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こちらの記事の監修医師
国際医療福祉大学
高度生殖医療リサーチセンター センター長 河村 和弘 先生

そうはつらんそうふぜん(そうはつへいけい) 早発卵巣不全(早発閉経)

概要

日本人女性の閉経の平均年齢は50歳前後ですが、40歳より前に月経が3ヵ月以上来なくなり、卵巣機能が低下した状態のことを早発卵巣不全(または早期閉経・早発閉経)といいます。早発卵巣不全になると排卵をしなくなるため妊娠が非常に困難になり、エストロゲンが不足・低下することによって骨折しやすくなるなど、全身の健康に影響が及びます。半数近くが原因不明ですが、卵巣の手術歴や染色体の異常、自己免疫などの影響で発症するケースが認められています。海外の報告では、女性100人あたり1人程度の割合で発症するというデータもあります。

原因

卵巣の働きが悪くなり、エストロゲンなどの分泌がなくなることが原因で閉経の状態となります。早発卵巣不全の原因はすべてが明らかになっていません。しかし、卵巣の手術や放射線治療、化学療法などのがん治療を受けたことがきっかけとなって発症する場合、染色体や遺伝子の異常による場合、橋本病などの自己免疫疾患に関連して発症する場合があると報告されています。

症状

初期症状では月経不順が認められ、さらに進行すると無月経となります。月経がなくなる前後からさまざまな更年期障害の症状が現れる場合があります。具体的には顔のほてり、のぼせ、発汗、ホットフラッシュといった血管に関わる症状や、めまい、頭痛、動悸、肩こり、腰痛、冷え、疲れやすいなどの全身の症状、イライラ、情緒不安定、不眠、意欲低下などの精神的な症状などです。また、エストロゲンが長期的に不足・低下することによって、骨密度低下による骨折や動脈硬化、高脂血症などの病気も生じやすくなります。さらに、卵巣内に残存する卵子の数が非常に少なくなることから、妊娠することが非常に困難となります。

検査・診断

月経の経過をヒアリングし、卵巣の機能を調べるホルモン検査を行います。不妊治療の一環として医療機関を受診した場合は、超音波の機械を膣内に入れて卵巣・子宮の状態を診る超音波検査を併せて実施することも。このような不妊治療の検査を行う過程で、早発卵巣不全と診断されるケースは少なくありません。

治療

妊娠を望んでいるか否かにかかわらず、少量のエストロゲンを投与するホルモン補充療法(HRT)を行っていきます。これは、ほてり、発汗、ホットフラッシュなどの更年期障害の症状を抑え、骨粗しょう症のリスク軽減、心筋梗塞・脳梗塞といった重篤な疾患の予防を図るためで、女性ホルモンを投与することで同世代女性の正常な数値の維持が目的です。このホルモン補充療法は原則的に、女性が閉経する平均年齢である50歳前後まで継続することが望ましいです。また場合によっては更年期障害を治療する漢方薬や、精神症状を抑える向精神薬を処方することも。患者が妊娠を希望している場合には、ホルモン補充を行いながら排卵を誘発する治療を試みますが、多くの場合は通常の排卵誘発に反応せず、自分の卵子での妊娠を諦めることになります。しかし最近は、卵胞活性化療法(IVA)など新しい治療法の研究が進んでいます。

予防/治療後の注意

早発卵巣不全の多くは原因不明のため、確実な予防法はありません。ですが、初発症状である月経不順の時点で検査を受けることで、閉経する前の早期診断は可能です。早期に診断ができれば、卵子(受精卵)や卵巣組織の凍結保存が可能となり、将来的な妊娠の可能性の温存につながります。また、早発卵巣不全と診断された場合は、更なる卵巣機能の低下をもたらすリスクがある喫煙を避けることは大切です。妊娠を希望する人に対しては、近年研究が進んでおり、新たな不妊治療法の普及が待たれます。

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こちらの記事の監修医師

国際医療福祉大学

高度生殖医療リサーチセンター センター長 河村 和弘 先生

1996年秋田大学医学部卒業。秋田大学医学部講師や聖マリアンナ医科大学医学部准教授、同大学病院で生殖医療センター長などを経て、2018年4月より現職。早発閉経や卵巣機能不全を専門分野とする。日本産科婦人科学会産婦人科専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。医学博士。