Zoom(ズーム)やSkype(スカイプ)、LINEなどのビデオ通話サービスを活用したWEB面接(オンライン面接)は、これからの採用面接シーンにおける新たなスタンダードになりつつあります。一般企業に比べると医療機関での導入は少ない傾向にあるともいわれているものの、将来的に導入する医療機関が増えていくことも想像されます。
求職者としては、離れた場所から面接に臨むことができるので、面接日程の都合をつけやすいなどの大きな利点がある一方、「事前の準備が大変そう」「パソコンやITに弱い自分には難しそう」と気後れしてしまう人もいるのではないでしょうか。
この記事では、ビデオ通話サービスを使ったことのない人でも安心してWEB面接に取り組めるように、WEB面接の特徴や事前に必要な準備、WEB面接特有の流れや押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
<目次>
1 WEB面接って何?対面での面接との違い、メリット・デメリット
WEB面接(オンライン面接)とは、ビデオ通話サービスを利用して行うネットワークを介した面接のことで、主にカメラつきのパソコンやスマートフォン、タブレット型端末などを使用します。
WEB面接の一番のメリットは、インターネット環境が整っている場所ならどこからでも面接を受けられること。対面面接と違って移動の必要がないためスケジュールを立てやすく、交通費もかかりません。
「現在は他の地域に暮らしているけれど、ゆくゆくは地元に帰って働きたい」「引っ越しを伴う転職も考え中」などと遠方の職場への応募を視野に入れている場合、WEB面接を実施している職場であれば面接を受けやすくなるので、転職先の選択肢が広がるでしょう。
一方、デメリットとしては、WEB面接を受けるにあたり通信用の機材やインターネット環境、ビデオ通話サービスの設定などの準備が必要になることが挙げられます。
また、インターネット環境が不安定だと、面接中にやりとりが途切れてしまう可能性もゼロではありません。
さらに、画面越しで行われるWEB面接では、採用担当者とのやりとりが言葉中心となり、対面面接であれば自分の印象として相手に強く訴えかけてくれるはずの「口調・表情・身振り手振り・服装・キャラクター・緊張度合い」などの「非言語情報」が、相手に届きにくいです。
その違いを意識せずに対面面接と同じような話し方や受け答え方をしてしまうと、自分は気持ちや熱意を込めて応じているはずなのに、相手には「反応が薄くて意気込みが感じられない」と思われてしまう……という残念な結果にもなりかねません。
これらのデメリットで失敗しないためには、WEB面接ならではのポイントを知って、事前の準備や対策をすることが大切です。次項から詳しく紹介していくので、しっかり押さえておきましょう。
2 WEB面接に必要な準備(ツール・機器編)
WEB面接を受けるために必要な準備として、ここではツールや機器を中心に見ていきましょう。
●パソコン、タブレット型端末、スマホなどの通信端末
カメラつきのパソコンやタブレット型端末など、画面が大きく相手の表情がわかりやすい端末を使うのが理想です。
ただ、5年以上前に購入したような古いパソコンの場合、ビデオ通話サービスがうまく動作しないことも。パソコンやタブレット型端末を持っていない、パソコンの動作が不安といったことであれば、スマホの使用もOKです。
パソコンで内蔵カメラのないタイプを使用する場合は、外づけカメラを用意しましょう。なお、外づけカメラは内蔵カメラより画質の高いものが多いので、カメラが内蔵されていてもあえて外づけタイプを活用するのもお勧めです。また、ライトつきのものを使うと顔映りが良くなるので、より好印象を与えたい場合は取り入れてみてください。
スマホを使う場合は、スマホスタンドなどを使って固定しましょう。 「身近にあるものに立てかけておけば大丈夫では?」と思うかもしれませんが、面接中にうっかり倒してしまう心配もありますし、映りの良い高さや角度に調整するのも難しいので、しっかり固定することが望ましいです。
もちろん、手持ちはNG。手持ちだとカメラがぶれますし、メモを取るにも不便なので、できるだけ両手はフリーにしておきましょう。
WEB面接の際は、通信端末の充電はあらかじめ満タンにしておきましょう。ノートパソコンを使用する場合は、電源アダプタとつないでおくと◎。電源を確保できない場合に備えて、ポータブル充電器も用意しておくと安心です。
●面接用のビデオ通話サービス
応募先から指定されたビデオ通話サービスを導入しましょう。
事前にインストールやアカウント設定が必要なもの、先方が発行した面接用のURLからアクセスするだけで参加できるものなど、ビデオ通話サービスによって準備の内容に違いがあるので、余裕を持って事前に準備することをお勧めします。
