増田 由紀子 院長の独自取材記事
増田内科整形外科医院
(福岡市東区/西鉄香椎駅)
最終更新日:2026/03/04
JR鹿児島本線・香椎駅から徒歩3分、西鉄香椎駅からは徒歩1分という便利な立地にある「増田内科整形外科医院」は、1950年代の開院以来、地域のかかりつけとして親しまれてきた。2022年、3代目院長として約20年間同院を支えてきた前院長の増田義武先生が52歳で急逝したことを受け、姉の増田由紀子先生がその遺志を継いで院長に就任。「地域の皆さん、そしてスタッフの支えがあってこそ今があります」と語る。現在は、由紀子院長の専門である内科を診療する他、整形外科医による診療や理学療法士によるリハビリテーションにも対応し、従来の体制を変わらず継続している。やわらかな語り口の中に責任感と診療への思いがにじむ由紀子院長に、日々の診療で大切にしていることや地域医療への考え、今後の展望について話を聞いた。
(取材日2025年12月18日)
祖父、父、弟の志を受け、地域医療のバトンをつなぐ
たいへん歴史のあるクリニックだと伺いました。

そうですね。当院は、私の祖父が1950年代半ばに開院し、その後は父、そして3代目の弟へと引き継がれ、長年にわたり地域のかかりつけとして親しまれてきました。そんな中、2022年に弟が急逝し、通院されていた患者さんや地域の方々をたいへん驚かせ、同時にたいへんなご心配とご不便をおかけすることになってしまいました。弟や父、祖父の思いを絶やしてはならないと、急きょ、私が後を継ぐことになりました。最初は不安もありましたが、地域の皆さんに温かく支えていただいたおかげで、なんとかここまで来られています。かつて弟と一緒に診療していた時期もあったことから、「戻ってきてくれて良かった」「安心した」と声をかけてくださる方も多く、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
現在の診療体制について教えてください。
現在、当院には常勤の整形外科医はいませんが、すべての診療日に整形外科の医師が勤務しており、これまで通院されていた患者さんにも変わらず安心して受診していただける体制を整えています。私は内科・心療内科が専門ですが、整形外科と内科はまったく別の領域のようでいて、実は連携が重要になるケースも多いんですね。例えば、痛風であれば、病気そのものの管理は内科が担いますが、関節の痛みや腫れ、熱感などは整形外科的な視点で診ることが役立ちます。また、足の痛みで松葉杖が必要になった場合なども、整形外科医が適切に対応できます。両科が同じクリニック内にあることで、患者さんの症状を多角的にとらえ、より手厚いフォローにつなげられると感じています。
なぜ内科・心療内科を専門にされたのですか?

大学病院で救命救急を担当していた頃、あまりの忙しさから心身のバランスを崩してしまったことが、心と体の関係を深く学びたいと思うきっかけでした。その後、大学病院の心療内科で経験を積んでいた時に父が倒れ、一時期はこちらに戻って弟とともに診療にあたっていましたが、弟が院長を継いでからは、現代医療だけでは改善しづらい症状への幅広いアプローチを学ぶべく関東へ移り、西洋医学、東洋医学という枠にとらわれず漢方なども体系的に学びました。漢方は前院長も取り入れていた分野で、痛みや自律神経の不調、更年期症状、さらにはメンタルが影響するさまざまな症状まで幅広く対応できるため、現在も一つの選択肢として積極的に活用しています。
本来の健康を取り戻すための、総合的診療とチーム力
先生の診療スタイルを聞かせていただけますか?

