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田中 宏明 院長の独自取材記事

田中宏明・内科胃腸科クリニック

(福岡市城南区/七隈駅)

最終更新日:2021/10/12

田中宏明院長 田中宏明・内科胃腸科クリニック main

地下鉄七隈駅から徒歩13分の場所にある「田中宏明・内科胃腸科クリニック」。高い天井と診察室のガラス窓からは光が差し、院内を明るく彩っている。院長の田中宏明先生は、肌、目、声、姿勢など患者の全身状況から病気のあたりをつけ診断・治療をするだけでなく、おおもとに迫って再びその症状に悩まされない体作りをめざす。胃・大腸に加え上咽頭の内視鏡検査のほか、食習慣や生活環境をつぶさに見つめ、じっくりと腰を据えて患者その人と向き合うスタイルの診療を求めて、福岡市内のみならず、県外からも多数の患者が足を運んでいるという。「薬を減らして、いずれはクリニックから卒業してもらうのが一番です」と快活な口調で話す院長に、診療における考え方や力を入れている治療法などについて語ってもらった。

(取材日2021年1月14日)

病気の「おおもと」となる原因をしっかり見つめる診療

天井が高く、とても明るい印象の院内ですね。

田中宏明院長 田中宏明・内科胃腸科クリニック1

診察室と隣のベッドスペースは、すべて天井から床までガラス窓にしています。冬でも陽の光がたくさん入るので、患者さんも明るい気持ちになってくださっているようです。私自身、においに敏感で、前の患者さんのにおいが残ったまま次の方をお呼びすることができないので、換気がしやすいように、という狙いもあります。加えて、今だと発熱専門の外来受付としても活躍しますね。横が駐車場なので、熱がある方でも待合室を通らず、外から直接、院内に出入りしていただけます。クリニックの設計は有名飲食店やホテルを数多く手がけた建築家の先生にお願いしました。医療機関の待合室らしくない開放感あふれる雰囲気はそのおかげだと思います。

先生が医学の道を志したきっかけをお聞かせください。

父は下町の小さな薬局を営んでいました。狭いのにたくさんのお客さまがいらっしゃって、そのたびに父が面白おかしく、患者さんに症状や薬の説明をしていたのがとても印象的で。その様子を見ながら、幼いながらも「こうやって説明をすれば患者さんに伝わるのか」と感銘を受け、医師になる決心をしました。2021年で開業28年目を迎えますが、福岡市内や郊外だけでなく、週末には近県や本州から来院される方も増えています。医師としてどうお応えすべきか、あらためて考えさせられる貴重な経験です。遠くの患者さんならばなおさら病気を避ける方法をうまくお伝えして一緒に治癒をめざしたいという気持ちが強くなります。

患者さんの主訴にはどういったものがあるのでしょうか?

田中宏明院長 田中宏明・内科胃腸科クリニック2

割合としては胃・大腸内視鏡検査を希望される方も多いですね。当院の特徴のひとつは「病院をいくつも回ったけど原因不明と言われる」という患者さんが多いことです。「胃がムカムカする、痛むので胃カメラをしたが異常なし、出された薬を飲んでも治らない」という方々は毎日来られます。この場合、「食欲はどうでしょう?」と尋ねるとすぐに「あります」という場合、深刻な胃の病気があることは稀です。患者さんがいう胃が痛い=胃の病気、でよいのか? を胃カメラなどに頼るのではなく、その症状のおおもとは何なのかを丁寧な診察と問診で探り当てて薬を出すことを心がけています。

肌・目・声・姿勢など、患者の全身状況から病気を把握

どのように診察を行っておられるのか、詳しくお聞かせください。

田中宏明院長 田中宏明・内科胃腸科クリニック3

先ほどの例であれば、みぞおちの辺りに痛みや不快感があったとしても、それが胃だとは限りません。大腸も通っていますし、膵臓、胆嚢、十二指腸も近くにあります。みぞおち=胃、と決めつけず、「ひとつながりの食べ物の通り道」の症状と捉えるのが私の診察スタイルです。患者さんの肌、姿勢、声、ときにはにおいを参考にしながらゆっくり話を伺い、必ず触診と聴診をして、症状のおおもとまで説明できるストーリーを考えるのです。そうすると診断と治療に留まらず、治った後はどのような生活習慣にすればよいのか、まで示すことができると思います。「いつも必ず聴診器を当てるのですね」という声もいただき、患者さんの安心感にもつながっているように感じます。楽な胃や大腸カメラを心がけていますが、丁寧な結果説明や、検査した日から後の食事改善などの健康指導はもっと大切だと思っています。

具体的にどういった点に注目していらっしゃるのでしょうか?

