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こちらの記事の監修医師
東京慈恵会医科大学附属第三病院
消化器・肝臓内科診療部長 小池 和彦 先生

いーがたかんえんE型肝炎

概要

アジアやアフリカなど、衛生状態の悪い発展途上国に多いウイルス性の急性肝炎。世界で年間2000万人以上が発症し、5万人程度が命を落としてしまう感染症です。日本人の平均抗体保有率は低く、過去にはアメリカやヨーロッパ、日本などの先進国において、集団感染が報告されたこともあります。これらは発展途上国からの帰国後の輸入感染症と考えられていましたが、一部は国内での動物由来の感染であることが近年の研究でわかってきました。ブタやイノシシなどの動物も感染することから、肝炎ウイルスの中で唯一の人獣共通感染症と認識されています。

原因

E型肝炎を引き起こすウイルス(HEV)に感染することが原因です。感染者の便中のウイルスに汚染された水や氷、野菜、果物を口にしたり、ウイルスを保有するブタやイノシシ、シカ、ウシなどの動物の生肉を食べたりすることでE型肝炎が引き起こされます。飛沫や接触感染は報告されておらず、経口感染がほとんど。まれに輸血による感染や母子感染も。中央アジアでは秋、東南アジアでは雨期に流行するのが特徴です。ウイルスが水系を汚染することで感染が拡大することから、特に広範囲での洪水の後に病気が多発することがわかっています。なお、日本においては年間50例程度の発生報告があり、中には渡航歴のない患者も。過去には、兵庫県で野生シカ肉、福岡県で野生イノシシ肉を食べた人がE型肝炎を発症。北海道で市販されていたブタの生レバーの一部にウイルスが検出されたこともありました。

症状

ウイルスの潜伏期間は2~9週間ほどとされます。無症状、もしくは軽症のまま治癒するケースも珍しくありません。一方、急な発熱や全身のだるさ、筋肉痛、腹痛、食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状が現れた後、黄疸が出ることも。採血を行うと、肝逸脱酵素の上昇、ビリルビン上昇、肝腫大などの肝障害が見られます。重症の場合、正常な状態に戻るまでに数週間から数ヵ月ほどかかります。まれに肝不全急性膵炎などを引き起こすことがあり、死に至る恐れも。妊婦は劇症化しやすく、より致死率が高まるといわれています。その他、免疫不全者も致死率が高くなるため、注意が必要です。

検査・診断

発展途上国への渡航後や、加熱不十分な野生動物の肉を食べた後などに肝障害や発熱などの症状が現れた場合、E型肝炎を疑います。E型肝炎の患者の唾液や血液など体液を触ってしまった場合も、検査の対象です。検査対象者の免疫力などに応じて、血清を用いたPCR遺伝子検査法や、ウイルス特異的IgM、IgGの測定法などを行い、確定診断につなげます。

治療

E型肝炎は4種感染症のため、診断された場合は保健所に届けられます。しかし特定の治療法はなく、対症療法がメインとなるのが特徴です。症状に応じた治療を受けながら、ベッドで安静に過ごし回復をめざします。一方、劇症化した場合は、血漿交換や人工肝補助療法、肝移植などの治療が必要になるケースも。特に妊婦など劇症化しやすい患者は、早い段階で血漿交換が可能な消化器内科や、感染症内科のある専門施設への搬送が推奨されています。

予防/治療後の注意

現時点において、E型肝炎のワクチンは開発中です。A型肝炎B型肝炎のように、予防接種を行うことはできません。そのため、E型肝炎が多発している地域に渡航する場合は、汚染された水の摂取を避けるために「水道水や氷入りのドリンクを飲まない」「生野菜や自分で皮をむいた果物以外は食べない」など、徹底した心がけが大切となります。日本国内においても、ブタ、シカやイノシシなどの野生動物の肉は、十分に加熱してから食べるようにしてください。

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こちらの記事の監修医師

東京慈恵会医科大学附属第三病院

消化器・肝臓内科診療部長 小池 和彦 先生

1990年東京慈恵会医科大学卒業。2006年より同大学附属病院の消化器・肝臓内科医長に就任。2012年に同大学附属第三病院へ赴任した後、2018年消化器・肝臓内科の診療部長に就任。医学博士。日本消化器病学会消化器専門医。