負担を抑えながら病気の早期発見・治療をめざす
胃内視鏡検査
マツイ医院
(摂津市/正雀駅)
最終更新日:2024/09/10
- 保険診療
胃だけでなく食道や十二指腸の病気の診断にも活用される胃内視鏡検査。さまざまな病気の発見に役立ち、中でも胃がんを見つけるための検査として広く知られている。初期の胃がんは自覚症状がほとんどなく、早期発見のためには胃内視鏡検査が重要だ。しかし、カメラ挿入時の痛みや苦痛に対する不安が拭えず、検査に踏みきれない人も少なくないだろう。消化器内科を専門として大規模病院で多くの内視鏡検査を手がけてきた「マツイ医院」の大林倫子副院長。「胃がんは早期発見できれば短期間の入院治療で済むことが多く、生活の質の維持も期待できます。40歳を過ぎたら一度検査を」と強く訴える。今回は大林副院長に、検査の流れや受診のタイミング、負担の少ない経鼻内視鏡を使った検査など、胃内視鏡検査について幅広く話を聞いた。
(取材日2024年8月28日)
目次
胃がんなどの早期発見に重要な胃内視鏡検査。負担の少ない経鼻内視鏡を導入するクリニックも増加
- Q胃内視鏡検査はどのような病気の発見に役立ちますか?
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A
胃内視鏡検査は胃だけでなく食道や十二指腸も見ることができ、胃がん・急性胃炎・十二指腸潰瘍・逆流性食道炎といった病気を見つけるために有用です。胃がんも食道がんも初期には自覚症状がほとんどありません。胃がんでは痛みや食欲不振などの症状が、食道がんでは喉の違和感や胸のつかえなどの症状が現れた時には、すでに病気が進行している場合もあります。少しでも気になる症状があれば早めに検査を受けるようお勧めします。また、症状がなくても40歳を過ぎたら一度検査を受けてみると良いでしょう。胃内視鏡検査ではピロリ菌の影響でがんになりそうな状態かどうかも予測します。ピロリ菌感染が疑われる方にはピロリ菌検査を提案します。
- Q胃内視鏡検査にはつらいイメージがあります。
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A
最近は、口ではなく鼻からカメラを通す経鼻内視鏡を使うクリニックが増えてきました。当院でも経鼻内視鏡を使った検査を行っています。個人差はあるものの、検査前に鼻に局所麻酔をするため挿入時の痛みを抑えることにつなげられますし、スコープが通るのは鼻の奥なので、経口内視鏡に比べて嘔吐反射も少ないでしょう。鎮静剤を使わないため検査後の待機時間が不要で、結果をすぐに聞けるのもメリットです。また、以前の経鼻内視鏡は経口内視鏡よりも画像の質が劣るといわれていましたが、今は技術革新により遜色ない画像を得られます。しかしそれでも不安な方には、鎮静剤を使った検査を受けられる医療機関を受診するようお勧めします。
- Q検査にかかる時間や費用について教えてください。
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A
内視鏡を挿入している時間は10分程度で、前準備と合わせても検査全体の所要時間は30分ほど。通常の内科診療とさほど変わらない時間で受けられます。当日は、クリニックに来院されてから胃の泡を消しやすくするためのお薬、粘膜をきれいにするためのお薬を飲んでいただきます。経鼻内視鏡を使う場合は鼻の中にゼリー状の麻酔薬を塗り、カメラの管が入るかどうかを確認後に検査を行います。検査終了後は、胃の中の画像を患者さんに見ていただきながら結果の説明をします。検査時に鎮静剤を使わないため、当日の車の運転やお仕事に影響を及ぼすことはほぼありません。なお、検査費用は患者さんそれぞれの検査内容や使う薬剤によって異なります。
- Q特にどういう人が検査を受けるべきでしょうか。
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A
40歳を過ぎたら、がんなどの病気の早期発見のため胃内視鏡検査を受けるようお勧めします。中でもがんに罹患したご家族がいる場合、また飲酒や喫煙の習慣がある方などは一度受けておいたほうが良いでしょう。さらに、アルコールで顔が赤くなりやすい体質の方はもともとアルコール分解酵素の働きが弱いため、注意が必要です。そのほか、糖尿病の方もさまざまながんのリスクがそうでない方よりも高いとされているため、定期的な検査が望ましいといえます。また、ピロリ菌は胃がんの大きな原因の一つです。若いうちにピロリ菌の除去を図ることが胃がんのリスク低減にもつながります。ピロリ菌感染の有無を調べるためにも胃内視鏡検査は重要です。
- Qこちらで受けられる胃内視鏡検査の特徴を教えてください。
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A
当院では経鼻内視鏡を使った検査を実施しています。経鼻内視鏡は経口内視鏡よりも喉への負担が少ないのが特徴です。それでも患者さんの多くは不安を感じられるでしょう。当院では声をかけたり背中をさすったりするなど、落ち着いて検査を受けていただけるよう努めています。また、当院には2世代、3世代で通われている方が多いため、家族歴もある程度把握可能です。そのメリットを生かし、患者さんご本人の持病だけでなくご家族のがんの経歴なども参考にして、将来がんになる可能性が高いと考えられる患者さんには無症状の段階から検査を提案していきたいと考えています。胃がんだけでなくさまざまな病気の早期発見に役立てています。