増田 由紀子 院長、比嘉 頴秀 先生の独自取材記事
増田内科整形外科医院
(福岡市東区/西鉄香椎駅)
最終更新日:2025/05/02

JR鹿児島本線・香椎駅から徒歩3分という好立地にある「増田内科整形外科医院」は、昭和30年代に開院して以来、地域のかかりつけとして親しまれてきた。祖父の代から続く同院を、20年守ってきた3代目院長で弟の増田義武先生が52歳という若さで急逝。弟の診療にかける熱意を絶やしてはならないと、姉である増田由紀子先生が院長に就任し、バトンをつないだ。「地域の皆さんやスタッフの温かい想いに感謝の気持ちで胸がいっぱいです」と、由紀子院長。専門は内科だが、整形外科の医師である比嘉頴秀(ひが・えいしゅう)先生を新たに迎え、これまで同様に外傷や理学療法なども継続し、困った時のかかりつけとして地域に恩返しがしたいとほほ笑む。本来の診療体制が整った今、由紀子院長と比嘉先生に地域医療に対する想いや意気込みを聞いた。
(取材日2025年4月11日)
祖父、父、弟の想いを胸に、地域に根差した医療を
2022年に院長に就任されて以来、患者さんに支えられることも多いそうですね。

【由紀子院長】本当にありがたいことです。ここは祖父が昭和30年代半ばに開院し、その後も父、3代目の弟というふうに、長きにわたり地域のかかりつけとして親しんでいただいているクリニックなんですね。そんな中、弟が急逝し、姉である私が急きょ引き継ぐことになったものですから、地域の皆さんにはずいぶんと支えていただき、前に進むことができました。ずいぶん昔、弟と一緒に私もここで診療を行っていたことがありましたので、温かい言葉をかけてくださる方も多く、皆さんには感謝の言葉しかありません。ただ、私の専門が内科ですので、整形外科は以前のような診療をできる状態ではなく、その窮状を察してくださったのが、4月から常勤で来ていただいている比嘉先生でした。感謝しかありません。
もともと面識はおありだったのですか?
【比嘉先生】面識はなかったのですが、歴史の長いクリニックですので以前から存じ上げておりました。香椎地区では多くの方がかかりつけとして利用されているクリニックでしたから。お役に立てることがあればと、私からお声がけさせていただきました。
【由紀子院長】良いご縁をいただきました。私自身、内科診療にも力を入れて取り組み、幅は広がったと思いますが、やはり整形外科の受診で来院される患者さんも非常に多いものですから、比嘉先生が来てくださって心強いですし、患者さんも安心してくださっていると思います。
【比嘉先生】それだけ整形外科としての歴史も長いということですよね。とはいえ、地域のかかりつけとして親しまれていますので、整形外科、内科に限らず、何でも相談できるというのが強みだと思います。
さまざまな症状の窓口のような役割も果たされているのですね。

【由紀子院長】それこそが、かかりつけの役割だと思うんです。もちろんすべての疾患を診ることができるわけではありませんので、専門性が必要な場合は適した機関へとおつなぎいたします。困ったときの案内人。そう思っていただくのがわかりやすいかもしれませんね。ですので、当院では内科だから、あるいは整形外科だからといった理由で診療をお断りすることは基本的にありません。研鑽を重ねてきた知識と技術をもって、できること、できないことを判断し、適した医療で患者さんの健康をお守りする。そういった意味では医師としての原点に立ち返らせてもらえている気がします。
西洋医学、東洋医学にとらわれない治療で改善をめざす
由紀子院長は大学ご卒業後は内科勤務を経て、心療内科を専門にされていたそうですね。