また、アイコン画像や名前を個別に設定できるビデオ通話サービスもあります。アイコン画像がデフォルト(初期設定)のままであったり、キャラクターのイラストやプライベートシーンの写真であったりすると印象を損ねることも。面接を受けるにあたって設定を確認し、アイコン画像は証明写真データなどの顔写真を、名前はフルネームを設定しておくと良いでしょう。
なお、面接用のURLが先方から送られてこない場合は、遅くとも前日のお昼頃までに面接担当者に連絡して確認するようにしましょう。
●安定したインターネット環境
光回線やモバイル無線LAN(Wi-Fiなど)といった、自身で契約したインターネット回線を使うのが理想です。最近はフリーの無線LANを使える場所も増えてきていますが、回線利用者が増えるとスムーズに通信しづらくなりますし、セキュリティー面からもあまりお勧めできません。
また、スマホの4G/5G回線でも対応できますが、ビデオ通話サービスは通信量がとても大きく、契約している通信量をオーバーすると通信制限がかかり面接中に通信が途切れてしまう恐れもあるため、なるべく避けるのが望ましいです。
●外づけのマイク内蔵タイプのイヤホン
端末に内蔵されているスピーカーとマイクの使用でも基本的には問題ありません。しかし、外づけのマイク内蔵タイプのイヤホンがあれば、相手の声がクリアに聞こえるようになり、自分の声も相手に伝わりやすくなります。内蔵のスピーカーやマイクよりも音声のやりとりがスムーズになるので、積極的に活用してみてください。その際は、充電切れの心配のない有線タイプがお勧めです。
イヤホンの色はさまざまありますが、イヤホンが悪目立ちすると相手の印象を損ねてしまう可能性があるので、黒や白といったオーソドックスな色を選ぶと良いでしょう。
また、マイク内蔵のヘッドホンは必ずしもNGではないものの、採用担当者によっては良い印象を持たない可能性があるため、使用を控えることが無難です。使う場合も、音楽鑑賞に用いるような大きなものや派手なデザインのものは避けましょう。
3 WEB面接に必要な準備(身だしなみ・環境づくり編)
続いて、WEB面接に際して気をつけておきたい身だしなみのポイント、面接を受けるのに適した環境づくりについて見ていきましょう。
●面接の身だしなみ
基本的な身だしなみは、女性・男性ともに対面面接の場合と同じで、医療機関の面接では特に「清潔感」が相手に伝わることが重要です。以下の記事で、面接の身だしなみについて詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
なお、カメラの性能によって顔映りはさまざまで、画面越しでは印象がぼやけたり顔色が悪く見えたりすることも。そのため、いつもより血色感の良さや明るい印象を意識してメイクをするのがお勧めです。
ちなみに、WEB面接ではマスクは基本的に不要です。担当者も、応募者の表情を知りたいと思っているので、面接時はマスクを外しておくのが望ましいです。普段マスクで隠れることの多い口元を相手に見せるので、リップ・口紅で血色感を整えるのを忘れないようにしましょう。
また、WEB面接では基本的に上半身しか画面に映りませんが、だからといって下半身は部屋着のまま、というのはもちろんNGです。もしも何かの拍子に全身が映って部屋着であることが相手に知られてしまったら、「いい加減な気持ちで面接に臨んでいる」「この人は仕事でも手を抜きそう」とマイナスな印象につながるため、対面面接と同じように全身の身なりを整えてください。
●カメラ位置の調整
WEB面接で使用する通信端末の位置をあらかじめ決めておきましょう。カメラが自分の目線より低いと、相手を見下しているようなアングルになってしまい、印象を損ねる可能性があります。そのため、カメラと自分の目線の高さをそろえて、胸から上が真っすぐ映るようにするのをお勧めします。スマホやタブレット型端末で起こりやすいケースなので、特に注意してください。
また、逆光(人物の背後から光が射す状態)を避け、ライトなど照明器具もうまく活用して、顔映りの良いポジションを探しておきましょう。
●面接に集中できる空間づくり
WEB面接の場合、服装やメイクと同様に「空間の身だしなみ」も整えておくのが望ましいです。特に自宅からWEB面接を受ける場合は、雑然とした印象を与えないよう背景に気を配り、できる限り整理整頓しておきましょう。
●事前の予行練習
使い方に慣れておくためにも、事前に家族や友人に協力してもらい、WEB面接で利用するビデオ通話サービスを使ってみましょう。カメラ写りや画角、音声の聞こえ方などが把握できるので、安心して当日を迎えられます。
4 WEB面接の流れをチェックしよう
