松本 卓也 院長の独自取材記事
まつもとクリニック
(神戸市垂水区/舞子駅)
最終更新日:2024/03/05
JR神戸線舞子駅から車で約5分、西岡橋のバス停からすぐ。明石方面からは朝霧駅から車で約15分程度の場所にある「まつもとクリニック」は、2020年7月より名称を変更し、新たな歴史をスタートさせた。院長の松本卓也先生は、総合病院で内科・循環器内科の医師として経験を積んだ後、同院を開業した。内科・循環器内科の外来診療と人工透析の2本柱の診療を提供し、生活習慣病の診療や病気を未然に防ぐための予防医学も大切にしている。人と話すことが好きで、診療の際も患者との対話を大事にしているという松本院長に、診療のポリシーや地域医療にかける思いを語ってもらった。
(取材日2024年1月18日)
内科診療から透析まで院長が対応
どのような患者さんが多く来られていますか?
以前は高齢の患者さんが中心でしたが、ホームページを開設したことなどもあり、最近は若い患者さんも増えました。高血圧・高コレステロール・糖尿病・心不全や狭心症などの患者さんが来院されていますが、風邪をひいた、体調がすぐれないなど、一般的な内科疾患でも気軽に受診していただいています。安心して通院いただけるよう、発熱がある方を診るための専用スペースを設けるほか、透析室はもちろん、院内全体に高性能の換気システムを導入しています。
診療の際に大切にしていることを教えてください。
気軽に質問していただけるように、話しやすい雰囲気を大切にしています。患者さんは、体調に何らかの不安を抱えて受診されるので、それらが取り除けるように診療を行っています。説明の際は、「どのような病気なのか、なぜ治療しなければならないのか、どのような検査がありそれで何がわかるのか、薬を飲むメリット・デメリット」という内容を、できるだけわかりやすい言葉でしっかり伝えています。患者さんに疾患や治療について理解していただき、納得できる医療を提供したい、不安なく安全に治療を継続していただきたいという思いがあるからです。
先進機器が充実していますね。
動脈硬化を評価するための頸動脈エコーや心臓超音波検査、不整脈を調べるホルター心電図、動脈硬化の状態をチェックできるABI検査などに対応しています。私が循環器内科を専門としていることから、循環器の病気を診察するために必要な機器をそろえています。もちろん、クリニックのレベルではできない検査もあるので、その際は基幹病院へ紹介させていただいています。また、電子カルテを導入しているので、待ち時間の短縮につながっていると思います。
診療から透析まで先生が担当されるのですね。
はい。透析が必要となった場合は、外来を担当してきた医師が引き続き治療を継続しております。透析治療を開始する際にでてくる不安や疑問に、担当医師が対応することは、それらを取り除くのにとても有効的だと考えられます。また、治療が始まると週3回通院することになるので、日々の変化を頻回にチェックし、小さな変化にも気づくことができます。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医の知識と経験を生かして、透析における血圧管理や心疾患の管理、糖尿病の管理はもちろん、不眠に関するお悩みやお通じの問題、皮膚のトラブルなどにも対応していますので、安心して治療をうけていただけるのではないでしょうか。
一人ひとりに合った予防対策を考える
予防医学に注力されていると聞きました。
健康診断で異常を指摘されていながら、長期間放置している方は少なくありません。健診結果は、患者さんにとって不安材料だと思うのですが、短期的には症状がなく困らないし、時間も費用もかかるしと受診に足が遠のく気持ちもよくわかります。しかし放置すると、将来的に脳梗塞・心筋梗塞・大動脈解離など深刻な病気につながるリスクが高くなり、場合によっては寝たきりになってしまう方もいます。ですのでそうした方が来院された時は、「よく頑張って来てくださいましたね」と、必ずお声がけするようにしています。もちろん、生活習慣の改善だけで様子をみれることもありますし、薬が必要な患者さまには将来健康にいられるようにしっかり内服調整させていただきます。
早期の治療開始が大切ということですか?
