大林 きよ子 院長、大林 倫子 副院長の独自取材記事
マツイ医院
(摂津市/正雀駅)
最終更新日:2024/05/22
正雀駅から住宅街を南西へ徒歩約10分、ピンクの梅のマークが目印の「マツイ医院」はある。開院から70年近く、3世代の女性医師が育んできた地域密着型の医院だ。2代目院長の大林きよ子先生は、笑顔を絶やさず穏やかに患者と向き合う医師。長年の診療で培った患者や家族への豊富な知識と経験で、幅広い世代の健康を支え続けている。一方、2018年に副院長に就任した娘の大林倫子(ともこ)先生は、胃内視鏡を使った診療が専門。総合病院での診療経験も長く、明るく快活な口調が印象的だ。親子二人三脚で診療に取り組む2人に、大事にしている診療理念やこれからの展望について聞いた。
(取材日2019年3月19日)
患者の立場で、親身になって対応する
とても歴史のある医院ですね。医院の歴史と先生方のご経歴を教えてください。
【きよ子院長】当院は1957年に、私の母である松井梅子が開業。地域に密着し、患者さんやその家族とのつながりを大切に診療し続けてきました。私は高槻病院などで勤務した後、マツイ医院で内科全般の診療を開始。2001年に継承し、院長に就任しました。
【倫子副院長】私は大阪医科大学卒業後、大阪市立大学医学部附属病院消化器内科入局を経て大阪府内の病院やベトナムでのボランティア留学を経験したのち、2017年よりマツイ医院に勤務しています。2018年に副院長に就任しました。
院内は新しく、清潔感とぬくもりが調和した雰囲気です。
【きよ子院長】開業当初は、今の医院がある場所からもう少し駅に近い場所で診療していたのですが、道路予定地となり立ち退かなくてはならなくなったため、平成になって現在の場所に移転。その後2019年春にリニューアルしました。新築した医院の内部は、白の清潔さと木のぬくもりが調和した落ち着いた雰囲気に。ゆったりとした間取りで、車いすやストレッチャーでも余裕を持って動くことができます。
【倫子副院長】新しく内視鏡検査室や感染症専用室、車いす用トイレも設けており、安全に心地良く過ごしていただけるようになったと思います。また、スマホやパソコンから診療予約できるシステムも導入しました。患者さまの駐車場、駐輪場も備えているので、より便利に通院していただけます。
現在の診療体制について教えてください。
【きよ子院長】内科は、私と副院長に、この春から新たに循環器内科の医師が加わり3人で担当しています。また皮膚科の診察も行っています。この地域には皮膚科医院が少なく、お困りの方も多かったので、現在は診察を週3回に増やし専門の先生に来てもらっています。ご高齢になると皮膚のトラブルも増えるので、相談しながら診療を進められるのは心強いですね。
【倫子副院長】内科診療では、母は循環器内科と東洋医学、私は消化器系が専門ですので、患者さんの症状やご希望に応じて担当を決めます。患者さんの幅広いニーズに応えたいと思っています。女性医師に診てほしい、などのご希望があれば受付で気軽にご相談ください。
診療方針についてお聞かせください。
【きよ子院長】開業当初から現在まで、地域に根差した医療を掲げてきました。日々の診療では「患者さんの立場で考え、親身に対応する」ことを大事にしています。それは、私の母から受け継がれた姿勢でもありますね。母は、例えば、急変時には時間を問わず患者さんのご自宅にかけつけられるようにするなど、地域の皆さんのために尽力していました。今でも医師として尊敬できる先輩です。うれしいことに、母の代から長年にわたり2世代や3世代で受診してくださる方も増えています。患者さんの家族歴を知っているので、例えば、がんや心筋梗塞、骨粗しょう症にかかったご家族がいる場合は、早期から検査や予防をお勧めするなど、リスク回避につなげられます。患者さんやご家族との密な関係は、患者さんや当院の大きな財産ですね。
生活習慣病の治療や胃内視鏡検査に注力
患者さんの主訴はどのようなものが多いでしょうか?
