下谷 麻里子 院長の独自取材記事
下谷内科
(高槻市/富田駅)
最終更新日:2026/04/07
阪急京都本線・高槻市駅から市営バスで約20分、富田団地中央バス停から徒歩約5分の静かな住宅地の一画に「下谷内科」がある。2代続く地域に根差した内科・肛門科の医院で、女性医師の下谷麻里子先生が院長を務める。スタッフも全員女性で、患者の不安や緊張を和らげながら、痛みの少ない治療を実践するよう努めている。患者との「一期一会」を大切にしており、診療の際は患者一人ひとりときちんと向き合い、症状を診るだけでなく、患者の様子や会話を通してその人を深く知り、的確な診断につなげるのが診療スタイルだ。そんな下谷院長に診療におけるこだわりや、クリニックの特徴について話を聞いた。
(取材日2017年12月1日/情報更新日2026年3月23日)
互いに打ち解けて、しっかり話をすることが大切
医師として大切にされていることを教えてください。

古典的だとは思うのですが、医療は「手当て」だと思っています。パソコンの画面に向かっていると患者さんの顔が見えないので、患者さんとの距離をできるだけ詰めて面と向かって接します。脈を取る際などに触れたり、「最近はどう?」と声をかけたりするのも大事ですね。長く通っておられる患者さんなら、顔色で調子が悪そうと気づくこともあります。診療の際に主訴の症状だけに気を取られていると、他の大事なことを見逃してしまうこともあるので、その人の背景まで含めて、掘り下げて聞くことを心がけています。カルテには患者さんのお子さんのことや趣味、ペットなどの情報を書き込んでいます。話のきっかけがつかめるし、思わぬところで診断のヒントが見つかることもあるんですよ。
医師を志したのはお父さまの影響ですか?
父はこの場所で内科・小児科を開業していました。子どもの頃から、父が患者さんに優しく接する姿をよく見てきたことは、医師を志す上で大きかったと思います。大学卒業後は消化器内科の勤務医をしていましたが、父が体を壊して手伝うようになりました。その後、病気が進行して、医院をどうするかとなった時には、すでに多くの患者さんを診ており、その方々を今後もケアしたいという思いもあったので継ぐことにしました。開業医には勤務医とは違う大変さがあると父から聞いていたのですが、検診など総合医療の経験も積むようにしていたので、まずはやってみようという気持ちで始めました。
現在は内科と肛門科を診療科目とされていますね。
父の手伝いを始めた翌年に長女を出産して、以前から少し気になっていた痔が一気に悪化してしまいました。そこで、父に肛門科のクリニックを紹介してもらって手術を受けたんです。その時、「きっと私のように困っている人がたくさんいるはずなのに、女性の医師はほとんどいない」と気づきました。それから2年間、肛門科専門の病院で経験を積みました。手術も一通り経験し、その病院の医師に「合格」と認めていただいた上で診療科に加えたんです。
肛門科の医師としてのスタンスを教えてください。

日帰りで対応できる範囲の手術は行っていますが、私はもともと内科の医師です。肛門科の医師としての私の役割は、正確な診断をつけること、手術をしなくても良くなる痔は薬や生活習慣の改善などによりしっかり治すことだと思っています。診断が不確実だと治らないし、不必要な手術や、大腸がんなど悪性の病気の見逃しが起こるおそれもありますからね。自分で対応できない手術などについては、1人で抱え込まず信頼できる病院やクリニックに迅速につなげるようにしています。
患者の利便性を考え、さまざまなシステムを導入
どのような患者さんが多いですか?

