松浦 豪 院長、松浦 充洋 先生の独自取材記事
松浦整形外科医院
(久留米市/久留米高校前駅)
最終更新日:2025/03/10

久留米市上津の住宅地に構える「松浦整形外科医院」は、1997年の開院以来、地域に根差した診療を行ってきた。院長の松浦豪先生は、大学院では整形外科疾患と免疫に関する研究に従事。中でも関連性の深いリウマチ分野で研鑽を重ねてきた。患者層は幅広く、肩・腕・腰・膝などの痛みに加え、外傷や骨粗しょう症にも対応。リハビリテーション科では、医師と理学療法士が連携し、座る、立つ、歩くといった基本動作能力の回復や維持を図るほか、運動療法や物理療法などを用いて障害の悪化防止を図るとともに、自立した日常生活が送れるようサポートしている。また、月2回程度、手・肘の疾患を専門とする息子の松浦充洋先生も診療を担当。専門性を生かしながら診療を行っているという2人に、これまでを振り返ってもらいながら話を聞いた。
(取材日2025年2月8日)
子どもから高齢者までカバーした診療で地域に貢献
院長のご出身は神戸市で、大学進学を機に福岡県へ来られたとか。

【松浦院長】ええ、高校まで神戸市で過ごしました。医療関係の仕事をしている親戚がいたことから、医師になるのもいいのではと親から勧められ、久留米大学医学部へ進学。初めて親元を離れて一人暮らしも経験しました。無事卒業してからは、大学院へ進み、整形外科疾患と免疫に関する研究に従事。どの診療科でも免疫との関わりはありますが、整形外科では自己免疫疾患であるリウマチとの関連性が特に深く、当時はまだ今のような薬も出ていませんでした。変形が進行し人工関節の手術が必要となる患者さんが多くいらっしゃいましたからね。そこで、一生懸命勉強して困っている方たちの役に立ちたいと思うようになったんです。その後は大学の関連病院で人工関節の手術などにも多く携わらせていただき、1997年に独立。早いもので開院してからもう30年近くたちます。
開院当時、充洋先生はおいくつだったのでしょう?
【充洋先生】10歳くらいだったと思います。父の職場での姿を見る機会はあまりなかったのですが、医師という仕事に情熱を注いでいる父を尊敬していました。医師になりたいと思ったのは、小学3年生の頃だったと思います。父の影響があったのは間違いありませんが、人と接する仕事をしたいと思ったことも理由の一つでした。その気持ちは変わらず、大学は父の母校である久留米大学医学部へ進学。卒業後は主に聖マリア病院と久留米大学病院の整形外科で研鑽を積み、急性期から慢性期までの臨床だけでなく、医学部の学生への医学教育に携わる機会も頂きました。現在は久留米大学病院で勤める傍ら、月2回当院で診療も行っています。
充洋先生は手・肘の疾患がご専門と伺いました。

【充洋先生】はい。聖マリア病院では事故などで外傷を負った方が救急搬送されることが多かったのですが、ある時あまりにも手の損傷がひどい方が運ばれてきて自分では対応できないことがあったんです。それがとても悔しくて、どうしても治せるようになりたいと思ったのと、神経・血管・腱などを含めた手の手術ができるようになったら、さまざまな整形外科疾患に対応できるようになるのではと思いました。一般外傷を主軸にサブスペシャリティーとして手・肘を専門に多くの経験を積ませてもらいました。まだ久留米地区には手・肘を専門とする医師が少ないため、多くの患者さんを担当させていただいていることに感謝するとともに、地域に貢献できている喜びを実感しています。ここでの診療でも専門性を生かすことができていますし、手術が必要な場合も在籍している大学病院で私が担当することもできますので、その点もご安心いただける要素になると思います。
内服・注射・リハビリの3つを柱に、痛みへアプローチ
手術後はこちらでリハビリを受けることも?

