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長田 温 院長の独自取材記事

長田眼科医院

(神戸市兵庫区/新開地駅)

最終更新日:2021/10/12

長田温院長 長田眼科医院 main

神戸高速鉄道新開地駅から徒歩1分の場所にある「長田眼科医院」。3代にわたり地域で献身的に医療奉仕をしてきた、地域密着の眼科医院だ。現在3代目を務める長田温(おさだ・あつし)院長は、多くの手術経験を積んできた先生。飾り気なくざっくばらんで、患者のどんな不安も優しく受け止めてくれるような包容力を持ち合わせる。休日や寝る時間を削ってでも、救急対応をすることもあるというその姿勢には頭が下がる。だからこそ、地域で長年信頼を得ているのだと、インタビューを進めるほどに深く納得するに至った。そんな長田院長に、先代の院長から受け継いだ姿勢や診療におけるモットーなどについて話を聞いてきた。

(取材日2019年8月5日)

親子3代にわたり、地域に深く根差した眼科医院

この地域で長く根差している医院だと伺いましたが、開業したのはいつですか?

長田温院長 長田眼科医院1

私の祖母が眼科の医院をここで開業したのが始まりですが、詳しい年月はわからないんです。祖母の後、父が1964年に継承しました。その父が2004年に亡くなりまして、その年の11月に私がここを引き継ぎました。もともと私は手術が専門領域だったので、継承するのを機に設備面など大幅にリニューアルしました。手術室を設けて手術機材や検査設備を充実させて、病床も整えて入院できる医院にしたんです。患者層は幅広いですよ。小さな子どもから上は101歳の方まで来られています。この医院は古くから地域に根づいているので、私が生まれる前から通ってくださっている方も多いです。私の祖母に診てもらっていたという患者さんもいらっしゃいますよ。親子3代でここをかかりつけ医にしてくださっている患者さんもいらっしゃいますね。

この医院を継承するまでの経緯を教えてください。

愛知医科大学の生理学第二教室で2年間研究をした後に、京都大学の眼科に入局しました。研修を経て関連病院で勤務医をし、新宮市立医療センターや静岡の市立島田市民病院、京都の武田総合病院で部長を務めた後に、父が亡くなったのを機にここを継承しました。当時私の人事というのは、医局長からではなく教授からトップダウンで下る形で、京大系の病院の中で手術件数が下がった病院があると「そこへ行ってくれ」と言われ、手術を立て直すという形で各病院に赴いていましたね。その時点では、ずっと勤務医として手術をやっていくつもりだったので、実は父が亡くなるまで開業医をするつもりはなかったんです。

どういった手術を経験してきたのですか? また、こちらでも手術は受けられるのでしょうか。

長田温院長 長田眼科医院2

角膜移植手術以外、すべてです。ここでも手術を行っています。院内には入院設備があるのですが、例えば白内障や網膜剥離などの手術に関しては、必ず入院しなくてはいけないというわけではなくて、患者さんの希望に合わせて日帰り手術もできますし、入院をすることもできます。患者さん次第です。入院生活は、基本的に患者さんのリズムに合わせています。入院というのは確かに経過観察というのもありますが、静養という意味もあります。だから患者さんが入院疲れしないように、血圧や体温測定は早朝じゃなくてもOK、食事の時間もすべて患者さんのリズムに合わせています。

患者の気持ちに寄り添い、いつでも急患に対応

休日や夜間などの急患に対応していると伺いました。

長田温院長 長田眼科医院3

自宅開業なので、私が家にいる限り夜中の2時まで、土日も含めて急患を受け入れています。本当は午前4時まで対応していたんですけど、さすがに疲労で心身がパンクして……(笑)。「医師は常に凡人魂で患者に寄り添わないといけない」、と考えています。例えば、目が真っ赤になったと電話がある。電話で聞くとある程度わかります、結膜下出血だなと。でも電話だけで実際に診ていないのに「それ大丈夫だから、明日来たらいいよ」って言ったとしたら、患者さんはそう言われても不安でしょう。こういった当たり前の患者さんの考え方を、医師が気づいて寄り添えるようにならないといけないと私は考えています。

先代の院長も救急に対応されていたのですか?

