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森口 和哉 院長の独自取材記事

森口整形外科

(伊丹市/新伊丹駅)

最終更新日:2023/02/03

森口和哉院長 森口整形外科 main

新伊丹駅を下車し、静かな住宅街を西へ8分ほど歩くと通りの向こうに「森口整形外科」が見えてくる。1980年開業の同院は、2019年2月に現在地に移転リニューアルした。父から同院を継いだ、森口和哉院長の専門分野は上肢全体。兵庫医科大学病院での経験や、サッカーチームでのスポーツ医療の経験を生かした治療やリハビリテーションを提供しており、待合室はいつも患者でいっぱいだ。「患者さんの背景にも目を向けて、その人の人生に寄り添った診療をしたい」と話す森口先生。そのゆったりとした穏やかな雰囲気が周りの空気を和ませる森口先生に、診療にかける思いまでじっくりと聞いた。

(取材日2019年1月15日/情報更新日2022年12月23日)

専門は上肢。肩を良くすることは全身を良くすること

2019年2月に移転なさったそうですね。

森口和哉院長 森口整形外科1

はい。このクリニックは1980年、僕が生まれた年に父が開院したんです。実のところ、僕は小さい頃、医者になりたいとは思っていませんでした。父も母もそういったことを強要することはなかったのですが、きっかけは中学生の時に起きた阪神淡路大震災。西宮にあった実家が全壊し、多くの方が亡くなったりケガをしたりしました。日頃より人を助けるという父の仕事を見てきましたが、その時に自分も人を助ける仕事がしたいと、医者になろうと決めたんです。そして2017年に、父からクリニックを引き継ぎ、院長に就任しました。移転を決めたのは、もっと自分のできることを患者さんに提供したいという気持ちが強かったからです。僕はリハビリに注力したいと考えていますので、移転を機にリハビリのためのスペースをかなり広く取りました。エントランス横にはスポーツ復帰のために実際に動作確認やボールを蹴ったり、投球できるスペースもつくっています。

どのような患者さんが多いのですか?

午前中はご年配の方、夕方になるとお子さんや若い方が大勢来られます。ご年配の方は膝や腰の痛み、働き盛りの世代は首、肩、腰の痛み、お子さんは足や膝、かかとのケガが多いですね。ある程度年齢を重ねた女性の場合は、骨粗しょう症の可能性もあります。その他に、野球などのスポーツをされている方が肩や肘の故障で受診されるケースも。野球肩・野球肘については障害を未然に防ぐための調整指導も行っており、「不安や責任感から頑張る方向性を間違えないように」とお伝えしながら、患部以外の部位のトレーニングやストレッチなど今できることを具体的に示しています。この地域の方は皆さん医療に対する意識も高く勉強熱心で、こちらが説明をすれば最後まできちんと通院してくださるのでうれしく思います。

先生の専門分野について教えてください。

森口和哉院長 森口整形外科2

専門は上肢全体で、特に肩のリハビリに力を入れています。肩の不具合は、全身を良くしなければ治ることはないと考えています。例えば、膝や腰が痛くて姿勢も悪くなっているなら、まずは膝から治療しないと肩は良くならないでしょう。そのため肩の診療においても「局所の治療から全身のメンテナンスへつなげる」という方針を重視し、この方針のもと継続的にリハビリを拡充する予定です。また、理学療法士にも関連のある講習会などの場で勉強を続けてもらっています。肩のリハビリに習熟すれば、膝や腰のリハビリ技術も向上していくので、僕からもしっかりと指導しています。もともと僕が肩の治療に興味を持ったのは、時間がかかる分、達成感があるからでした。肩の手術の技術にも興味深いものがありました。兵庫医科大学病院や八尾徳洲会総合病院にいた頃には数多くの手術に携わり、現在も手術が必要な場合は、大学病院の先生方と連携して対応しています。

患者の背景にも目を向け、その人生に寄り添った診療を

診療時にはどのようなことを心がけていらっしゃいますか?