患者さんには人それぞれの言い回しがありますよね。例えば「胃がしわしわする」といった具合です。この表現でないと「この前の症状はよくなりました?」と尋ねても患者さんはピンと来ません。「上腹部不快感」とカルテに記載してしまうと、患者さんと同じ時間を共有できないと思います。できるだけ患者さんの訴えを忠実に入力して目線を近づけることで、多くのことを教えていただこうと心がけています。

そうやって細かく診ていくことで、お薬を減らすことにもつなげていくのだとか。

田中宏明院長 田中宏明・内科胃腸科クリニック4

例えば、高血圧やコレステロールの薬は一生飲み続けなさい、と当院で言うことはありません。減量すれば降圧剤や糖尿病薬・高脂血症の薬は卒業できることもありますし、その方の自律神経の状態に合った血圧や血糖・脂質の数値に合わせた処方もあるはずです。検査データ用紙とにらめっこするよりも目の前の患者さんの中にこそ最適解があるはずです。繰り返しになりますが、大事なのは「おおもと」に迫ることだと思います。病気やさまざまな症状の原因が呼吸や食事にあることは少なくありません。ただ、自分の生活習慣が病気の一因かもしれないとは思わないでしょう。医師がそれに気づいて患者さんと一緒に改善をすれば、薬も飲まなくてよい、病院からも卒業できる、というときが来るかもしれないと願っています。

「病院に通わなくてもいい体」を作っていく

先生が力を入れている治療についてお聞かせください。

田中宏明院長 田中宏明・内科胃腸科クリニック5

当院では「3日間、起きてから寝るまで口にするものをすべて写真に撮ってください」とお願いします。その方独自の食習慣を把握してから、検査結果や病気に合わせて臨床栄養学の立場から食事指導をするためです。「食がからだを作る」という発想で薬だけに頼らない治療と予防につながれば幸いです。また、鼻呼吸を徹底させることも大切です。口呼吸で悪化しやすい慢性上咽頭炎を「鼻から胃カメラ」で観察して、Bスポット療法(EAT)を行う数少ない胃腸科の医師として、情報発信に努めています。命をつなぐ「食と空気」の通り道を正しく使うことこそ、最良の病気予防であり、薬に頼らない治療法といえると思いますから。

患部を診るだけではなく、患者さんの状態をしっかり把握するように努めているんですね。

近年、腸内細菌が肥満・糖尿病・腎臓病・動脈硬化だけではなく認知症とも関連することが判明してきました。腸に棲む腸内細菌は健康と病気に大きく関わっています。当院では2007年から「腸活」という言葉を使い、便秘の外来を続けています。便秘治療薬も進歩していますが、生活や食事の習慣がそれぞれ違う人々すべてに効くには至りません。じっくり診察した結果を生かして、個人の生活・食習慣に合わせた便秘治療と腸活をすることが、さまざまな病気の予防と治療に結びつく可能性が高いと信じています。

最後に。今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

田中宏明院長 田中宏明・内科胃腸科クリニック6

「伝えていく」……これが私の使命と思っています。問診のコツ、検査データに現れない病気のサイン、栄養素と体、腸活と病気、脳と体を結ぶインターネットのような自律神経の働き……などから「病気のおおもと」を割り出してなるべく早い治癒に導き、病気が起こらない体をめざすことです。「からだの不調でいくつ医療機関を巡っても解決しない」ならば、ぜひご相談ください。「病気のおおもと」を一緒に探りながら、病院に行かずにすむからだを取り戻しましょう。

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