事前準備が整ったら、いよいよ面接本番を見ていきましょう。一般的なWEB面接の流れは「①入室(ログイン)・スタンバイ→②あいさつ→③面接の質疑応答→④終了・退室」です。WEB面接の流れに沿って気をつけておきたいポイントを紹介します。
①入室(ログイン)・スタンバイ
- 指定された時間の5分前くらいにURLにアクセスし、入室(ログイン)を済ませておくと良いでしょう。ツールにもよりますが、入室すると相手に通知される場合がほとんどなので、あまりに入室が早すぎると相手を急かしてしまう可能性もあります。
- 手元には履歴書の控えや求人情報を印刷したもの、メモを取る際の用紙や筆記用具などを用意しておきましょう。
- 面接中に通信トラブルが起きたときに備えて、面接担当者の電話番号などを控えておくと安心です。また、通信トラブルで入室できない場合は、必ず開始時間前に先方に電話で連絡して事情を説明し、指示を仰ぎましょう。連絡のないまま開始時間を迎えてしまうと、無断遅刻や辞退をされたと思われ、評価を大きく下げてしまいます。
②あいさつ
- 担当者へのあいさつはカメラ目線で。画面に映った担当者のほうを見ても視線が合わないので、カメラ目線を意識してはっきりとした口調でフルネームを名乗りましょう。
③面接の質疑応答
- 質疑応答の内容は自己紹介、志望動機、自己PR、逆質問など、基本的に対面面接と同じです。面接の受け答えのポイントについては、以下の記事で詳しく解説しているのでそちらを参照ください。
- 声の抑揚や身振りは、対面の場合よりも伝わりにくくなります。ややオーバーと感じるくらいの話し方やリアクションを意識してみましょう。
- WEB面接の場合、通信状況によって相手の話し始めと自分の声が重なる「お見合い」が発生しやすくなります。「はい」「そうですね」と相槌(あいづち)を打つのは控えめにして、大きくうなずくなど身振りで反応を示すのを意識しましょう。
- 面接時の自分の表情を画面越しに確認できるのも、WEB面接の特徴です。カメラ目線を意識しつつ、時折画面に映る自分の表情にも目を向け、話の内容に合った表情ができているかチェックしてみましょう。
④終了・退室
- 面接が終了したら、採用担当者が退室するのを見届ける、あるいはビデオ通話サービスを終了してくれるのを待つのがマナーです。退室を促された場合には「お先に失礼いたします」と一言添えて退室しましょう。
- 接続が切断されるまで、相手には表情が見えています。最後の瞬間まで笑顔を心がけましょう。
5 バーチャル背景やカンペはOK?フリーズしたらどうすれば?気になるWEB面接Q&A
自信を持ってWEB面接を受けるためにも、不安や悩みはしっかり解消しておきたいもの。ここでは、よくある疑問や質問についてお答えします。
Q WEB面接にかかる時間ってどのくらい?
A 対面面接と同様、30分〜1時間です。
多くの場合、面接の時間は30分〜1時間程度です。時間切れで伝えたいことを伝えきれないまま終わることのないように、面接担当者に面接時間はどのくらいの長さなのか聞いておくと安心です。
Q 自宅以外の場所でWEB面接を受けても大丈夫?
A 大丈夫です。ただしどこでもOKというわけではありません。
自宅以外で受ける場合、防音対策されている完全個室タイプのレンタルスペースを利用すると良いでしょう。面接では職歴などの個人情報を話しますので、カフェや半個室の漫画喫茶、オープンスペースなど周りに会話が聞こえてしまう場所は適した環境とはいえません。それだけでなく、WEB面接ではマイクが周囲の雑音を拾ってしまうため、採用担当者からしても対面面接以上に聞き取りにくくなりやすく、迷惑をかけてしまう可能性が高いです。
なお、住んでいる地名と合わせて「WEB面接」「レンタルスペース」といったキーワードで検索すると、住んでいる地域で利用できるレンタルスペースの情報を見つけやすいので活用してみましょう。
また、自宅以外で受ける場合は、先述のとおりセキュリティーの観点から、持参したモバイル無線LANなどの使用をお勧めします。
Q 自宅に家族がいます。そんな中で面接を受けても問題ない?
A 問題ありませんが、邪魔が入らないようお願いしておきましょう。
面接中に声をかけられるといったことがないように、前もって「この時間にWEB面接があるので静かにしてほしい」などとお願いしておきましょう。また、家族もインターネットを使っていると回線の通信速度が落ちる可能性があるため、WEB面接中は使用を控えることにも協力してもらえると安心です。
どうしても自宅だと落ち着いて面接を受けられないといった場合には、レンタルスペースの利用も検討しましょう。
Q 部屋が散らかっているため、相手に見えないようにバーチャル背景を使っても良い?
