平野 敦士 院長の独自取材記事
平野医院
(福岡市中央区/西鉄平尾駅)
最終更新日:2025/05/08

西鉄バス小笹停留所から徒歩3分に場所にある「平野医院」は、1978年に平野雅士前院長が開業し今年で46年目を迎える。地域と歩んできた同院で、内科全般の診療や内視鏡を使った検査を任されてきた平野敦士院長は、九州大学医学部を卒業後、同大学病院や福岡赤十字病院などで勤務し、専門の胃腸疾患のほかにも、脳循環・腎臓・高血圧など幅広い疾患の診断や治療に携わってきた。かかりつけ医として患者の全身を管理することはもちろん、数多くの経験を経て培った内視鏡の技術で、胃がんや大腸がんの早期発見を心がけている。見た目どおり爽やかで、物腰も穏やかな平野院長に、診療の方針や今後の意気込みを聞いた。
(取材日2020年5月13日/情報更新日2025年5月2日)
地域を愛し愛され46年、築いた信頼をつないでいく
今年で開業46年目を迎える、歴史あるクリニックですね。

当院は、私が生まれた次の年に父が開業しました。当時の小笹は今の住宅街のような感じとは違い、緑がたくさんあふれる地域でした。私は小笹で生まれ、小学校、中学校と地元の学校に通いました。医院の裏に自宅があり、当時から来院している患者さんは、私が子どもの頃に裸でゴムプールで遊ぶ姿を覚えていて、「ずいぶん大きくなって」と声をかけてくださることもあります。2020年5月からは、主に私が診療を担当しています。父に対する患者さんの信頼は厚く、私が代わりに診療していると「院長先生は病気ですか?」と涙ぐむ患者さんもおられます。このような関係性は、一朝一夕では築けません。地域の皆さんとは長い付き合いになると思いますので、時間をかけて関係を構築していきたいです。
患者さんとコミュニケーションをとる時に意識していることを教えてください。
皆さんがリラックスしてなんでも相談できる雰囲気づくりを心がけ、忙しい時でも高圧的な態度にならないよう気をつけています。父は昔から穏やかで、患者さんから慕われていて本当にすごいと思います。私の世代だと、検査を重視することが多いのですが、父は問診と診察が非常に丁寧で、見ていてすごく勉強になります。開業当時から現在までの44年間、ずっと通ってくださる患者さんもおり、当院で一緒に勤務する母も明るくおしゃべりが好きなのでいろんな方と仲良くさせてもらっています。待合室には近隣の幼稚園児が勤労感謝の日に訪問してくれた時の写真を飾っています。昔から交流があったようで、当時の園児が母親になり、子どもを連れて来てくれることもあるんです。
九州大学病院やその関連病院で勤務後、平野医院で働くことを決めたきっかけは何だったのでしょうか?

勤務医時代は数年ごとに転勤があり、一人の患者さんを診ることができるのは、長くても4~5年でした。一方、父は何十年もずっと診ている患者さんがおり、一生を寄り添うような姿を見て、私も地域の皆さんの人生に関わらせていただきたいという思いになったからです。九州大学病院に勤務していた時は、自分の専門分野である胃腸疾患について高度な専門性が求められた一方で、地方の関連病院での勤務時代は内科全般を診ることが求められました。自分の専門外の診療を好まない先生もいらっしゃいましたが、私は患者さんの全身を管理することがいい経験になりましたし、好きでした。そもそも病気は一つの臓器だけが原因で起こるとは限りません。かかりつけ医として患者さんの内科全般の診療をするとともに、胃や腸が悪いという方には、胃腸の専門家として高度な医療を提供していきたいです。
痛みに配慮した内視鏡検査で、がんの早期発見に尽力
現在は主にどんな症状や世代の患者さんが通われているのですか?

