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医療法人恵仁会 松島病院 宮島 伸宜 病院長

こちらの記事の監修医師
医療法人恵仁会 松島病院
宮島 伸宜 病院長

だいちょうぽりーぷ大腸ポリープ

概要

大腸の表面の粘膜がイボのように盛り上がってできた、球状のこぶのこと。大きくは腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープに分けられ、さらに腫瘍性ポリープは腺腫とがん、非腫瘍性ポリープは過形成性ポリープ、過誤腫性ポリープ、炎症性ポリープに分類される。これらのうち、よく見られるのは腺腫と過形成性ポリープで、腺腫については良性であっても大きくなると大腸がんになる可能性がある。ちなみに、大腸がんが発生する過程に関しては、腺腫が悪性化するパターンと、腺腫の状態を経ることなく、最初からがんとして発生するパターンがあるといわれている。

原因

ポリープそのものができる原因は、主に遺伝子の異常であると考えられている。大腸がんのリスクを高める要因として、年齢(50歳以上)、家族歴(家族に大腸がんを患った人がいる)、肉食傾向、高カロリーな食事や肥満、酒の飲み過ぎ、喫煙などが指摘されているが、こうした要因が特定の遺伝子に変化を起こすことでポリープを発症し、がんになるといわれている。また家族内で頻発するポリープとして、家族性腺腫性ポリポーシスという数百から数万に及ぶ無数のポリープが大腸にできる病気がある。この病気は遺伝により発症することが明らかになっており、10歳頃にポリープができ始め、20歳頃に診断されるケースが多い。そして年齢が上がるに連れてがん化する確率が高くなり、治療せずに放置すると、一生涯においてほぼ100%大腸がんになるといわれている。

症状

ポリープが小さい初期の段階では自覚症状が特にない場合がほとんど。ただ、ポリープが大きくなったり肛門の近くに発生したりすると、出血する、血便や粘液の混じった便が出るといった症状が見られることがある。また比較的珍しいケースではあるが、ポリープが大腸の出口付近をふさいでしまっていると腸閉塞を起こしたり、ポリープそのものが肛門から飛び出てしまったりすることもある。場合によっては腹痛や下痢、おなかの張り、便が出にくくなるなどの症状も現れるが、大腸がんでも同じような症状が見られるので、既にがん化しているケースも考えられる。

検査・診断

検査には、便潜血検査、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)、注腸エックス線検査がある。便潜血検査は、便に血液が混じっているかどうかを調べる検査で、自覚症状のないポリープを見つけるのに役立つ。2日間の便を調べ、そのうち1日でも陽性であれば、精密な診断のために内視鏡検査を行う。肛門からカメラのついた管を入れ、モニターを通じて直接粘膜の細かな状態を見られるため、ポリープの大きさ、色や表面の構造などを正確に把握できる。また、検査と同時にポリープを切除できる点も大きなメリット。がんが疑われる場合は、採取した組織を顕微鏡で観察する生検を行う場合がある。注腸エックス線検査は、大腸に造影剤を入れてエックス線撮影を行う検査で、大腸の大きさや太さ、粘膜の様子から全体的な像を得られる。

治療

腫瘍性の場合である程度の大きさがあるときには基本的には肛門から内視鏡を入れてポリープを切り取る。いくつか方法があり、ポリープの形や大きさなどによって適するものが異なる。まずポリープに茎があるタイプには、茎の部分にスネアという金属でつくられた輪をかけ、そこに電流を流して切除するポリペクトミーと呼ばれる治療が選択される。一方、茎がなく粘膜に平らな状態で発生しているタイプには、粘膜に薬剤を入れてポリープを持ち上げ、スネアをかけて切り取る方法で行う。また病変が大きくポリペクトミーなどでは難しい場合は、薬剤でポリープのできている粘膜を持ち上げた上で周辺の組織を切開し、専用の電気メスで病変を剥がすESDという治療を行う。なお、ほとんどのケースではこうした内視鏡での手術でポリープを切除できるとされるが、進行の度合いや患者の既往歴などによっては、開腹手術となることもある。非腫瘍性の場合にはポリープが大きくなった場合に内視鏡で切除する。

予防/治療後の注意

大腸ポリープができる根本の要因は遺伝子的なものであると考えられており、発生そのものを防ぐことは難しい。ただ、食生活の欧米化によって大腸がん、そのきっかけとなる大腸ポリープも増えているといわれることから、脂肪分の多い食べ物の取り過ぎに注意し、栄養バランスの整った食生活を心がけることが大切といえる。また、特に腫瘍性のポリープはがん化する可能性が高く、早期発見が重要。そのため、40歳を過ぎたら年に1回は大腸内視鏡検査を受けることが推奨されている。

医療法人恵仁会 松島病院 宮島 伸宜 病院長

こちらの記事の監修医師

医療法人恵仁会 松島病院

宮島 伸宜 病院長

1982年慶應義塾大学卒業。同大学病院や都内の総合病院などへの勤務を経て、2007年聖マリアンナ医科大学東横病院消化器外科へ入職。同病院長などを経て、2021年6月より現職。専門は消化器外科、一般外科、大腸・肛門疾患、腹腔鏡下手術など。日本外科学会外科専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本大腸肛門病学会大腸肛門病専門医。医学博士。