A バーチャル背景の利用は避けたほうが良いでしょう。
背景のぼかしやバーチャル背景を使用すると通信量が増えトラブルが発生しやすくなりますし、「見せたくないものを隠している」という印象を与え、マイナスに影響することも考えられるので、使わないことが望ましいです。
Q 質問にきちんと回答できるか不安なので、カンペを使っても良い?
A カンペの使用は逆効果になる可能性が高いので、できれば避けたほうが良いです。
志望動機や自己PRなどを書いたカンペを用意しておき、それを見ながら質問に答える方法は基本的にNGです。声の抑揚や目線の動き、回答のスピードなどに不自然さが出やすくなるため、カンペを読んでいることに採用担当者は気づくもの。かえって「自分の言葉で答えようとしていない」「熱意を感じられない」と印象を損ねる結果になりかねないので、避けることをお勧めします。
しっかり答えられるか不安な場合は、前もって志望理由や自己PRを伝える練習を繰り返し行うなどで、自分の言葉として定着させるように心がけましょう。
Q 面接中にパソコンやスマホを操作しても大丈夫?
A マナー違反にあたるのでNGです。
面接時の話をパソコンやスマホにメモしておきたいと思う場面もあるかもしれませんが、対面面接と同様にマナー違反です。キーボードのタイピング音やマウスのクリック音、スマホのタップ音などは、自分が思う以上に相手に伝わるので、面接中の操作は避けることをお勧めします。メモを取る際は、メモ用紙に手書きするようにしましょう。
また、面接中にメールや電話の着信音、アプリの通知音などが鳴ってしまうのもマナー違反。必ず、あらかじめ通知や音をオフにしておきましょう。
Q 面接中に画面が固まってしまった!印象が悪いでしょうか?
A 慌てず適切に対応すれば、マイナスにはなりません。
話の途中であっても面接担当者にトラブルの発生を速やかに報告しましょう。例えば画面のみがフリーズ状態で音声通信に問題がないのであれば、「画面が固まってしまいました。音声は問題なく聞こえますので、どのように対応すれば良いかご指示を頂けますか?」と相談してみてください。
さらに音声も聞こえなくなった場合も、相手には自分の音声が届いている場合もあります。「画面が固まり、そちらの音声も聞こえなくなってしまいました。ご指示を頂くためお電話いたします」とその場で伝えるとともに、電話で指示を仰ぐのが望ましいです。なお、ビデオ通話サービスによっては、チャットツールで状況を伝えることもできます。
面接中のフリーズや通信の不具合は、応募者・採用担当者の双方がどんなに注意を払っていても起こるときには起こるもの。採用担当者側もこういう事態は織り込み済みなので、トラブル自体で面接の評価を下げられるケースは少ないです。また、トラブルの原因が採用担当者側にあることも珍しくないので、過度に気に病む必要はありません。
むしろ、むやみにうろたえたり、勝手にアプリを再起動したりするほうが「不測の事態への対応力が低い」と相手の印象を損ねてしまう恐れも。落ち着いて相手へ状況を報告し、指示を仰ぐことを最優先しましょう。
◇ ◇ ◇
以上、WEB面接について解説しました。
遠く離れた応募先の面接に応じやすい、子育てや家事などの合間に自宅からでも面接を受けられるなど、WEB面接には多くの魅力的なメリットがあります。慣れていないと及び腰になってしまうかもしれませんが、対面にせよウェブにせよ大切なのは、どんな状況でも自分らしさを見失わず、普段どおりに振る舞うことです。
自信を持ってWEB面接に臨めるよう、準備や心構えの参考にしてみてください。
また、これから転職活動を開始する人は、当サイト「ドクターズ・ファイル ジョブズ」の活用をぜひ検討してみてください。
エリアや駅、雇用形態はもちろん、「ブランクOK」「子育てママ在籍中」「退職金あり」などのこだわり条件でも絞り込めるので、自分が重視している条件で求人を探しやすいです。
さらに、院長が自院の理念や患者・治療への思いなどを語ってくれたり、先輩スタッフが職場や自身の働き方を紹介してくれたりするインタビュー記事付きの求人も豊富。職場の特色をつかみやすいのでチェックしてみましょう。
Q WEB面接の場合、履歴書ってどうやって提出するの?
A メールまたは郵送で事前に提出。面接時に提出するケースも。
メールまたは郵送で事前に提出を求められることが多いです。また、ビデオ通話サービスのチャットツールを使って履歴書データの提出を求められることもあります。提出方法が不明な場合は前もって面接担当者に確認して、指定された方法で対応しましょう。
メールや郵送での提出のポイントについては、以下の記事も参考にしてください。