赤ちゃんから高齢の方まで幅広く来院されます。赤ちゃんは生後4〜5ヵ月で離乳食が始まると便秘になることが多く、おむつに血がついているといった訴えが大半です。高齢の方は痔で受診される方のほか、加齢とともに肛門の機能的な問題を抱えておられる方が増えてきます。父の時代から30年を超えるお付き合いの患者さんもいます。生活習慣病を中心に症状はさまざまですが、入院を要するような状態にならないよう健康管理を継続しています。
予約システムを取れ入れられたんですね。
当院では、患者さん一人ひとりとしっかり向き合い、お話を伺いながら診療を進めたいと考えています。その分、お待たせしてしまうことがあり、心苦しく感じていたんです。そこで、少しでも患者さんの負担を減らせたらという思いから、ネット予約を取り入れました。朝から並んで来てくださる方も大切にしたいと考え、予約は10時半以降からとし、順番に診療しています。インターネットが苦手な方も、これまでどおり安心して来ていただけたらと思います。なお、順番はスマートフォンで確認できるので、受付後いったん外出し、近くのお店に出かけられる方もいらっしゃいます。待ち時間を少しでも負担なく過ごしていただけるよう、院内ではフリーWi‑Fiもご利用いただけます。また、さまざまな電子決済を使用できますし、近隣の駐車場とも連携しています。患者さんがストレスなく受診できるよう、これからも工夫を続けていきたいと思っています。
オンライン診療もされていると伺いました。

当院は、幅広い地域から来られる患者さんが多いんです。近畿2府4県、さらにそれより遠い所から受診される方もいます。そういった方や、多忙でなかなか通えない方のためにオンライン診療をしています。直接の治療が必要でない場合や、都合がつかずに次の診療まで間が空いてしまうといった場合に利用されることが多いですね。隙間時間に診察を受けられますし、処方箋はファックスでお送りするので薬は家の近くで受け取ることができます。オンライン診療のもう一つのメリットは、いつでも医師とつながっていられるという安心感を持ってもらえることです。中には、遠方に引っ越されて、新しいクリニックを探すより信頼できる医師に診てもらいたいと考える人もいらっしゃいます。
一期一会の精神で、人との出会いを大切に
診察スタイルに特徴があると伺いました。

医師と患者さんが机に向かって横並びに座るクリニックが多いと思いますが、当院では横向きではなく、机を挟んで向かい合って診療するスタイルを取っています。これは、患者さんの顔を見てしっかり診察するためです。それによって、患者さんとのコミュニケーションも取りやすく、お悩みや気になっていることなどを伝えてもらいやすくなるんです。また、当院は漢方も積極的に取り入れています。例えば、風邪をひいて高熱がある場合、西洋薬は熱を下げて楽にしようとします。一方、漢方では発熱は自然治癒の作用と考えるんです。
先生をはじめスタッフ全員が女性だそうですね。
私自身がやりやすいし、また受診のハードルを低くすることにつながると考えて、スタッフは全員女性の方を採用しました。私自身が出産後に痔で悩んだ経験もあり、同じ立場の方が「相談しづらい」「恥ずかしい」と感じて受診をためらうことがないよう、安心してお話しいただける環境づくりを大切にしています。スタッフは、私が何も言わなくても自分たちでするべきことを見つけて対応してくれる人ばかりで、本当に頼りになります。風通しも良く情報共有もできているので、みんなが患者さんのことをよく知っています。2週間に1度くらいランチ女子会を開いて、おしゃべりする時間も大切にしています(笑)。おかげさまで、私が院長になってから誰も辞めていませんし、父の時代から勤めてくれている人もいます。
座右の銘を教えてください。
一期一会という言葉があります。何らかの接点を持つ人と出会う確率は24万分の1、親しく会話をする人との出会いは2400万分の1、友人と呼べる人との出会いは2億4000万分の1なのだそうです。そう考えると、診療で接する患者さん、一緒に働くスタッフとは、すごい確率で巡り合っていることになるので、診療の時はその患者さんのことだけをしっかり考え、スタッフとの縁には日々感謝しています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

肛門科というと、恥ずかしい、痛いと考えて受診がおっくうになりがちです。しかし、痔は生活習慣も関わってくるので、市販薬でセルフケアするだけではなかなか良くならないことが少なくありません。また、悩んでいるよりも、治療ができるものは早く治療したほうが楽だと思います。当院では、スタッフ全員が患者さんの緊張を和らげるように努め、診療の際も恥ずかしくないよう、痛みのないように配慮しています。安心してご相談ください。

