履歴書は、書かれている内容だけでなく、応募先への提出マナーが合否を左右する場合もあります。せっかく書いた履歴書なのに、提出の仕方で礼儀を欠いてしまったがために、採用担当者の印象を損ねてしまうのはとてももったいないこと。
そこで、この記事では、「手渡しする場合」「郵送する場合」「メールで送付する場合」の提出マナーについて解説します。相手に履歴書を気持ち良く読んでもらえるように、ぜひ実践してみてください。
<目次>
1 書き上げた履歴書は丁寧に取り扱おう
手渡しや郵送で気をつけるべきマナーの一つが、履歴書の状態をきれいにしておくことです。インクの汚れが目立つ、端が折れているといった履歴書だと、それだけで「仕事ぶりも雑かもしれない」「いい加減な気持ちで応募しているのでは」と人柄や意欲に疑問符をつけられてしまう可能性があります。
そのため、履歴書を不注意で汚したり破損したりしてしまった際は、手書きの場合は書き直す、パソコンやスマホで作成した場合は印刷し直すことをお勧めします。
特に書き上げた直後や印刷直後に、乾ききっていないインクを触って汚してしまうのはよくあるケース。起こしがちなミスなので、注意しましょう。
完成した履歴書は、インクが乾いたらすぐにクリアファイルに入れて、提出までの間に汚れたり折れたりするのを防ぐのが◎。このクリアファイルは履歴書と一緒に提出するので、使い古したものやデザインが施されたものではなく、新品・無色透明・無地のものを使うと良いでしょう。
また、クリアファイルのサイズは履歴書に合わせるのがマナー。A4で作成した場合はA4のクリアファイルを、B5で作成した場合はB5のクリアファイルを選んでください。
2 履歴書を手渡しする場合のポイント
面接時などで履歴書を手渡しする場合、履歴書をクリアファイルに挟んだ状態で封筒に入れて持ち運びましょう。
「手渡すのであれば封筒は不要では?」と思われるかもしれませんが、かばんの中に入れている間に汚れたり折れたりするのを防ぐ役割があり、かつ履歴書を丁重に扱っている姿勢にもつながるので、手渡しでも封筒の利用をお勧めします。
●封筒のサイズ
封筒のサイズは、A4の履歴書とクリアファイルを折り曲げずに入る「角形2号(角2)」か「角形A4号(角A4)」を選ぶと良いでしょう。郵送する場合も同様です。
なお、市販の履歴書の中には封筒とのセット商品も少なくないですが、付属の封筒が小型の「長形3号(長3)」となっている場合もあります。そのサイズでは履歴書を三つ折りにしないと入らないため、使わないことが望ましいです。
また、封筒の色は白を選ぶのが無難です。茶色のクラフト封筒は事務用に使われることが多く、他の書類に紛れてしまう可能性もあるので、なるべく避けたほうが良いでしょう。
履歴書の提出に適した封筒・適さない封筒
●手渡し時の封筒の書き方
手渡しする場合に用いる封筒の書き方のポイントは次のとおりです。
●採用担当者への手渡し方
履歴書を渡す際は、まず封筒からクリアファイルに挟まった状態の履歴書を取り出します。そして、クリアファイルに挟んだまま、相手から見て上下が正しい向きになるようにして、差し出しましょう。
3 履歴書を郵送する場合のポイント
次に、求人情報の応募要項で「応募の際は履歴書を郵送してください」と指定されていたり、応募連絡をした後に採用担当者から履歴書の郵送を指示されたりした場合の提出マナーを紹介します。
●郵送の際に必要なもの
手渡しの場合と同様に、履歴書の保護のためにクリアファイルに挟み、角形2号や角形A4号の封筒を使用しましょう。
手渡しの場合と異なる点としては、送付状(添え状)を同封すること。送付状とは、採用担当者に履歴書を気持ち良く読んでもらえるように、あいさつや確認依頼を記載した書面のことで、A4サイズ1枚程度で完結させるのが基本です。
送付状は、手書きで作成しても、パソコンやスマホで作成して印刷しても、どちらでも問題ありません。それぞれ文例や書き方のポイントを以下にまとめましたので、参考にしてください。
①手書きする場合の送付状の例
- 手書きの場合は、縦書きをお勧めします。用紙については、一筆箋よりも便箋がベター。一筆箋は書ける量が少なく、履歴書の送付状には向いていません。
- 便箋は、無地でもけい線があるものでもOKです。
- 消えるボールペンは使わず、丁寧に書きましょう。履歴書や職務経歴書のように、修正ペン・修正テープでの修正は失礼になるため、書き損じをした場合は書き直す必要があります。書き直しが何度も発生しないように、下書きをしてからボールペンで清書することをお勧めします。
- 本題では、履歴書を送った旨を記載するだけでなく、簡潔な自己紹介・志望動機を記載すると◎。履歴書に記載した内容を、さらに簡潔にまとめましょう。