【由紀子院長】大学病院の救命救急を担当していた時に、あまりの忙しさから心が壊れてしまったのがきっかけでした。心と体の関係を学びたいと大学病院などの心療内科で勤める中、父が倒れたことからこちらへ戻り弟と診療することに。ただ、ここは弟が引き継ぐことになりましたので、私は現代医療ではなかなか改善しづらい症状に対するさまざまなアプローチ法を学びたいと思い、しばらくして関東へ行ったんです。西洋医学や東洋医学といった各領域にとらわれず、漢方などについても学んでいました。漢方は前院長も取り入れていた分野で、痛みだけでなく、自律神経の不調によるさまざまな症状や更年期症状、ときにはメンタルが関連した症状など適用は幅広いため、私も幅広い症状の改善を試みる手段の一つとして処方しています。
一方、比嘉先生のご専門は膝関節だとお伺いしています。
【比嘉先生】ええ、私の経歴からお話ししますと、沖縄で生まれ育ち、福岡大学医学部へ進学。卒業後は整形外科に入局し、さまざまな関連病院を回る中で、手術などの研鑽も積みました。数ある中からこの分野を選択したのは、小学校の時に誤ってカミソリで手を切ってしまい、びっくりして泣きじゃくる中、病院で処置してもらったことも少なからず影響していると思います。整形外科の先生に助けてもらったという想いが強く残っていますね。そして、座る、立つ、歩く、走るといった人間の動作に興味を持ったのも一つ。人間の基本動作には関節が重要であると考え、その中でも特に重要な膝関節の分野においてキャリアを重ねてまいりました。こちらにも、老若男女問わず、さまざまな痛みを抱えておられる方がおみえになります。ただ、同じ疾患であっても一人ひとり痛みの感じ方や症状の度合いは違うので、その方に寄り添った治療計画を立てていきます。
内科、整形外科、どちらも受診される方もいらっしゃるでしょうし、患者さんのご負担も軽減できますね。

【比嘉先生】内科と整形外科を一緒に診療しているクリニックは少ないため、患者さんにとってもメリットがあるのと同時に、私自身大きな可能性を感じています。というのが、整形外科領域であっても、内科領域の知識が必要なことってたくさんあるんです。それは内科もきっと同じだと思うので、それぞれ補い合うこともできますし、相乗効果も得られると考えます。お子さんから高齢者まで多くの方が頼って来られますので、その期待以上の医療をお返しできるよう取り組んでいます。
【由紀子院長】固定概念にとらわれずに、あらゆる可能性を模索しなければならないと思うんです。症状に適していると思うことは、可能性がある限り積極的に勉強し、西洋医学・東洋医学にとらわれず取り入れていきたいと思っています。
来院すると元気になれるようなクリニックをめざして
リハビリテーションも積極的に取り組まれていると伺いました。

【比嘉先生】患者さんそれぞれめざすゴールに適したリハビリテーションを実施しています。例えば、スポーツをされている方であれば試合復帰がゴールであり、高齢者の場合は自分で歩けるようになるというのがゴールの方もいらっしゃいます。そのような患者さんの目標をすくい上げ、理学療法士と連携しながら治療を進めていきます。
【由紀子院長】例えば内科では、ご高齢の患者さんの足取りが気になるときには、リハビリテーションをご提案することもあります。やはり、いくつになっても足腰を鍛えることは大事なのだと考えています。生活の質を向上させるため、転倒予防のためなど、リハビリテーションは痛みの改善を図るだけでなく、さまざまなアプローチが可能だと考えています。
まさに健康寿命延伸にもつながりますね。
【由紀子院長】ええ、リハビリテーションもそうですし、内科では食事のご相談にも応じていますよ。食生活の見直しも健康寿命に直結するものだと考え注力をしています。医者の不養生だったのかもしれませんが、医師である弟が誰でもなり得る病気で亡くなったことに、病気を甘く見てはいけないと改めて気づかされました。その経験も今後地域の皆さんの命をお守りする上で、生かしていかなければと強く感じています。
では、最後に読者へのメッセージをお願いします。

【由紀子院長】地域の皆さんから前に進む元気をたくさんいただいた分、これから恩返ししていかなくてはと思っています。めざすのは、来院すると元気になれるようなクリニック。顔を見ただけで元気になれたり、地元に帰ってくると元気をもらえたり、人や場所で元気になれることってありますよね。お子さん連れの方はキッズスペースもありますし、スタッフもよくぞ集まってくれたと思うくらいすてきな方ばかりなので、初めての方も安心していらしてください。
【比嘉先生】由紀子院長とタッグを組むことで地域医療の新たな可能性を感じています。ぜひご期待ください。