自然に近い形での妊娠をめざす
患者の負担を減らした不妊治療
いしかわクリニック
(堺市堺区/堺東駅)
最終更新日:2023/02/21
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「不妊治療」という言葉はよく耳にしても、そもそもどのような状態であれば治療が必要なのだろうか。経験者から聞こえてくる「通院が大変」「体への負担が大きい」だけで、マイナスイメージを持ったまま、婦人科受診への一歩を踏み出せない人もいるようだ。しかし2022年4月には、公的医療保険の適用範囲が拡大。経済的な理由で治療を諦めていた夫婦も、「子どもを授かる」という夢に挑戦しやすくなったと言えるだろう。長年、不妊治療を専門に患者に寄り添った診療を行い、日本生殖医学会生殖医療専門医の資格を持つ「いしかわクリニック」の石川元春院長に、不妊症の定義や受診のタイミングなど、不妊治療について話を聞いた。
(取材日2022年9月12日)
目次
タイミング法、人工授精、体外受精と必要に応じて進めていく。先進医療にも取り組む
- Q不妊症とはどんな状態で、何が原因で起こるのでしょうか?
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A
不妊症とは性生活があるにもかかわらず、半年~1年たっても妊娠しない状態のことをいいます。かつては女性に原因があるとされてきましたが、現在は4~5割ほどの割合で男性にも原因があるといわれています。女性の場合は排卵が起こりにくい、卵管が詰まっているなど、男性であれば精子の濃度が薄い、動いている精子の割合が低いなどが考えられます。当院では、ホルモン検査や卵管検査、精液検査など各種精密検査を行い、ご夫婦ごとに合わせた治療計画を作成します。中には「ずっと生理がないので妊娠できない」と思い込んでいる方もいますが、排卵を促すことで妊娠につながるケースも。まずは専門の医院に訪れ、相談することが重要です。
- Qどのようなタイミングで、受診を検討すべきでしょうか?
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A
先ほど申し上げたとおり、性交渉があっても半年~1年妊娠しないなら一度受診してみましょう。また女性の年齢もポイントで、「子どもが欲しい」と思ったタイミングが「35歳」かどうかは一つの目安。なぜなら女性は若いほど妊娠しやすく、35歳を過ぎると妊娠率が急激に下がり始めるからです。受診が1年遅れるごとに最終的な妊娠率は低くなりますので、35歳以上の方は性生活がありながら半年ほどたっても妊娠しない場合、早期受診が推奨されます。また、35歳未満でも月経痛が強い、月経不順など気になることがあれば、1年を待たず早めの受診を。不妊治療はご夫婦で取り組むもの。2人の気持ちがそろったらすぐに来院いただきたいですね。
- Qタイミング法について、患者が知っておいたほうがいいことは?
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A
「タイミング法」は最も妊娠しやすいと予想されるタイミングで性交渉する方法です。そこで大切なのは基礎体温計測で排卵日を把握すること。最近は「ストレスになる」として実施しない医院もありますが、当院では自然に近い形での妊娠をめざすために、治療をステップアップしていった場合でも、毎日の検温の継続をお願いしています。排卵日を予測するだけでなく、投薬や検査の時期といった治療計画を立てる際にも役立つからです。また、妊活中の性交渉は月1回というご夫婦がいらっしゃいますが、精子はリフレッシュしたほうが妊娠しやすいとされます。タイミング法当日にリラックスして臨むためにも、普段から性交渉は持たれるのが良いでしょう。
- Qこちらの医院の人工授精と体外受精の特徴は何ですか?
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A
採取した精子を子宮に注入する人工授精は、適切な排卵誘発と良好精子を選別・濃縮などで妊娠率アップをめざしています。体外受精では母体の負担が大きい採卵を最小限にするよう、1回で5~10個の採卵をめざして排卵誘発を行い、母体の負担をできる限り抑えられるようにしています。また当院は、先進医療である「タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養」を行うための医師と施設の基準を満たし、積極的に取り組んでいます。これは、培養中の個々の胚をタイムラプス法という一定間隔で撮影・映像化してモニタリングしていく方法。受精卵を培養器から取り出さずに胚の評価を行っていくことが可能となる技術を用いています。
- Q先生が不妊治療を行う際に大切にしていることを教えてください。
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A
当院では「できるだけ負担の少ない治療」「自然に近い形での妊娠」をめざしています。タイミング法から始め、人工授精、体外受精と徐々にステップアップしていきます。一方で自然に近い形での妊娠が難しいと判断した場合は、早期に体外受精や顕微授精などをご提案。年齢制限や回数制限を設けることなく、患者さんに意欲があるうちはできる限り治療を提供していきたいと考えています。また2022年4月より、年齢・回数などに制限はあるものの、人工授精・体外受精・顕微授精などの治療が保険適用対象となりました。これにより「特別な治療ではない」と前向きに捉える患者さんも増えており、心理的なハードルも下がったと感じています。
自由診療費用の目安
自由診療とはタイムラプス撮影法を用いた受精卵・胚培養/3万円(採卵数17個以上は+1万円)