- 宛名については、採用担当者がわかっている場合はその人の部署・名前を、わからない場合は「採用ご担当者様」と書けばOK。求人の応募要項に担当者名が公表されていることもあるので、確認しておきましょう。
②パソコンやスマホで作成する場合の送付状の例
- パソコンやスマホで作成して印刷する場合は、横書きをお勧めします。
- 手書きの送付状との大きな違いは、「日付や宛名、署名を最初に明記する」「表題をつける」「同封したものを、『履歴書 1通』などとわかるようにする」といった点です。
●郵送時の封筒の書き方
郵送する場合の封筒の書き方を紹介します。
郵送時の封筒の書き方例
- 封筒は横書きではなく、縦書きが一般的です。
- 宛名については、担当者の部署・名前がわかっている場合はその人の名前を、わからない場合は「採用ご担当者様」と書けばOKです。
- 表面の左下に、赤字で「応募書類在中」または「履歴書在中」と書き、四角で囲みましょう。定規などを使ってきれいな線で囲むことをお勧めします。
- 裏面に自分の住所・名前を書きます。
- 手渡しの場合の封筒と異なり、提出日の記載は不要です(送付状に記載するため)。
- のりづけで封をしていることを示す「〆」を、図の箇所に記入しましょう。
郵送の際は、郵便料金が不足しないように要注意。自分で寸法と重さを調べて切手を貼っても良いですが、不安な場合は郵便局の窓口に持ち込んで料金を支払って発送してもらうのがお勧めです。
4 履歴書をメールで送付する場合のポイント
応募先によっては「履歴書データをメールで送ってください」と指示されるケースもあります。この場合の提出方法を紹介します。
●メール添付できるようにデータ変換する
手書きの履歴書の場合、メール添付できるようにスキャンしてデータへ変換しなければなりません。自宅のプリンターにスキャン機能があれば基本的には問題ありませんが、機種によっては履歴書のサイズに対応していない場合もあります。もし自宅にスキャンできる環境がなかったり、サイズが対応していなかったりする場合は、コンビニのプリンターでスキャンできるので利用しましょう。データ形式は「PDF」を選ぶのがお勧めです。
一方、パソコンのワードやエクセルで作成した場合も、体裁崩れや文字化けの防止のためにデータ形式をPDFに変換するのが望ましいです。ワードやエクセルの「名前をつけて保存する」を選択すれば、保存するデータ形式を選べるのでPDFを選択すればOKです。
スマホで作成した場合、メールで送付できるようにPDFで保存できる機能が備わっているアプリが多いようです。もしPDF変換ができない場合は、アプリの「メールでの送付方法」を確認してください。
送付する履歴書データのファイル名は、複数の応募先にメール提出する場合に、送り間違いを起こさないように紛らわしくない名称をつけることがポイント。一例として、「送付先」「応募者名」「送付年月日」を盛り込むなど、誰がいつ送付した履歴書であるかわかるようにしておくと良いでしょう(「〇〇病院御中_履歴書_桜木美空_20XX0401」など)。
こうすれば、他の応募者の履歴書データと紛れにくくなるので応募先での紛失防止にもつながりますし、自分でも、いつ、どの応募先へ送ったデータか把握しやすくなります。
●使用するメールについて
履歴書の送付で使用するメールについては、登録無料で使えるフリーメール(GmailやYahoo!メールなど)であれば問題ありません。一方、契約中の携帯電話会社が提供しているキャリアメール(メールアドレスに携帯会社名が含まれるもの)は、容量制限によって送られてきたファイルが開けない場合などがあり、転職活動には向いていません。
また、現職でメールを使用していて、メールアドレスが割り振られている場合、このメールアドレスを転職活動に用いるのはNGです。患者や院内の機密情報を扱うメールの業務外での使用は、現職の職場に対する背信行為にあたるだけなく、採用担当者からも「情報管理の意識が低い」「業務中にも転職活動を行っている」などと評価が下がる可能性が高いので、必ず自分で用意した個人用メールアドレスを使いましょう。
メールアドレスは「自分の名前+数字」といったシンプルなものを使用するのが◎。そのため、プライベートで使用しているものとは別に、転職活動用のものを用意するのをお勧めします。 特に、ニックネームや好きなキャラクター名などが含まれたメールアドレスは、採用担当者にマイナスの印象を与えやすいので使用を控えるほうが良いでしょう。
●メールの文例と送付時に意識したいこと
送付する際のメールの文例を以下に紹介します。
履歴書の送付メールの文例
宛名の医療機関名や担当者名に誤りがないか入念にチェック。担当者の名前がわからない段階での送付の場合は、「採用ご担当者様」と記載すれば問題ありません。