森口和哉院長 森口整形外科3

僕と患者さん、お互いが納得のいく治療を心がけています。例えば、患者さんが腰痛でクリニックに来たとします。単純な筋肉の痛みであれば、痛み止めの注射、そしてリハビリをします。それをどこまでするのかを患者さん自身に選んでもらいます。時間がないから薬をもらって家で自分で体操をします、とおっしゃる患者さんにはそうしてもらいます。治療は全部クリニックでやってほしいんです、という方にはそれにお応えします。治療のための選択肢を患者さんに提示して、選ぶのは患者さん自身。患者さんの考え方や生活スタイルなどの背景を探りつつ、相談しながら診療を進めます。僕はどちらかというとゆっくり喋るほうで、患者さんの話を掘り下げてお聞きするので、どうしても時間がかかってしまうんです。待ち時間が長くなってしまい申し訳ないのですが、ゆっくりわかりやすくお話をさせていただいています。

先生にとって、この仕事のやりがいとは?

やはり、患者さんに喜んでいただくことです。以前、どうしても早急に手術をしてほしいとおっしゃる患者さんがいました。事情を聞くと、亡くなられた奥さまと一緒に船旅の約束をしていたが、現状では痛みがひどくてその船に乗船できない、ということだったんです。出港まで日にちはありませんし、手術をしても痛みの残る状態で患部を固定することになります。そう説明しても、手術をしたいとおっしゃるわけです。奥さまとの約束を果たすことは、その方の人生の中でとても大切なこと。これはもう頑張るしかない!と思い、手術をしたんです。希望がかなったこの患者さんには、すごく感謝されました。患者さんの人生に寄り添った診療、そういうことを今後も大切にしていきたいと思っています。

ご高齢の方の診療にも力を入れているそうですね。

森口和哉院長 森口整形外科4

ご年配の患者さんを診る際は、問診に十分な時間をかけて既住歴や服薬歴を尋ね、お薬手帳などに記載するよう心がけています。もし、認知症の傾向があり問診での聴取が困難なら、ご家族や過去の主治医に服薬歴を確認しています。独居で服薬管理が難しい時も、同様に服薬歴を確認の上、ご親族の方には診察に同席して受け答えの様子を見ていただき、服薬補助の協力を依頼しています。こうした方針は、かつて初期研修の一環で北海道静内町、鹿児島県奄美市などの地方の病院に赴任し、医師が少ない環境下で高齢化が進んだ住民の健康を預からせていただいた経験も踏まえたものです。その時期に身につけた、どんな疾患や症状も診て、患者さんの状態を改善するために何ができるのかを考える姿勢は、自分の診療の礎になっています。

患者にもスタッフにも優しいクリニックをめざす

サッカーチームのチームドクターをしていらっしゃったんですね。

森口和哉院長 森口整形外科5

2012年から1年間チームドクターとして、その後の1年間はサポートドクターとしてチームに同行していました。サッカーによるケガの治療がメインの仕事ですが、選手のワクチン接種履歴の管理、他にもドーピングのチェック、サプリメントの良しあしの判断などもしていました。当時僕が同行していたチームはアジアに遠征することもありましたので、僕も選手たちと韓国やウズベキスタンへ遠征しました。その経験から得られたネットワークは今でも大切にしています。

忙しい毎日の気分転換は何ですか?

もともとスポーツが大好きで、以前はゴルフやテニス、サッカーをしていました。今は忙しくて全然できませんが。もう少し時間に余裕ができたら、またやりたいですね。今は子どもが小さいので、一緒に遊ぶことで体を動かしています。結構いい運動になるんですよ。それから食べることも好きなので、家族一緒に近場で楽しんでいます。おいしいものを食べて、子どもと遊ぶ。これが一番です(笑)。

最後に先生のめざすクリニック像を教えてください。

森口和哉院長 森口整形外科6

いつでも患者さんに寄り添うクリニックでありたいです。スポーツをしている方、人生の節目を迎えている方、当院に通ってくださるさまざまな方の背景を見て、一人ひとりの希望に沿った治療やリハビリを提供していきたいです。整形外科を根幹として、プライマリケアを求めるご年配の方や、スポーツ障害に悩む成長期のお子さんをはじめ、多様な患者さんのニーズに応える「地域に根差したかかりつけ医」としての自分を育てていきたいと思っています。また最近、働き方改革という言葉をよく耳にしますが、これはその通りだなと。皆がワークライフバランスをうまく取れる形をめざしたいです。患者さんにスタッフにも、仕事だけではなく自分自身の生活も大切にしてほしい。患者さん、スタッフ両方に優しいクリニックでありたいですし、日頃運動ができない忙しい方のために、自分の健康に目を向けてもらうための情報提供なども積極的に行うつもりです。

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