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日本鋼管病院 内科統括部長/呼吸器内科部長 宮尾 直樹 先生

こちらの記事の監修医師
日本鋼管病院
内科統括部長/呼吸器内科部長 宮尾 直樹 先生

すいみんじむこきゅうしょうこうぐん睡眠時無呼吸症候群

概要

睡眠中、呼吸が10秒以上止まる疾患。1時間あたり5回以上の無呼吸、もしくは呼吸が弱くなる低呼吸が発生している場合は、睡眠時無呼吸症候群と診断される。いびきを伴うことがほとんどである。大きく3種類に分類され、脳や神経などの異常で呼吸をするための筋肉への指令が行き届かなくなる「中枢型」(CSAS)、肥満などにより気道の上部(喉)が塞がってしまうことが原因の「閉塞型」(OSAS)、中枢型と閉塞型が混ざっている「混合型」がある。無呼吸によって血中の酸素が不足してしまうため、睡眠時にしっかりと体を休ませることができなくなり、日常生活に支障を来すことも少なくない。

原因

睡眠時無呼吸症候群の中でも、喉が塞がってしまうことで起こる「閉塞型」が最も多い。例えば、太っている人が仰臥位(背中を下にした、あおむけの姿勢のこと)になると、空気の通り道である喉が狭くなり、呼吸がしづらくなることもある。通常、このときに「いびき」が生じるが、この空気の通り道が一時的につぶれてしまうと、無呼吸を引き起こす。そのため、睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や糖尿病高脂血症の人など肥満の人が合併しやすい病気である。また、「首が太くて、首回りに脂肪がついている」、「下顎が後ろの方に引っ込んでいる」、「舌の付け根が大きい」など、体形が影響することも原因となる。まれに脳や神経などの異常が睡眠時無呼吸症候群を招くケース(中枢型)もある。この場合、閉塞型のように、喉が狭くなったり、塞がったりすることはなく、脳からの呼吸するための指令が筋肉に届かないことが原因である。

症状

睡眠中に、10秒以上の無呼吸といびきを繰り返すのが特徴。呼吸が一時的にでも停止すると、血中の酸素が不足し、深い睡眠がとれなくなる。そのため、夜中に何度も目が覚めたり、呼吸が苦しくなる夢を見たり、起床時に疲れが取れていなかったりと、しっかりと体を休めなくなってしまう。慢性的な睡眠不足の状態に陥ることから、日中に強い眠気を感じ、記憶力や集中力が低下することもある。気分が落ち込み、うつ状態が現れるケースもある。さらに、症状が進むと、高血圧や不整脈、動脈硬化を促進するという報告もあり狭心症心筋梗塞脳卒中などの合併症を引き起こす危険性も増加するため、しっかりと治療を受けることが大事である。CPAPを導入すると、それらの危険性が回避できるとの報告もあり治療を勧める必要がある。

検査・診断

問診にて、「日中に強い眠気を感じるか」、「最近、集中力や記憶力が低下していないか」、「家族などから、いびきを指摘されているか」など、睡眠時無呼吸症候群が疑われるような症状がないかをチェックすることが必要である。その上で、睡眠中の呼吸やいびきの状態を把握する目的で、自宅にて簡易検査が可能である。具体的には、就寝前に簡易的な装置を手や体幹などに装着し、体内の酸素飽和度や胸腔の動き、鼻呼吸の状態などを確認していく検査である。簡易検査の結果から睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、さらに詳細を調べるため病院に一泊し、呼吸やいびきの状態のほか、脳波の変化や眼球の動きを調べたり、鼻や口の気流測定、心電図検査などを行う睡眠ポリグラフ検査を行う方向で精査をする。

治療

肥満の人が睡眠時無呼吸症候群を患っていることも多いため、まずは生活習慣の改善が基本である。喉の周辺に脂肪が蓄積されていると呼吸がしづらくなるため、体重管理を行い、減量をめざしていく。さらに、寝ている間の対処療法として、「CPAP療法」と呼ばれる鼻マスクを装着し、マスクにつながった機械から空気を送り込むことで呼吸を改善させるものや、軽症の場合「短期的使用鼻咽頭エアウェイ(鼻腔挿入デバイス)」という気道を確保し、上気道が狭くなる、または閉塞することを防ぐものもある。また、専用のマウスピースで顎の位置を整えることにより、呼吸を改善させる「マウスピース治療」も、症状が軽い場合には用いられている。そのほか、根治療法としては、外科的手術を行うこともある。扁桃の肥大が原因で喉や気道が塞がっている場合、手術によって扁桃除去術で改善するケースもある。

予防/治療後の注意

睡眠時無呼吸症候群は、家族などの周囲から「いびき」を指摘されることで発覚するケースも珍しくない。いびきが気になる人や、日中の眠気や疲れやすさなどに悩んでいる人は、早めに専門の医師による診察を受けることが必要である。また、高血圧や糖尿病高脂血症の人が合併しやすいこともわかっているため、健康的な食生活や適度な運動を心がけることが大切となる。なお、睡眠時無呼吸症候群はまれに突然死につながることもあるため、適切な治療を受け続けることが大切である。

日本鋼管病院 内科統括部長/呼吸器内科部長 宮尾 直樹 先生

こちらの記事の監修医師

日本鋼管病院

内科統括部長/呼吸器内科部長 宮尾 直樹 先生

1995年浜松大学卒業後、應義塾大学の内科学教室にて研修医として経験を積む。その後、医局の関連病院で経験を重ね、2002年日本鋼管病院に入職。 2007年に呼吸器内科部長、2013年に内科統括部長に就任。日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医。