また、メールを書くことに意識しすぎて、肝心の履歴書データの添付を忘れてしまうミスも起こりやすいです。送信ボタンを押す前に、最終確認を怠らないようにしましょう。
メールを送った後は、メールが到着しているかを先方に電話で確認すると、メールが届いていなかった場合に再送などの対応がしやすくなります。
その際は、忙しい診療時間中をなるべく避け、診療終了直後や休憩時間のタイミングにかけるようにすると良いでしょう。
受付スタッフが電話を受けた際は、「御院の求人に応募している桜木美空と申します。本日メールにて履歴書をお送りさせていただきました。正しく届いているかご確認をお願いしたく、ご採用担当者様(もしくは〇〇様)にお取次ぎいただけますでしょうか」と依頼すればOKです。
取り次いでもらえたら、担当者に改めて到着の確認を依頼しましょう。
正しく届いていることがわかったら、到着確認をしてもらったことへのお礼とともに「ご高覧のほどをお願いいたします。面接についてのご連絡をお待ちしております」など、履歴書の確認を改めてお願いしましょう。あくまでメールが届いているかの確認が目的なので、合否を尋ねたりするのは避けるのがベターです。
一方、先方がいつ頃、どのような手段で連絡をしてくれるかについて、電話の際に確認しておくのをお勧めします。連絡が来たときに応じやすくなるでしょう。
●返信メールの受け取り設定を確認
先方からの返信メールをしっかりと受け取れるように、メールの受け取り設定を確認しておきましょう。
迷惑メール防止のために「指定したメールアドレス以外のメールを受け取らない」といった設定にしている場合は、先方のメールアドレスを指定しておかないと返信メールも届かなくなってしまうため要注意です。先方のメールアドレスが受け取りの対象となるように、設定を変更してください。
また、先方からのメールをメールソフトが迷惑メールと誤って判断してしまい、勝手に「迷惑メールフォルダ」などに振り分けてしまうケースもあります。受信フォルダだけでなく迷惑メールフォルダに入っていないか確認するようにしましょう。
●履歴書データへのパスワード設定例
履歴書データについて、パスワードを設定して簡単には開封できないようにすることもできます。
パスワードの設定方法はさまざまですが、ここでは「ワードで作成した履歴書をPDFに変換する際にパスワードを設定する」という方法の手順を紹介します。
- ワードの「名前をつけて保存」を選択。
- データ形式から「PDF」を選択した上で、「その他のオプション」をクリック。
- 「名前をつけて保存」ウインドウが立ち上がるので、「オプション」をクリック。
- 「オプション」ウインドウが立ち上がるので、「ドキュメントをパスワードで暗号化する」のボックスにチェックをつけて「OK」をクリック。
- パスワード設定画面が立ち上がるので任意の英数字の組み合わせを入力して「OK」をクリック。
- 「名前をつけて保存」ウインドウに戻るので、保存場所を選んで「保存」をクリック。
これでPDF形式の履歴書データが作成され、開封時にパスワード入力を要求されるようになります。
●パスワードつきの履歴書データを送付する流れ
パスワード設定を施した履歴書データをメール送付する場合、ファイルの添付とパスワードの記載は別々のメールで行いましょう。
まず、ファイルを添付したメールを送付します。その際、メール本文には次のような一文を記載しましょう。
「添付のファイルにはパスワードを設定しております。パスワードはこの後のメールにて別途お伝えいたしますので、お手数ですが併せてご査収のほどをお願いいたします。」
次に、パスワードを記載したメールを送付しましょう。
「先ほど履歴書をお送りした桜木美空です。パスワードをお送りしますので、ご確認のほどをお願いいたします。パスワード:XXXXXXX」
●履歴書データへのパスワード設定は必須ではない
クリニックや病院への転職活動の場合、あらかじめ指定されていない限り、パスワードを設定しなかったことでマイナス評価となるケースは少ないです。
パスワードを設定すれば個人情報の流出リスクを減らすことができます。また、情報管理への意識の高さを採用担当者に評価してもらえるかもしれません。
その一方で、パスワードを正しく設定した上で、採用側に正確に伝える必要があり、「パスワードどおりに入力したが開封できない」などのトラブルが発生する可能性もあります。
以上を踏まえて、パスワード設定するかどうかを検討しましょう。
◇ ◇ ◇
以上、履歴書の提出方法ごとにマナーや注意点を紹介しました。印象アップのための基本的な考え方として、ご自身の状況に合わせて、できるところから取り入れてみてください。
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手渡し時の封筒の書き方例