局所麻酔で神経伝達を遮断
痛みにアプローチする神経ブロック
ももたろう痛みのクリニック
(茨木市/茨木市駅)
最終更新日:2022/01/18


- 保険診療
痛みを取り除くために局所麻酔を注入する処置は、トリガーポイント注射や局所注射など以外に「神経ブロック」という方法がある。麻酔薬が神経に作用し、痛みが伝わる経路を遮断することで、血流不良や筋肉のこわばり、痛みの緩和が期待できるというものだ。しかし、その概要や対象となる疾患など、詳しい治療内容を知らないという人も多いという。「ももたろう痛みのクリニック」では、さまざまな神経ブロックをはじめ、エックス線装置や超音波診断装置を用いた神経根ブロック注射など、専門的な治療を提供。痛みを取り除いて快適な生活を送れるよう、痛みに悩むすべての患者に親身になって寄り添っている。日本ペインクリニック学会のペインクリニック専門医である高原寛院長に、治療の概要について詳しい話を聞いた。
(取材日2021年3月12日)
目次
つらい痛みと向き合い、専門性にこだわった治療を提供
- Q神経ブロックについて教えてください。
-
A
▲疾患によってさまざまな療法が適用される
体に強い痛みがあると、交感神経が緊張している状態が続いて血流が悪くなり、組織に必要な酸素が十分に供給されなくなってしまいます。「神経ブロック」とは、そうした慢性化した痛みに対して局所麻酔を注射し、痛みの抑制を図る処置のことで、痛みの抑制によって、血流や筋肉のこわばりの緩和も期待できます。上胸部・頭頸部や上肢の強い痛みに対して行う星状神経節ブロックや腕神経叢ブロック、脊髄を包む硬い膜の外側に針を刺す硬膜外ブロックなど、神経ブロックにはいくつか種類があり、疾患や症状によって適用となる種類は異なります。
- Qどのような症状があると治療の対象になりますか?
-
A
▲それぞれの原因や種類を見極め、治療を提案
神経ブロックは帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった脊椎疾患、術後や外傷後の難治性疼痛など、慢性から急性の痛みに対して有用です。ただし、神経ブロックはあくまで一つの手段であり、選択肢はほかにもたくさんあります。例えばぎっくり腰や寝違えなどの強い痛みでペインクリニックを受診される患者さんは多いですが、このような症状は、超音波ガイドを用いたトリガーポイント注射で、患部をピンポイントに治療できますので、神経ブロックを行うことはほとんどありません。必ずしも神経ブロックをお勧めするわけではなく、患者さんの希望も尊重した上で方針を決定し、ご自身に合った治療を選んでいただきます。
- Q神経ブロックを行うと、痛みは消えますか?
-
A
▲単発的ではなく継続的な治療で、痛みや症状の再発を防ぐ
発症早期の場合は強い痛みがなくなる可能性が高いと思います。しかし本来神経ブロックは痛みの一時的な軽減を図る方法なので、複数回の処置が必要となることが多く、患部に「日曜日」を設けてあげるような感覚で治療に臨んでいただければと思います。また、内服薬を併せて使うことが多く、医師の指示を守っていただくことが大切です。処置時は注射針を刺す痛みはありますが、数分間我慢することで長く苦しんでいた痛みからの解放が見込めるので、治療法として選択するメリットは大きいと思います。
- Q副作用が起こる心配はありますか?
-
A
▲一人ひとりの患者の状態に合わせて対応
患者さんの体質などによっては、注射後にアレルギー反応が出たり気分不良になったりする例もありますが、そのほとんどが迷走神経反射によるものです。ほかにも、循環器疾患をお持ちで、抗凝固剤を使った治療をされている方には、合併症のリスクがあるため注射を行えない場合もあるのですが、患者さんの状態に応じて相談し、臨機応変に対応するようにしています。また、神経ブロックは自律神経に影響があるため、処置後は40分間の安静時間を設けています。当日はなるべく車の運転を避けて、徒歩で通院していただければと思います。
- Q神経根ブロック療法についてお聞かせください。
-
A
▲安全性にもこだわり施術を行う
神経ブロックにはさまざまな種類があり、神経の根元に直接局所麻酔を注入する「神経根ブロック」もその一つです。これは、帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛による神経痛や腰部脊柱管狭窄症・頸部脊柱管狭窄症の激しい痛み、頸椎・胸椎・椎間板ヘルニアから起こる神経根炎の治療に役立ち、長引く痛みの改善が望めます。神経根ブロックに限らず、神経ブロックは体の深部に注射するため、エックス線装置や超音波診断装置を使って針の位置を確認し、神経や血管・組織などを傷つけないよう安全に配慮しながら注射を行います。長年の強い痛みに悩んでいる患者さんは、神経根ブロック療法もぜひ一度ご検討ください。