臨床検査技師が脳波も測定
精密な睡眠時無呼吸症候群の検査
荻窪中尾耳鼻咽喉科医院
(杉並区/荻窪駅)
最終更新日:2021/11/22


- 保険診療
「寝ている間に呼吸が止まってしまう病気」。睡眠時無呼吸症候群についてこうした理解のある人は多いだろうが、実際には無呼吸の回数や時間、日中に眠気があるなどといったことを調べた上で診断される。この病気の場合、診断のためには検査が必要であり、検査の一つに患者が医療機関に泊まって行う終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査がある。「一泊」と聞くと身構えてしまう人もいるかもしれないが、どんな検査なのだろう。自分で行う簡易検査との違いは? 検査の質に違いはあるのだろうか。この病気の診断・治療に力を入れている「荻窪中尾耳鼻咽喉科医院」の中尾雄二院長に聞いた。
(取材日2017年1月10日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- QPSG検査と簡易検査の違いについて教えてください。
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A
PSG検査は、患者さんがクリニックに一泊して行う検査で、簡易検査よりも詳細な結果を得ることができます。最も大きな違いは脳波を測定することで、入眠時間や睡眠の深さまでわかることです。患者さんがご自宅で自らセンサーをつけて行う簡易検査では無呼吸の有無やその頻度しかわからず、また入眠するまでの呼吸の状態までデータに含めてしまうため、軽症の場合などは診断が難しいのです。その一方、PSGでは脳波まで調べられるため、軽症、重傷を問わずに診断が可能です。患者さんの状態が詳しくわかるため、患者さんに合った治療方法もご提案しやすくなります。
- Q同院が採用しているアテンド型PSGのメリットは何でしょうか?
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A
アテンド型PSGとは、患者さんの睡眠時に臨床検査技師が睡眠状態をモニタリングする方法です。頭や目の脇、額、喉、胸など20ヵ所にセンサーをつけて呼吸の状態や脳波、心電図などを計測するのですが、そのデータを常に技師が確認しているため、センサーが外れたりずれたりしてデータに異常が出た場合もすぐに元に戻すことが可能です。その一方、PSGを行っている医療機関の中には、データの見方がわからない看護師が担当することもあり、何らかの有事に対応することができません。つまり、簡易検査よりも詳しい結果を得られるのがPSGで、PSGの中でもさらに信頼できる結果を得られるのがアテンド型PSGと言えるでしょう。
- Q検査を受ける上で何か条件はありますか?
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A
高校生以上の方であればどなたでも検査を受けることができます。当日は診察券と保険証、印鑑、現金をご持参ください。当院はシャワー室を備え、歯ブラシや髭剃り、タオル、ドライヤーなど各種アメニティーがそろっています。睡眠を専門にする医療機関は検査前の診察の時点から予約制を採用しているところが多いのですが、当院での診察は予約なく受けられます。診察で検査が必要と判断した場合は検査日を予約する必要がありますが、早くて1週間、遅くとも2ヵ月以内には検査を受けられます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診票をもとに、睡眠状況を詳しくヒアリング
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同院では予約なく診療を受けることができる。問診時には、患者が記入した問診票をもとに、日中の眠気の程度やいびきをかくようになった時期、体重の推移、アルコールの摂取量とその頻度、入眠・起床時間などを確認する。
- 2診断の後、検査について説明を受ける
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問診で得られた情報とレントゲン写真の結果を踏まえて、睡眠終夜ポリグラフ(PSG)検査を行ったほうが良いかどうかを判断する。基本的には、寝ている時にいびきをかいていて、日中に眠気がある場合は検査を行い、睡眠時無呼吸症候群であるかどうかを確認するとのこと。検査を受けることを患者が承諾した場合、PSG検査の内容について説明し、検査日を決める。同院では早くて1週間、遅くとも2ヵ月以内には検査が受けられる。
- 3入室、臨床検査技師がセンサーをつける
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検査日の夕方6時半頃に患者は来院。必要な物は診察券と保険証、印鑑、現金。臨床検査技師に案内されて、ベッドのある部屋へ。シャワーを利用することができ、タオルや歯ブラシ、髭剃りなど各種アメニティーもそろっている。検査着に着替えてセンサーをつけやすいように洗顔を済ませた後、技師が検査内容について再度説明、頭や目の脇、喉、胸、足など20ヵ所にセンサーをつける。
- 4就寝して検査スタート、臨床検査技師がモニタリング
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午後9時頃から検査を始める。室内の明かりを消して就寝し、検査中は臨床検査技師2人が別室でモニタリング。センサーからは脳波や呼吸の状態、心電図などのデータが得られる。この時、センサーがずれたり外れたりしてデータに異常が起きた時は臨床検査技師が対応してくれるそう。慣れない環境下ではあるが、ほとんどの患者が比較的すぐに眠りに入るとのこと。
- 5起床して検査は終了、次回の来院日を決める
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翌朝の5時半頃に起床。臨床検査技師が脳波を確認し、睡眠が浅い状態の時に起こしてもらえる。起床後は技師が装置を外し、患者は着替えたり、シャワーを浴びたりして身支度を整える。検査結果は1週間~10日後に出るため、そのタイミングに合わせて次回の来院日を決め、帰宅。