早期治療を行うことによって、寝たきりではなく元気に生活できる「健康寿命」を延ばすことにもつながります。日本人は、実際の寿命と健康寿命の差が平均で10年ほどあると報告されていて、その間、寝たきりなどの問題を抱えて過ごしておられる方が多いということですね。患者さんの中には治療を受ける中で「長生きはしたくない」とおっしゃる方もいますが、やはり寝たきりにはなりたくないですよね。薬に関しても、一度始まると一生飲まなければならないと思っている方がいますが、生活習慣の改善などで不要な状態になることもあります。病気や予防に対する正しい知識を伝え、患者さんの予防に対する意識を高めることは、地域のクリニックの大切な役割だと考えています。
生活改善の指導もしてもらえるのですね。
高血圧・抗コレステロール血症・糖尿病などの治療は、運動・食事療法が非常に重要です。それらをしっかり行っても、血圧やコレステロールなどがコントロールできない場合に内服治療を行います。なので、生活指導はできる限り全員に行うように心がけています。ただ、無理な運動をお勧めしても継続できないですし、膝や腰を損傷してしまう患者さんもいますので、それぞれに合った運動指導を行っています。例えば日常生活の中でエスカレーターは使わず階段を使用するなど、積極的に歩くことが非常に大切だと説明しており、歩いて通院しているという患者さんもおられます。運動をはじめて元気になられる方が増えることは、外来をしている医師として非常にうれしいことです。
誰もが受診しやすいクリニックをめざす
循環器疾患は、よくわからないというのが正直な印象です。
循環器疾患とは、高血圧・心不全・狭心症・不整脈などが挙げられます。循環器疾患の心配があるのは、やはり高齢の方が多いですが、若い方でも不整脈・心電図異常などで受診されます。また、高齢者の増加に伴い心不全を発症される方が急増しており、「心不全パンデミック」と表現されています。循環器の病気は、ある日突然発症して生命の危機に直結する疾患もありますが、早期に治療を開始することで状態悪化の予防が期待できます。動悸がする、胸が痛い、息が苦しい、足がむくむなど、気になる症状がある際に、気軽に症状を相談できることが地域のクリニックの良い点なので、ためらわずに受診してほしいですね。精密検査が必要であれば、多くの連携基幹病院の中から患者さんの希望を聞きつつ紹介しております。
禁煙治療にも対応しているそうですね。
タバコは狭心症や脳梗塞などの動脈硬化の病気・肺がんなどの悪性疾患・肺気腫などの呼吸器疾患などの重大なリスク要因となります。加えてニコチンは依存性も強く、やめられないのは意志が弱いのではなく、これが大きな要因です。当院では、ニコチン依存を和らげるようにパッチを使用して禁煙をサポートします。1人で禁煙に取り組むより、禁煙の外来で取り組むことで前向きに続けてもらえればと思っています。将来の病気のリスクを減らすのに禁煙は非常に大切ですが、成功するかどうかは、本人の「成功させる熱意」が一番大切だと思います。禁煙を頑張ろうという方は、全力でサポートしますのでお気軽に来院してください。
院内はとても明るい雰囲気ですね。
話し好きでコミュニケーション上手なスタッフが多く、患者さんと楽しそうに話したり、笑ったりしています。私の場合は、やはり診療時間の制限があるので、スタッフが患者さんといろいろな話をして、後から「こんなことをおっしゃっていました」「こんなご様子でしたよ」などと報告してもらえるのはとてもありがたいですね。現在、栄養指導などの生活習慣改善について、より充実したアドバイスができるようにスタッフの教育にも力を入れており、より患者さんに合った生活習慣改善の提案につなげていきたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
開業以来3年間、スタッフと力を合わせて一生懸命頑張ってまいりました。「気さくで話しやすい」と患者さんに言っていただけることが多く、この診察の雰囲気はこれからも大切にしていきたいと考えています。身体の不調・不安に寄り添い改善できるように精一杯頑張っていきたいと思います。まつもとクリニックが少しでも地域医療に貢献できるように、これからも研鑽してまいります。