全国のドクター8,888人の想いを取材
クリニック・病院 160,970件の情報を掲載(2021年12月08日現在)

  1. TOP
  2. 症状から探す
  3. 背中が痛いの原因と考えられる病気一覧
  4. 変形性脊椎症
  1. TOP
  2. 背中の病気一覧
  3. 変形性脊椎症
037

こちらの記事の監修医師
国家公務員共済組合連合会 九段坂病院
中井 修 病院長

へんけいせいせきついしょう変形性脊椎症

概要

年齢を重ねたことによって、脊椎を構成する椎体という24個の骨と、その間にあってクッションの役割を果たしている椎間板に変化が起きることをいう。変化があまり大きくなければ無症状のことがほとんどで、その場合は病気とはいえない。しかし、椎間板の変化が進むことで、腰・背中の痛み、動きづらさなどの症状が引き起こされる。また、神経根や脊髄が圧迫されて左右両方の手足に痛み・しびれ・動かしづらさが生じる「頚椎症性脊髄症」や、長い距離を続けて歩くことができないといった症状が現れる「腰部脊柱管狭窄症」などの疾患につながることも。

原因

人間の背骨(脊椎)は、24個の椎体という骨でできている。その骨と骨の間には衝撃を和らげるクッションの働きをする椎間板があるが、年齢を重ねることによって、少しずつこの椎間板が薄くなって弾力性が失われ、骨と骨との結合が弱くなる。この結合の弱さを補強しようとする生体反応で、脊椎の端にささくれて骨のトゲのような骨棘ができるといった変化が起きる。これが、変形性脊椎症と呼ばれる状態だ。重いものを運ぶ機会が多かったりスポーツをしていたりすると背骨に負担がかかりやすくなるため、椎間板が傷みやすく骨棘ができやすくなるとも指摘されている。喫煙・肥満と関わっているというデータも。椎間板の寿命は遺伝的に差があるともいわれている。変形性脊椎症の多くは腰に起こり、腰部変形性脊椎症と呼ばれる。次いで多いのが首の脊椎に起こる頸部変形性脊椎症で、だるさ、重さ、鈍い痛みなどを感じることもある。骨棘が神経を圧迫して全身のさまざまな場所に痛みが現れると、ほかの病名がつくことになる。

症状

変形性脊椎症そのものは病気とはいえず、無症状のことも多い。しかし、椎体にトゲのようなものができ、椎間板のクッション機能が落ちるといった変化などが進むことで神経が圧迫されると、腰や背中、左右両方の手足の痛みなどが起きる。また、「頚椎症性脊髄症」という病気を引き起こし、ボタンがかけにくい、箸やペンを使うのが難しくなる、歩いていると足がもつれる、手足がしびれるといった症状が現れることがある。また、背筋を伸ばして歩いているときや立っているときに、お尻から足にかけて痛み・しびれが生じる「腰部脊柱管狭窄症」になることも。腰部脊柱管狭窄症になると、前かがみになると症状が和らぐが、歩くと症状が悪化することが多い。

検査・診断

エックス線検査によって、椎体に骨棘ができているか、椎間板が減り椎体と椎体の間が狭くなってクッション性が失われていないかなどの変化を確かめるが、高齢者なら誰にでも起こることなので、病気だと考える必要はない。手足のしびれ・手足の動かしづらさ、しつこい痛みといった神経が圧迫されていると疑われる症状が出ているときは、頚椎症性脊髄症や腰部脊柱管狭窄症などかどうかを調べるために、MRI検査や下肢の血流の検査を行うこともある。腰部脊柱管狭窄症は下肢の血流が悪くなる「閉塞性動脈硬化症」と似たような症状が現れるため、この病気でないかと、この病気を合併していないかどうかも確かめる必要がある。

治療

無症状のときには特に治療はいらない。必要以上に慌てることなく、椎間板の変性を促進しないように、タバコを吸っているなら禁煙をして、体重増加にも気をつけることが大切だ。年とともに背筋が弱くなって、円背や腰曲がりもなどの姿勢の変化も起きるので、背筋、腹筋など体幹の、筋肉をつけることも推奨されている。ただし、椎間板などの変化が進んで、神経が圧迫されることによる痛みなどが生じたら、消炎剤・鎮痛剤・筋弛緩剤などを含んだ薬や、痛みを感じている神経を遮断する神経ブロック注射などが使われることもある。コルセットで患部を固定するほか、患部を温めて血流を促進することで筋肉をほぐす温熱療法や、体操などを行う理学療法が用いられることも多い。これらの治療でも症状が和らがない場合は、骨が変形している部分を切除するといった手術が検討される。また、腰部脊柱管狭窄症や頚椎症性脊髄症などを合併している場合は、それぞれの病気に応じた治療を行う必要がある。

予防/治療後の注意

加齢により誰にでも生じる変化のため、予防によって防げる性質のものではないが、日常から正しい姿勢を心がけ、必要以上に重いものを持たないように注意をすることが、変形性脊椎症の進行を遅らせることにつながる。変形性脊椎症が進んだことによって起こる頚椎症性脊髄症を予防するには、うつぶせで寝ない、首を曲げた状態を長時間続けない、背中を丸めない、首を過度に回したりしない、といった注意点が挙げられる。腰部脊柱管狭窄症は、ダイエットをして体重を増やし過ぎないこと、筋肉のこわばりをなくすために温めてストレッチを行うことなどが予防につながる。

037

こちらの記事の監修医師

国家公務員共済組合連合会 九段坂病院

中井 修 病院長

1975年東京医科歯科大学医学部卒業。同大学整形外科で研修後、同大学で脊椎疾患の診療・研究に従事。1983年から九段坂病院に勤務。その後、諏訪中央病院に移り、脊椎脊髄疾患治療を専門に診療経験を積む。1991年に九段坂病院に復帰し、2006年から現職。現在は東京医科歯科大学整形外科臨床教授も務める。日本整形外科学会整形外科専門医。