【松浦院長】もちろん可能です。2階に広いリハビリルームを設けていますので、1階で電気治療やけん引治療といった物理療法を受けていただいた後に、2階で理学療法士のサポートのもとリハビリをしていただきます。高齢者は転倒による骨折や背骨を圧迫骨折するリスクが高まりますし、骨折をしてしまうと寝たきりになることが少なくありません。そうならないための予防に努めることが大切です。高齢になり通院が困難な方は介護保険を利用した通所リハビリ(デイケア)もご利用いただけますので、その場合は理学療法士がマンツーマンで寝たきりの生活にならないための予防も含めたリハビリを実施します。その点も当院の強みであると言えるでしょう。介護認定の申請には医師の意見書が必要なので、ご不明な点などあればお気軽にお尋ねください。
幅広い患者層の中でも、特にどのような主訴で来院される方が多いのでしょう。
【松浦院長】やはり「痛み」ですよね。一言で「痛み」といっても、その種類や疾患は幅広く、年代によっても原因が変わってきます。お子さんであれば、肘の亜脱臼や背骨が曲がっている側弯症、骨折や外傷で来られる方が多いです。側弯症に関しては学校健診で指摘されて来院されるケースも。中・高・大学生になると部活やクラブチームで運動に励む方が増えますのでスポーツ外傷、中高年は首・肩・腰・膝の痛みやしびれを訴える方が増えてきます。そして、高齢者に多いのは背骨の圧迫骨折。特に女性は骨粗しょう症の方が多く、骨折しやすいことも原因です。あとは男女問わず変形性膝関節症。膝関節の軟骨が擦り減り、歩行時に膝の痛みが出る疾患です。手術が必要か否かについては、痛みの度合いやその方が生活する上でどのくらい困っているかで判断をします。
そのような「痛み」に対し、どのようなアプローチをされるのですか?

【松浦院長】基本となる「内服」「注射」「リハビリ」の3つを柱に、状態に合わせて組み合わせることもあります。内服だけでは改善が見込めない場合は、ブロック注射などのアプローチ、さらに理学療法士と連携しリハビリを行うなど、患者さんの状態に適した治療計画を立てて進めていきます。リハビリに関してはリハビリ前後の2回カンファレンスを行い細かく評価し、今後の治療に役立てます。内服に関しては、漢方薬で改善を試みることも。治療法は日々進化していきますので、勉強会にも積極的に参加しスキルアップに努めています。これまでさまざまな手術にも携わってきましたので術前術後のケアにも対応しています。
不必要な検査をせず、患者に寄り添った診療を心がける
ご専門のリウマチに関しても教えてください。

【松浦院長】リウマチの治療は、基礎療法、薬物療法、リハビリ、手術が基本です。今は人工関節の手術の回避が期待できる生物学的製剤が使えるようになったのですが、保険適用ではあるものの非常に高額なんですね。もちろん高額療養費制度が適用できますが、それでも患者さんの負担が少ないとはいえません。そういったことから治療の選択は症状や日常生活の困難度を総合的に判断した上で患者さんとも相談しながら行っています。どの痛みもそうですが、放置をせず、早期治療が重要ですので、痛みやこわばりなど違和感を感じたらためらわずに早めの受診を心がけてください。
診療において心がけていることは何でしょう。
【松浦院長】今は体の痛みだけでなく、心の痛みも感じていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。そのためよく知る精神科の先生にアドバイスいただきながら、必要に応じてご紹介するなど、体も心も健康になるための診療を心がけています。また、当院は「不必要な検査をしないこと」がモットー。症状に対し必要だと判断した検査のみ実施することを信念にしていますので、たくさん検査を勧められるのではないかと受診を迷っている方がいらしたら、安心して来院いただきたいと思います。
【充洋先生】父は患者さんに負担をかけないよう、本当に必要な検査だけしか行っていないんですよね。それは自分も医師だからわかる父のすごさ。必要か否かの見極めはキャリアあってこそだと尊敬しています。
今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

【充洋先生】今後は予防医学にも注力したいです。筋力の低下や骨粗しょう症の予防などの重要性を呼びかけていきたいと思います。父が今まで取り組んできたことを引き継ぎながら、自分のキャリアも生かした診療で、皆さんのお役に立てたらうれしいです。
【松浦院長】久留米は医療資源が豊富なエリアですので、患者さんが受診先で困らない状態が今後も維持できるよう、医師同士のつながりや連携しながら診療を行っていくことがわれわれの使命だと思っています。何か気になることがあればお気軽にご相談ください。