こちらの記事の監修医師
医療法人社団済安堂 井上眼科病院
井上 賢治 院長
けつまくかしゅっけつ 結膜下出血
最終更新日:2022/01/04
概要
結膜下出血とは、白目の一部分または全体が、血がにじんだように真っ赤になる状態のことをいいます。自覚症状はほとんどなく、あったとしても少し目にゴロゴロとした違和感がある程度です。突然発症するため、人から「目が赤い」と指摘されて初めて気づく人も少なくありません。見た目が目立つことから不安になって医療機関を受診する人もいますが、何もしなくても自然に1、2週間程度で治ってしまう場合が大半で、目が見えにくくなるなどの心配も基本的にはありません。ですが、他に外傷がある場合や出血を繰り返す場合、他に自覚症状がある場合は、別の疾患の可能性もありますので、適切な医療機関へ受診しましょう。
原因
白目の表面を覆っている球結膜の中には、細い血管がたくさん通っています。その血管が何らかのきっかけで破れ、膜の下に血液があふれて広がることによって発症します。血管が拡張する充血とは異なり、白目の部分がべったりと赤く染まるのはそのためです。血管が破れた原因は不明なケースが多いですが、出血を誘発する要素としてはケガ、強い咳やくしゃみ、過度の飲酒、目のこすり過ぎ、コンタクトレンズ、月経、夜更かし、水中眼鏡の締め過ぎなどが挙げられます。また高血圧、糖尿病、白血病、腎臓病など全身疾患が関わっていることもありますが、ほとんどの場合は疾患の有無に関係なく突然発症します。出血の原因が明らかなケースとしては、外傷、手術による場合、急性結膜炎に伴う場合などが挙げられます。
症状
球結膜の中の血管が破れ、出た血液が結膜の下に広がります。血液の広がり方は、点状のごく小さい範囲のみのケースから結膜の全体に及ぶケースまでさまざまです。血腫ができる場合もあります。充血とは違って白目がベタッと赤く染まり、血管の形は見えないのが特徴です。見た目には派手な変化が表れますが、実際の出血量はごくわずかで、自覚症状はほとんどないでしょう。目が少しゴロゴロするような異物感はあっても、痛みやかゆみ、見え方の異常などはなく、視力が下がることもありません。ですが、ケガなど外傷によって発症した場合は他の症状を併発することもあり、見えにくいなどの違和感があれば受診が必要となります。
検査・診断
一般的には視診のみで診断がつきます。しかしケガが原因で発症した場合や、痛みや視野の異常など自覚症状がある場合などには、眼球全体の症状を詳しく診る必要があり、視力検査や視野検査、CT検査のほか、網膜裂孔・眼底出血がないかどうかを調べる眼底検査などを行うこともあります。出血を頻繁に繰り返す場合や、全身の疾患が関わっている疑いのある場合には血液検査や内科の検査も併せて実施していきます。脳梗塞、心筋梗塞などの既往歴があり、血液をさらさらにする抗凝固剤を服用している場合には、主治医への相談が必要です。
治療
白目が赤く染まり、見た目に派手な変化が表れるため不安に思う人もいますが、積極的な治療はほとんどの場合必要ありません。出血量が少なければ通常、1、2週間程度で出血は自然に吸収されて元に戻ります。出血量が多ければ2、3ヵ月かかることもありますが、徐々に赤みが引いていくため、通常は無治療で経過を観察します。出血がひどい場合は、吸収を促す薬を注射することもあります。また外傷で出血し結膜下出血が長引くときは、より詳しい検査・治療を要します。繰り返し結膜下出血が起こる場合は高血圧、糖尿病、動脈硬化、白血病など他の病気の疑いがあるため、同時に内科を受診することが必要になります。
予防/治療後の注意
結膜下出血は多くの場合自然に治るものであり、運動や食事など生活面の制限は特に必要ありません。ですが出血だけでなく痛み、かゆみ、視野の異常があるようであれば、自己判断せずに速やかに医療機関を受診しましょう。
こちらの記事の監修医師
井上 賢治 院長
1993年千葉大学医学部卒業後、1998年東京大学大学院医学系研究科修了。東京大学医学部附属病院分院(現在は本院に統合)眼科医局長、名戸ヶ谷病院眼科部長、井上眼科病院附属お茶の水・眼科クリニック(現:お茶の水・井上眼科クリニック)院長を経て、2008年に同院母体である医療法人社団済安堂の理事長に就任。2012年から井上眼科病院院長を兼務。日本眼科学会眼科専門医。
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