風邪や腹痛などの症状で来院される方から、慢性疾患の治療で来られる方などさまざまです。今後は内視鏡を積極的に行い、病気の早期発見をめざしたいと思っています。働き盛りの方も受診しやすくなるよう、私が着任してからは診療時間を1時間延長しました。胃がんや大腸がんは早期で発見できれば治癒が期待できる病気ですので、早めの検査をお勧めします。当院では、比較的新しい機材を使っており、私はこれまでの十数年でかなりの数の内視鏡検査を行い、内科、消化器、消化器内視鏡について専門性を高めています。童顔なので、「若い医師で大丈夫か」と不安がられることもありますが、もういい年齢ですし、いろんな病院で多くの経験をしてきたので、信用していただきたいですね。
大腸や胃の内視鏡検査を受ける年齢や頻度はどれくらいが理想でしょうか?
胃の場合は、ピロリ菌の有無で大きく違ってきます。ピロリ菌の有無を知るためにも、30歳になったら一度検査をしてみてはいかがでしょうか。ピロリ菌がまったくいない方や、飲酒をしない、タバコも吸わない方などは、その後の検査は数年に1回程度でいいと思います。ただ、ピロリ菌がいる方、以前に除菌したことがある方、タバコを吸ってお酒もたくさん飲む方は、胃がんや食道がんを発症するリスクを抱えています。1~2年に1回は検査をすることをお勧めします。また、大腸については40歳をめどに検査することをお勧めします。そこで多発するポリープや大きなポリープが見つかった方、ご家族に大腸がんを患った方がおられる場合は、1~2年に1回くらい頻繁に受けるとよいでしょう。
院長ご自身も先日、大腸検査を受けられたそうですね。

私も46歳になったので、大腸検査を受けてみました。上手な先生に診てもらったのですが、やはりお尻から物を入れられるのは何となく気持ちが悪くて、違和感を覚えました。自分も実際に検査を受けてみたことで、仮に痛みが少なくても鎮静剤を使いたい人はいるだろうなと実感し、基本的には鎮静剤を使用して検査を受けることをお勧めしています。ただ、鎮静剤を使うと車の運転ができず、また検査後しばらく休んでいただく必要があります。どうしても車で来院する必要がある、検査後休む時間がないという方には、鎮痛剤を使わなくても、苦痛が少ないように十分配慮しながら内視鏡検査を行っていますので、ぜひご相談ください。
内科全般を幅広く診て、健康な生活をサポート
そもそも、なぜ医師をめざそうと思ったのか、きっかけを教えてください。

医師である父が身近にいたことは、きっかけの一つですね。私が子どもの頃、夜中に嘔吐下痢を発症してしまったことがありました。その時に父が早急に処置してくれ、子ども心ながらに「恵まれているな」と感じました。手先が器用になるようにと、幼稚園生から小学生くらいまでピアノを習っていたのですが、残念ながら才能ゼロでした。最近、私の子どももピアノを習い始め、久しぶりだけど自分ももしかしたら弾けるかもと挑戦しましたが、まず楽譜が読めませんでした。大学で勤務している頃は、帰りは夜中で朝も早かったので、子どもになかなか会えませんでしたが、今は起きている時間に帰れることが多いのでうれしいです。
スマートな体形を維持されていますが、健康面で意識していることはありますか?
大学時代はソフトテニスをしていましたが、今は激しい運動をすると筋肉痛で1週間は動けなくなります。けがも怖いですし、今は軽いウォーキングをする程度です。どちらかというと食事面に気を使っており、1日トータルで見て食べ過ぎないようにしています。よく患者さんにもお伝えしているのですが、麦ご飯を意識して食べるようにしています。麦ご飯は食物繊維が豊富で、腸内環境を良くしてくれます。大腸にいる善玉菌は、食物繊維を餌として、体にいい影響を与えてくれるんです。ただ、子どもは麦ご飯が嫌いなので、父と一緒に昼食で食べています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

胃がんや大腸がんは、発見が初期であれば治癒が期待できる病です。症状がある時は気軽に受診していただきたいですし、症状がなくても、自分がどれくらいのリスクを抱えているか知るため、一度検査を受けてほしいです。早めの治療が重要な病気だけに、命を落とされる方がいると心が痛みます。そういう方が少なくなるよう努力したいです。また、今は一概に高齢者といっても、とても元気な方が多いです。健やかに過ごせる時間を長くできるようなお手伝いがしたいです。人間はいろんな臓器から成り立っています。これまで、消化器だけでなく内科全般を診てきた経験から、一つの臓器だけでなく、全体を気にしてあげることが大切だと実感しています。父と協力しながら、患者さんに適した診療を心がけていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とは胃カメラ:1万3000円~
大腸カメラ:2万円~