大林 きよ子 院長、大林 倫子 副院長の独自取材記事
マツイ医院
(摂津市/正雀駅)
最終更新日:2026/06/22
正雀駅から住宅街を歩くこと約10分。住宅街の一角に、ピンク色の梅のマークが目印の「マツイ医院」がある。開院から70年近く、3世代の女性医師が育んできた地域密着型の医院だ。2代目院長の大林きよ子先生は、笑顔を絶やさず穏やかに患者と向き合う医師。長年の診療で培った豊富な知識と経験で、幅広い世代の健康を支え続けている。一方、2018年に副院長に就任した娘の大林倫子(ともこ)先生は、胃内視鏡を使った診療が専門。総合病院での診療経験も長く、明るく快活な口調が印象的だ。親子二人三脚で診療に取り組む2人に、大事にしている診療理念や今後の展望について聞いた。
(取材日2026年2月17日)
患者の立場で考え、親身になって対応する
とても歴史のある医院ですね。御院の歴史と先生方のご経歴を教えてください。

【きよ子院長】当院は1957年に、私の母である松井梅子が開業しました。地域に密着し、患者さんやその家族とのつながりを大切に診療し続けてきました。私は高槻病院などで勤務した後、当院での診療を開始しました。2001年に当院を継承し、院長に就任しました。
【倫子副院長】私は大阪医科薬科大学卒業後、大阪公立大学医学部附属病院消化器内科入局を経て大阪府内の病院やベトナムでのボランティア留学を経験した後、2017年より当院に勤務し、翌年に副院長に就任しました。
開院から70周年を迎えるにあたり、今の思いをお聞かせください。
【きよ子院長】初代院長である母が昨年秋に他界しました。もともと「梅子先生はお元気ですか?」と、聞かれることもあったため他界したことをお伝えしたところ、泣き出される方もおられました。私たちは日々の診療で「患者さんの立場で考え、親身に対応する」ことを大事にしていますが、それは、母から受け継いだ姿勢です。その姿勢を引き継ぎ、今後も大事にしていかないといけないと改めて思いましたね。
【倫子副院長】祖母は時間を問わず患者さんのご自宅にかけつけるなど、本当に「患者さんのために」という思いだけで動いていたように思います。もちろん今の時代では、働き方の問題など制度や体制の問題などから難しいところもありますが、迷った時には「祖母だったらどうしているかな?」と、考えるようになりました。
現在の診療体制について教えてください。

【きよ子院長】平日は循環器内科が専門の私と消化器内科が専門の副院長、土曜日は大阪医科薬科大学の循環器内科の医師が加わり、内科系の病気を幅広く総合的に診療をしています。また、週3回は皮膚科の外来を設けて診察も行っています。この地域には皮膚科医院が少なく、ご高齢になると皮膚のトラブルも増えるので、相談しながら診療を進められるのは心強いですね。
【倫子副院長】内科は二診体制ですので、比較的少ない待ち時間で受診していただけます。患者さんの症状やご希望により担当を決めています。また、当院ですべてを完結するのではなく、町のクリニックとして「地域における医療の窓口」であることが重要だと思っています。どのような病気もまずは診察して、必要だと判断したら専門科への紹介を行っています。
生活習慣病の治療や胃内視鏡検査に注力
患者さんの主訴はどのようなものが多いですか?

【きよ子院長】糖尿病や高脂血症、高血圧症といった生活習慣病ですね。高齢化とともに心不全や不整脈、腎機能障害といった疾患も増えてきているように感じます。また、若い方は生活習慣病や腎機能障害、高尿酸血症等を健康診断で指摘されても、自覚症状がほとんどないため、そのまま放置している人が多いです。しかし、生活習慣病を放置すると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中など重大な病気につながりかねません。そこで当院では、生活習慣病の検査や、治療にも力を入れています。
管理栄養士による栄養指導も行っているそうですね。
【倫子副院長】はい。薬を処方するだけでなく、管理栄養士による指導を行っています。食生活のアドバイスを行い、治療を継続する助けになるように取り組んでいきたいと思います。ただ栄養指導の難しい点は、心理的背景やストレス、ライフスタイル、家庭環境、生活環境などが影響しているところです。例えば、一人暮らしで料理がなかなかできない場合でしたら、惣菜の選び方などをアドバイスすることが可能です。しかし、もっと踏み込むとご家族の介護問題やお仕事の関係でどうしても昼夜逆転の生活をされている方もいらっしゃるため、改善のためのアドバイスはできますが、理想ばかりかかげていても難しいなと感じることも多いです。お悩みをお聞きすることはできますが、私にはどのようなことができるか悩んでしまうことも多いですね。
クリニックにはさまざまな検査機器が充実していますね。