薬だけに頼るのではなく、生活習慣の見直しも含めて全体を整えていくことを大切にしています。健康診断の数値が気になって受診される方もいますが、正常値に戻すことそのものが目的になってしまうのは本質からずれてしまうと感じています。例えば、痛風一つとっても、尿酸そのものが悪いわけではありません。痛風の発症は、食事やストレス、睡眠など、どこかに負荷がかかっているサインとも考えられますので、生活背景を含めて全体像を把握し、その方に合った方法を提案するようにしています。もちろん「まずは薬で症状を抑えることをめざしたい」という希望があれば対応しますが、最近は一般の方にもポリファーマシー(多剤併用)が知られるようになり、「薬をこんなに飲み続けるのが怖い」「薬だらけの状態に疑問を感じた」などと相談に来られる方も増えています。最小限の薬で、本来の健康を取り戻していくことをめざす……そんなスタンスで診療しています。
リハビリにも力を入れていると伺いました。
そうですね。実は私自身、2022年にこちらへ戻ってくるまではリハビリに直接関わる機会が少なかったため、リハビリスタッフから多くのことを学ばせてもらっています。その中で、肥満症の方の減量支援や糖尿病の方の運動療法など、リハビリの視点は内科領域の患者さんにも有用な場面が多いと実感するようになりました。足取りが気になるご高齢の方にこちらからリハビリを提案することもあり、痛みの改善が期待できるだけでなく、転倒予防や生活の質の向上といった幅広い効果が期待できると考えています。さらに、他院で頸部骨折の手術を受けた方が、退院後のリハビリ継続のために当院に通われる方も多く、地域の方に継続的な支援ができることも強みだと思っています。
スタッフの皆さんについても教えてください。

本当に「よくぞ集まってくれた」と思うほど素晴らしいスタッフばかりなんです。看護師2人、理学療法士2人、リハビリ助手1人、放射線技師1人、受付2人という体制ですが、どの職種も丁寧で温かい対応をしてくれるとお褒めの言葉をいただくことが多く、私自身も誇りに思っています。リハビリスタッフは、痛みを抱える患者さんに対し日々しっかりと寄り添ってくれています。技術だけでなく人柄に対しても心から信頼しているので、もし家族にリハビリが必要となった場合、安心して任せられます。そうしたスタッフに支えられて、当院は成り立っていると感じています。
地域の健康と命を守るクリニックをめざして
お忙しい中、どのようにリフレッシュしていますか?

いわゆる趣味らしい趣味はあまりなくて、強いて言えば、「治療法を探すこと」が私のリフレッシュになっているように思います。現代医療では多くの疾患にガイドラインが確立されていますが、その枠だけでは十分な回復が見込めない患者さんもいらっしゃいます。そうした方々を少しでも支えられる方法がないか、本を取り寄せて読んだり、信頼できる先生方の情報発信を丁寧に追ったりする時間が好きなんです。食事療法や生活習慣のアプローチなど、医学的根拠のある新しい視点を学ぶことで、治療の幅が広がることもあります。最近では、糖代謝を整えるための方法について新しい知見にふれる機会があり、非常に興味深く感じました。こうした学びを患者さんに還元したいという思いが私のエネルギー源になっています。
今後の展望をお聞かせください。
内科・整形外科といった診療科の枠にとらわれず、体全体の不調を総合的に診る「かかりつけ医」としての役割をさらに強めていきたいと考えています。痛みのある方や外科的処置が必要な場面では整形外科が、生活習慣病やメンタルの不調には内科・心療内科がそれぞれ専門性を発揮し、その上で漢方や栄養、睡眠、生活習慣への介入といった視点を組み合わせ、一人ひとりに合ったアプローチをしていきたいと思っています。特に、食生活の見直しは健康寿命に直結する重要な要素だと考えているので、内科では食事の相談にも力を入れています。私自身、医師であった弟を“誰もがなり得る病気”で突然亡くした経験をして、病気を決して軽く考えてはいけないことを痛感しました。その思いを今後の診療に生かし、地域の皆さんの健康と命をしっかり守っていきたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

地域の皆さんからたくさんの元気をいただいた分、これからは私がしっかりとお返ししていきたいと考えています。祖父や父、そして弟が大切にしてきた患者さんやクリニックと、この地域を守るために、自分にできることを一つ一つ形にしていくことが今の大きなモチベーションです。めざしているのは、来院すると自然と前向きな気持ちになれるようなクリニック。院内は、車いすやベビーカーでも通れるようスペースを広く取ってありますし、お子さん連れの方にはキッズスペースもご用意していますので、どんなことでも安心して相談にいらしてください。

