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こちらの記事の監修医師
隈病院
院長 宮内 昭 先生

こうじょうせんしゅよう 甲状腺腫瘍

概要

甲状腺は喉仏の下にある縦横4~5㎝の、正面から見ると羽を広げたチョウの形をした臓器で、体にとって不可欠な甲状腺ホルモンを分泌する働きを担っています。その甲状腺にできる腫瘍を甲状腺腫瘍といい、良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられます。良性腫瘍には腺腫様甲状腺腫・腺腫様結節、甲状腺嚢胞、濾胞腺腫があり、超音波検査と細胞診で良性であると判断された場合は、腫瘍が小さいうちは経過観察となることが多いです。腺腫瘍甲状腺腫、腺腫瘍結節あるいは濾胞腺腫で甲状腺ホルモンを過剰に産生するものをプランマー病といい、その場合には適切な治療が必要です。悪性腫瘍には甲状腺乳頭がん、甲状腺濾胞がん、甲状腺低分化がん、甲状腺髄様がん、甲状腺未分化がん、甲状腺リンパ腫などがあり、手術などの治療が必要です。一方、転移や周囲組織への浸潤のない低リスク微小乳頭がん(1cm以下の乳頭がん)に対しては、超音波検査などで定期的に経過観察(積極的経過観察)するほうが直ちに手術するよりも望ましいことが明らかになってきています。積極的経過観察が妥当かどうかの判断や、腫瘍が良性か悪性かを見分けるのが難しい場合もあるため、甲状腺疾患の専門家がいる医療機関での検査をお勧めします。

原因

良性、悪性を問わず、一般的に腫瘍はDNAの何らかの異常によることがわかってきていますが、甲状腺の腫瘍でDNAや遺伝子の異常が判明しているのはまだごく一部です。甲状腺髄様がんや甲状腺乳頭がんの一部には遺伝子異常による発症が認められています。家族に複数の甲状腺がんの患者がいる人は、一度検査することをお勧めします。また、小児期の大量放射線被ばくは甲状腺悪性腫瘍の危険因子であることがわかっています。

症状

良性、悪性にかかわらず、甲状腺腫瘍の初期はほとんど自覚症状がない場合が多いのですが、腫瘍が大きくなると首のしこりや腫れを見つけたり、他人から指摘されたりして気づく場合があります。痛みを感じることはまれですが、大きくなると圧迫感を感じることもあります。甲状腺癌が進行すると声帯麻痺を来し嗄声(かすれ声)となることがあり、さらに進行すると呼吸困難、嚥下障害を来すこともあります。多くの良性、悪性の甲状腺腫瘍はまったく無症状であり、健診や他の病気のために行われた超音波検査、CTスキャン、MRI、PET-CTなどの画像検査で偶然、発見されることも多いです。良性腫瘍のうち、プランマー病は腫瘍細胞から甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。そのため、動悸、多汗、体重減少、疲労感、手の震え、息切れなど、バセドウ病と同じような症状が現れます。

検査・診断

甲状腺腫瘍の診断は、問診による症状、病歴聴取、触診、超音波検査を行い、悪性腫瘍が疑われる場合は超音波検査で観察しながら皮膚の上から細い針を刺して腫瘍細胞の一部を吸引し、顕微鏡で調べる細胞診(超音波ガイド下穿刺吸引細胞診)を行い、良性か悪性かを鑑別します。ただ、良性の濾胞腺腫と悪性の甲状腺濾胞がんの区別は非常に難しく、腫瘍を手術で摘出した後の病理検査を待たなければ正確に鑑別できないことも少なくありません。腺腫様甲状腺腫・腺腫様結節、甲状腺嚢胞、濾胞腺腫は、形状や内部に液体がたまっているかどうかなど微妙な違いはありますが、よく似た良性の腫瘍で、超音波検査および細胞診で診断します。甲状腺機能亢進症状がある場合は、放射性ヨウ素によるシンチグラフィー検査を行い、腫瘍にヨウ素が集まるようならプランマー病と診断します。

治療

甲状腺の腫瘍は良性と診断された場合は、すぐに体に害を及ぼすことは少なく、原則的に治療ではなく経過観察となります。しかし、腫瘍が大きくなって気管を圧迫したり、美容上の問題が出たり、悪性腫瘍の可能性が高い場合は手術などの治療が検討されます。良性腫瘍の手術は、腫瘍のある片側の甲状腺を摘出する甲状腺片葉切除術を行います。また、甲状腺嚢胞では、たまった液体を注射器で吸い出す治療を行いますが、何回か吸い出してもたまる場合は、嚢胞にエタノールを注入して腫瘍を固める治療を行います。これが有効でない場合は手術が考慮されます。良性腫瘍の中でもプランマー病は甲状腺ホルモンの過剰分泌による症状を伴いますので、手術による甲状腺の摘出か、放射性ヨウ素を内服して腫瘍を縮小させるアイソトープ療法を施行します。悪性腫瘍の場合は、甲状腺の切除が治療の基本です。場合によっては頸部のリンパ節を取る手術が加わります。ただし、上で述べたように低リスク微小甲状腺乳頭癌に対しては直ちに手術するよりも、積極的経過観察が推奨されるようになってきました。術後の甲状腺機能低下症の治療やがんの再発予防のために甲状腺ホルモン剤を服用する患者は少なくありません。

予防/治療後の注意

甲状腺に腫瘍ができること自体を予防することはできません。良性腫瘍と診断された場合は、経過観察になることが多いのですが、時間の経過とともに悪性化してくる場合もありますので、医師の指示に従って定期的な検査を欠かさないようにしましょう。手術などの治療後も、再発する可能性はありますので必要に応じて定期的な検査を受けることをお勧めします。また、プランマー病は甲状腺ホルモンが過剰になるため、放置すると骨粗しょう症や心疾患を合併するリスクが高まります、早めの治療開始が大切です。

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こちらの記事の監修医師

隈病院

院長 宮内 昭 先生

1970年大阪大学医学部卒業後、同大学医学部第二外科へ入局。1979年には米国ウィスコンシン大学への留学を経験した。帰国後は香川医科大学第二外科講座の講師、助教授を務める。1998年隈病院の副院長となり、2001年より現職。2019年から国際内分泌外科学会(IAES)の会長に就き、内分泌領域の専門家として国際的に活動している。日本外科学会外科専門医。