こちらの記事の監修医師
医療法人社団済安堂 井上眼科病院
井上 賢治 院長
とがん兎眼
最終更新日:2022/01/04
概要
さまざまな原因で、まぶたを閉じられなくなる病気。目の表面が乾いて赤くなり、角膜に異常が出たり、視力障害になったりする二次障害を生じることも少なくない。まったくまぶたを閉じることができない状態から、眠っている時だけ症状が現れる「夜間性兎眼」、ドライアイと間違われるほどの軽度のものまである。顔面神経まひによる兎眼においては、初期の段階では「夜間性兎眼」であることが多い。
原因
顔面神経まひによって、まぶたの開け閉めを行う眼輪筋が機能しなくなることが主な原因。顔面神経まひによって起こる兎眼は、脳梗塞や脳腫瘍の影響のほか、「ベルまひ」などによって生じる。ベルまひはヘルペスウイルスが関係していると考えられており、人口10万人当たり年間20~30人が発病するとされる。この他、外傷や他の病気によって、まぶたの形や向きが変化してしまい、兎眼になることもある。甲状腺眼症などでは眼球が突出することによって起きる兎眼もある。
症状
まぶたを閉じられないことで目が乾燥し、目がかすむ、痛むなどドライアイのような症状が出る。また、ゴロゴロする異物感を感じることもある。眼球が常に露出しているため、乾燥して傷つきやすくなったり、細菌やウイルスに感染しやすくなったりする。そのため、角膜炎(黒目の表面が炎症を起こし、痛みや充血、視力の低下などを伴う病気)や角膜潰瘍(角膜が目の表面から欠け、目の痛みや異物感を伴う病気)などを併発することも多い。その他、角膜の表面が濁り、視力低下を招くこともある。
検査・診断
視診のほか、細隙灯顕微鏡で症状を確認し判断する。併せて目の表面を色素で染め、角膜や結膜に障害がないか確認する。必要に応じて視力検査も行う。また顔面神経まひによる兎眼であった場合、脳血管障害(脳梗塞や脳卒中など)がまひの原因である可能性もあるため、CTやMRIによる頭部の検査も行う。
治療
顔面神経まひなど、兎眼の原因となっている病気があれば、その治療を行う。露出した角膜の乾燥に対しては、点眼薬や眼軟こうを使うほか、眼帯などで保護する。重症化している場合には、上下のまぶたを一時的に縫い合わせたり、閉じた目の上から透明な保護膜を張ったりして、眼球を保護する。また、顔面神経まひによる兎眼では、重力によりまぶたが下がるよう、上まぶたに小さな金の板を埋めるなど、それぞれ原因となる病気に沿った手術を行うこともある。
こちらの記事の監修医師
井上 賢治 院長
1993年千葉大学医学部卒業後、1998年東京大学大学院医学系研究科修了。東京大学医学部附属病院分院(現在は本院に統合)眼科医局長、名戸ヶ谷病院眼科部長、井上眼科病院附属お茶の水・眼科クリニック(現:お茶の水・井上眼科クリニック)院長を経て、2008年に同院母体である医療法人社団済安堂の理事長に就任。2012年から井上眼科病院院長を兼務。日本眼科学会眼科専門医。
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