父も患者さんから電話があったら、夜中でも診ていたんですよ。その背中を、子どもの頃から見ていました。よく父が「温、いいか? 患者っていうのは目に何かあると目が潰れると思って怖くなるんだ。うちみたいな医者のところに、夜中に来てくれるのを、なんで断れるんだ」って、急患を診た後に私に言っていたんです。昔堅気の町医者でしたが、父が亡くなったときに、患者さんが1000人以上葬儀に来られました。それを見たときに、「父は手術をするような技術はなかったけど、診療の方向性というのは正しかったんだな」と思いました。父から学んだことですね。よく「長田先生は、患者さんに献身的ですね」って言われるんですが、私は患者さんが喜んでニコッと笑ってくれることに、一番の幸せを感じるんですよ。それを超える満足感は、私にはない。これは私の本音。本当にそう思っている。だから続けられるんです。

診療のおいての信条はなんですか?

長田温院長 長田眼科医院4

「医師は可能な限り、いつでも患者さんに付き合い、多くの相談に耳を傾け、自分のできる限りの人的ネットワークを使って、総合的な治療を可能にする努力を惜しまない」ということです。自分が倒れようが、患者さんさえ良ければいいんです。患者さんとの関わりの中で大切にしていることは、医師は「診察をさせていただく」立場にあるということ。決して「診てやっている」のではない。医師が偉いわけではありません。立場が違うだけで、患者さんの中には、人として立派で憧れる患者さんはいっぱいいらっしゃる。医師が非凡で崇高な人間だったら、普通の患者さんの気持ちや言っていることは、何もわからないですから。私はただの凡人です。だから患者さんとの距離も近いし、これからも患者さんがなんでも話しやすい医師でありたいと思っています。

眼科医師である前に、医師として患者の健康を守る

眼科領域以外でも、体に不調がある患者さんが多く相談に来られるそうですね。

長田温院長 長田眼科医院5

私は眼科の専門家で眼科を標榜していますが、眼科医師である前に医師ですから。体で気になることがあると、患者さんがよく相談に来られるんです。かかりつけ医のような感じで。「腕が痛くて痛くて、整形に行ってるけど治らない」という患者さんにいろいろ問診をして、専門の先生に紹介したら「肺がんの骨転移がみつかった」ということや、「腰が痛い」と訴える患者さんに、整形外科を紹介したら「多発性骨髄腫だった」ということもありました。待合室にも各科のお勧めの先生の一覧を掲示していますが、幅広いネットワークを持っているので、必要な場合は私が症状に合わせて専門の先生に紹介するようにしています。そのように、目だけではなく、患者さんの体全体の健康をサポートしたいと思っているんです。

日々お忙しい中、どのようにリフレッシュしているのですか?

リフレッシュは、患者さんが喜んでくれること。それがリフレッシュです。患者さんが喜んでくれたら、それでパワーを充電できるんです。ソーラー発電みたいなもんですね、だからいつも元気。患者さんに照らされて、パワーを充電しているので、休みなく走れるんですよ(笑)。 リフレッシュするための特別な何かは必要ないんです。

お話を聞いていて、長田先生は「患者さんの笑顔のため」という気持ちが非常に強いと感じました。

長田温院長 長田眼科医院6

新宮市立医療センターに勤めたときに、患者さんたちが私をかわいがってくれたんです。糖尿病の網膜症で重症の患者さんの硝子体手術をした後に、こんなことがありました。その人は海女さんだったんですけど、「先生においしいアワビ食べてもらおうと思って」って、バッグの中からびしょびしょのアワビを出してきたんです(笑)。その気持ちがうれしくてね。その後病院を辞めるときには、「長田先生、辞めないでくれ」って、6000人の署名が集まったんですよ。そのときに、どれだけ自分が患者さんに許されて、かわいがられて、幸せに生きてこられたかということを痛切に感じました。それでその6000人分の署名を全部コピーさせてくれと。それは私が死んだら一緒に棺桶に入れようと思っています。そんな経験が、今の私の礎になっているんだと思いますし、これからも患者さんに喜んでいただき、笑顔になっていただけるよう診療していきたいですね。

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