【きよ子院長】進む高齢化とともに増えていると実感しているのが、糖尿病や高脂血症、高血圧症といった生活習慣病ですね。健康診断で指摘されても、こういった病気は自覚症状がほとんどないため、そのまま放置している人が多いのです。しかし、生活習慣病を放置すると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中など重大な病気につながりかねません。そこで当院では、生活習慣病の検査や、治療にも力を入れています。薬を処方するだけでなく、新たに管理栄養士による指導をスタートしました。食生活のアドバイスを行い、患者とともに治療を継続する助けになるように取り組んでいきたいと思います。
クリニックにはさまざまな検査機器が充実していますね。
【倫子副院長】胃がんや食道がんなどの発見に有用な内視鏡、消化器や心臓などの異常の判断ができる超音波診断装置、血液検査をして迅速・精密な診断をめざす血球計数CRP測定装置、血管の老化状態を確認できる血圧脈波計などの検査機器をそろえ、がんや動脈硬化、骨粗しょう症などの検査が、気軽に受けられるようにしています。特に、胃内視鏡検査に関しては患者に負担が少ない細径の経鼻内視鏡で検査を行っています。病気が見つかれば進行しないように治療や生活指導を行うとともに、高度な治療が必要な場合は、適切な病院に責任を持ってご紹介しています。
胃内視鏡検査についての思いをお聞かせください。
【倫子副院長】総合病院では「もっと早期に検査をして病気が見つかっていれば、治療に早く取りかかれたのに」と強く感じてきました。だからこそ、患者さんが通いなれた診療所やクリニックで、気軽に内視鏡検査を受けられる環境が必要だと思ったのです。当院では、患者さんの持病やご家族のがんの経歴なども参考にして、がんになる可能性が高い患者さんに無症状の段階から検査をお勧めすることができます。がんなどの病変は、早く見つけられれば1週間程度の入院期間で治療を行えます。逆に発見が遅れると、入院期間も長くなりがちです。検査には多少大変な面もありますが、早く見つけられれば完治もめざすことができるので、積極的にご案内していきたいですね。
いつでも頼れるクリニックとして、進化し続けたい
漢方の処方にも取り組まれていますね。
【きよ子院長】私自身が20代の頃に膀胱炎を繰り返し、母から漢方を勧められ、身をもって知りました。西洋医学のみの診療は、副作用などの面で患者さんの負担が大きいことがありますが、漢方は比較的副作用が大きくなく、体質が合えば1種類から変化が期待でき、薬の量が減らすことも望めるなど、東洋医学と西洋医学の併用はメリットが多いと考えています。例えば、慢性的な咳やめまい、副鼻腔炎、また更年期障害、認知症での睡眠障害や興奮状態でもお勧めできます。
総合病院との連携も大事にしているそうですね。
【きよ子院長】多くの総合病院と顔の見える連携関係があり、必要に応じて適切な紹介を行います。開放型登録病院については、紹介した患者さんが入院すると私たちもベッドサイドに伺います。主治医と話をして詳しい状況を確認し、退院後のフォローにつなげることができますし、患者さんも安心できると思います。
【倫子副院長】総合病院で勤務していた経験を生かして、適切なタイミングで紹介をしたいと考えています。総合病院でなければ受けられない治療は機を逃さず、逆に遠方へ通院する苦労を考えれば、当院でできる治療はしっかりとご提供したいですね。患者さんにとって何が適切なのかを判断して、紹介につなげたいと考えています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
【倫子副院長】今後は新たに医療機器を導入し、患者さんのお悩みに対応できるよう現在準備を進めています。また病状は安定しているけれども、継続した診療が必要な方を対象にオンライン診療も行っています。時代の変化とともに患者さんのニーズに応えられる診療を今後も続けていきたいですね。
【きよ子院長】対面でもオンラインでも大切なのは医療機関の縁を切らないこと。かかりつけ医を持ち、頻繁に通院している人のほうが、病気を早期に見つけることができますし、逆に長く健康で、健康診断も受けたことがないという人のほうが、気づいたときには進行が進んでいるケースも少なくありません。何もないことを確かめるためにも年に1回でも健診を受けたり、どのような小さなお悩みでも相談をしていただけたらうれしいですね。