻咽喉科
院長 中村 健大 先生
2006年杏林大学卒業。同大学医学部付属病院耳鼻咽喉科や佼成病院を経て、2020年に開業。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医。専門分野は耳鼻咽喉科一般。
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