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こちらの記事の監修医師
石原 淳 病院長

にほんのうえん日本脳炎

概要

日本脳炎ウイルスに感染した蚊(コガタアカイエカ)に刺されることでうつる感染症。蚊に刺されてから6~16日後に発症する。人間から人間に感染することはないが、蚊の活動が活発になる夏には注意が必要となる。日本脳炎ウイルスは、ブタなどの動物の体内で増殖し、ある個体を刺した蚊が他の個体を刺すことで広範囲に広がっていく。このウイルスは感染してもほとんどの場合症状がなく、気がつかない程度で済むが、100~1000人に1人程度の割合で脳炎を発症する。発症した場合、約20~40%の感染者が死に至り、一命を取り留めても多くの場合脳などに後遺障害を残す。

原因

水田などで発生するコガタアカイエカが、ブタなどの体内で増えて血液中に出てきたウイルスを吸い、その上で人間を刺し感染する。ブタはコガタアカイエカに好まれたり、血液中のウイルス量が多かったりすることなどから、ウイルスの増幅動物としては最適であるといわれている。また、最近では日本の野生のイノシシが日本脳炎ウイルスを保有していたという報告もある。なお、蚊の行動範囲は2キロメートル程度とされているので、近くに養豚場などがある場合は対策を講じる必要がある。日本では、毎年西日本を中心に広い地域で日本脳炎ウイルスに感染したブタが確認されている。初めは6~7月ごろに九州、中国、四国地方からウイルスに感染したブタが見られるようになり、8~9月にかけてその範囲が徐々に広がっていく。しかし現在の日本国内では、ワクチン接種の推進やウイルスを持った蚊に刺される機会の減少、都市化など生活環境の変化により、発症者数は年間数名程度に抑えられている。

症状

6~16日程度の潜伏期間の後、突然の発熱で発症する。38〜40℃以上の高熱を出すこともある。加えて、頭痛や嘔吐、吐き気などのほか意識障害や精神症状など脳炎症状が見られることもある。子どもの場合は腹痛や下痢を伴う場合もある。これらに引き続き、うなじの硬直、光線への過敏な反応、脳神経症状、筋肉のこわばり、まひ、震えなどの症状も出る。感覚障害が起こることはまれで、まひは肩から先で起こることが多い。高熱を出した感染者や高齢者、小さな子どもの場合は症状が重篤化しやすく、回復後にさまざまな重い後遺症が出ることもしばしばある。

検査・診断

日本脳炎ワクチン未接種者や不完全接種者、また海外旅行歴がある脳炎発症者や、夏に脳炎を発症した者は必ず日本脳炎を疑わなくてはならない。診断には、感染者と思われる人間の髄液を用いる。髄液の中に、日本脳炎ウイルスの遺伝子や、ウイルス侵入時に体内で産生される抗体が認められれば、ほぼ感染していると考えられる。その際に気をつけなければならないのは、海外旅行歴がある感染者で、日本脳炎と同じ種類のウイルス(西ナイルウイルスなど)に侵されていたケース。なぜなら、日本脳炎でなくても検査で陽性反応が出てしまい、正確な診断ができなくなることがあるためである。

治療

決定的な治療法は存在しないため、対症療法が中心となる。中でも、高熱とけいれんの管理が重要だ。大量にステロイド剤を使う方法もあるが、一時的に症状を改善することはあっても、その後の経過や死亡率、後遺障害の有無にはまったく影響を及ぼさないので、根本的な解決にはならないとされている。日本脳炎は症状が現れた時点ですでにウイルスは脳に達し、その細胞を破壊している。一度破壊された脳細胞を修復することは不可能に近いので、今後日本脳炎ウイルスに有効な薬剤が開発されたとしても、一度発症した患者を元の状態に戻すことは非常に困難と推測されている。日本脳炎の治療の難しさを物語るものとして、30年前と比較して死亡率は下がったものの完治率は当時とほとんど変わっていないというデータもある。そのため、日本脳炎に最も有効な対処法は「予防」であるといわれている。

予防/治療後の注意

有効な対処法は「予防」だが、その中心となるのは蚊の対策と予防接種となる。日本脳炎のワクチンが予防に有効なことは既に証明されている。それを裏づけるものに、日本脳炎確定患者の解析データがある。これによれば、ほとんどの日本脳炎患者は予防接種を受けていなかったそうだ。ワクチンはまず3歳の時に1~2週間間隔で2回受け、さらにその1年後に1度受ける。その後9~12歳時に1回、最後に14~15歳時に1回の追加接種を受け完了となる。

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こちらの記事の監修医師

横浜市立市民病院

石原 淳 病院長

島根県出身。1979年慶應義塾大学医学部卒業。同大学病院や関連病院で小児循環器科の診療に携わり、1998年に市民病院に入職。 小児科部長、副病院長などを経て2013年より現職。研修医の指導や育成、看護師の教育に力を入れる。