【倫子副院長】胃がんや食道がんなどの発見に有用な内視鏡、消化器や心臓などの異常の判断ができる超音波診断装置、血液検査をして迅速・精密な診断をめざす血球計数CRP測定装置、血管の老化状態を確認できる血圧脈波計などの検査機器をそろえ、がんや動脈硬化、骨粗しょう症などの検査が、気軽に受けられるようにしています。特に、胃内視鏡検査に関しては患者さんに負担が少ない細径の経鼻内視鏡で検査を行っています。病気が見つかれば進行させないために治療や生活指導を行うとともに、高度な治療が必要な場合は、適切な病院に責任を持ってご紹介しています。
胃内視鏡検査についての思いをお聞かせください。
【倫子副院長】総合病院では「もっと早期に検査をして病気が見つかっていれば、治療に早く取りかかれたのに」と強く感じてきました。だからこそ、患者さんが通い慣れた診療所やクリニックで、気軽に内視鏡検査を受けられる環境が必要だと思ったのです。当院では、患者さんの持病やご家族のがんの経歴なども参考にして、がんになる可能性が高い患者さんに無症状の段階から検査をお勧めすることができます。がんなどの病変は、早く見つけられれば1週間程度の入院期間で治療を行えます。逆に発見が遅れると、入院期間も長くなりがちです。検査には多少大変な面もありますが、早く見つけられれば完治もめざすことができるので、積極的にご案内していきたいですね。
地域の人々が気軽に相談できる、頼れるクリニックに
総合病院との連携も大事にしているそうですね。

【きよ子院長】多くの総合病院と顔の見える連携関係があり、必要に応じて適切な紹介を行っています。開放型登録病院については、紹介した患者さんが入院すると私たちもベッドサイドに伺います。主治医と話をして詳しい状況を確認し、退院後のフォローにつなげることができますし、患者さんも安心できると思います。
【倫子副院長】総合病院で勤務していた経験を生かして、適切なタイミングで紹介をしたいと考えています。総合病院でなければ受けられない治療は機を逃さず、逆に遠方へ通院する苦労を考えれば、当院でできる治療はしっかりとご提供したいですね。患者さんにとって何が適切なのかを判断して、紹介につなげたいと考えています。
オンライン診療にも対応しているとお聞きました。
【倫子副院長】はい、病状は安定しているけれども、継続した診療が必要な方を対象にオンライン診療も行っています。日中の隙間時間を利用して受診できますよ。例えば、60日間処方して、その間お顔を見たり、お話をできないより、1回オンライン診療を挟んで少しお話を聞くだけでも症状の変化を把握することができます。アプリをダウンロードする必要があるので抵抗のある方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ活用していただけたらと思います。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【倫子副院長】働き盛りの世代こそ、お仕事や子どものこと、ご両親の介護に追われる中で、自分のことを後回しにしがちです。自分を大切にするために健康診断を受けていただきたいですし、少しでも健康に不安や違和感があれば、当院ではなく他のクリニックでもいいので受診してほしいなと思います。
【きよ子院長】対面でもオンラインでも大切なのは医療機関の縁を切らないことです。かかりつけ医を持ち、頻繁に通院している人のほうが、病気を早期に見つけることができますし、逆に長く健康で、健康診断も受けたことがないという人のほうが、気づいたときには病気が進行しているケースも少なくありません。健康のことでわからないことがあったら一緒に考えていきたいと思いますので、遠慮なくご相談ください。

