インスリン投与を先進デバイスで管理
患者に合う1型糖尿病治療を
池渕クリニック
(大阪市平野区/出戸駅)
最終更新日:2023/02/01
- 保険診療
インスリンが十分に働かないために、血液中のブドウ糖(血糖)量が増えてしまう糖尿病。1型糖尿病や2型糖尿病などのタイプがあるが、どういった場合も血糖値が高くなると腎症や網膜症などの発症、放置していると心臓病や脳卒中など大きな病気にもつながるため、日頃からの血糖値コントロールは欠かせない。「近頃はさまざまな糖尿病管理に関するツールが登場し、治療にも取り組みやすくなっています」と話すのは、大阪市平野区の「池渕クリニック」院長の池淵元祥先生。30年以上にわたって糖尿病治療に向き合ってきたベテラン医師だ。専門クリニックならではのきめ細かなサポートとともに、スマートフォンやパソコンと連動したアプリやデバイスを活用して時代に合った治療法を提供する池淵院長に、先進の糖尿病治療について詳しく教えてもらった。
(取材日2022年6月23日/情報更新日2022年12月20日)
目次
血糖値データは24時間測定しクラウドへ。より細かなインスリン投与で患者のQOL向上を期待
- Qこちらのクリニックで行う糖尿病治療について教えてください。
-
A
投薬に加え、食事や運動の指導などを組み合わせ、患者さんごとにメニューを設けて治療します。管理栄養士による食事のアドバイス、エルゴメーターなどを用いた個別運動指導、ヨガ教室開催による集団運動指導のほか、健康管理アプリ、日常血糖管理に関する先進デバイスも積極的に導入し、日常生活における糖尿病管理にも注力。これまで30年以上糖尿病に携わり、多くの患者さんと向き合ってきましたが、糖尿病治療は、一人ひとりに合った治療法を見つけることが何よりも大事だと感じています。糖尿病は管理を怠ると心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気を発症することも。町のかかりつけ医ならではのこまやかで温かいサポートも大切にしています。
- Qアプリを用いた健康管理のメリットについて教えてください。
-
A
大きなメリットは、日常生活で注意すべきポイントが具体的にわかることでしょう。血糖、血圧、体重、運動量、食事のデータは自動でデイリーグラフ化され、クラウドにアップロードされます。またデータはクリニックの医師や看護師、管理栄養士と共有されるため、血糖値の変動に照らし合わせながら、食事やダイエットの指導がしやすくなります。患者さんも「糖質の取りすぎや脂っこい食事に気をつけよう」「もっと運動を頑張ってみよう」と生活改善に取り組むきっかけになります。
- Qデータマネジメントシステムを使った治療とはどんなものですか?
-
A
例えば、インスリン療法を行っている患者さんは、従来血糖測定に関しては指先穿刺をして血糖値を日に何回か測定後血糖管理ノートに記載し、外来受診時に主治医と相談した後インスリン量を調節していました。現在はFGM(フラッシュグルコースモニタリング)という専用の間質ブドウ糖測定センサーを皮膚に貼りつけることで、血糖値を継続的に測定し日々の血糖値の変動や、これまで不明だった夜間の低血糖も確認することもできます。さらにクラウドにデータをアップロードすることで医療関係者と連絡を取り合いながら、インスリン注入量を調節することができるようになり、迅速に日常生活において良好な血糖コントロールを得ることが望めます。
- Qそれ以外にも、さまざまな治療法を取り入れているそうですね。
-
A
近年、従来のインスリンポンプと比べ基礎インスリン注入量をCGM測定値をもとに自動的に調整する機器により、厳格な血糖コントロールと低血糖の予防が可能になりました。インスリンポンプのデータをアプリを用いてアップロードすると診療所にもデータが共有され、日常生活における血糖が安定するまで頻回に来院していただかなくても、ウェブ診療でインスリン注入量の調整を行うことができます。食事摂取時の糖質量をアップロードしていただくことで、医療関係者と相談のもと、時間ごとの糖質/インスリン比を決定することができ、1型糖尿病や2型糖尿病でもインスリン注射が欠かせない方にとって、QOL(生活の質)向上に大きく役立ちます。
- Qクリニックでの治療の流れについて教えてください。
-
A
初診で受診された場合には、まず糖尿病と合併症に関する検査をし、その結果を見ながら治療方針を立てていきます。糖尿病治療では食事と運動の管理が特に重要になってきますから、診察後に管理栄養士から栄養指導を受け、生活習慣改善を心がけていただき、それでも血糖コントロールが難しい場合は、経口薬療法を行います。内因性インスリン分泌が低下している場合、インスリン療法や週1回のGLP-1受容体作動薬の注射に関する指導も、外来で看護師が行っています。当院では週に1回、院内のスタッフや薬剤師も参加するカンファレンスを開いて患者さんの情報を共有し、チーム医療で個人の糖尿病管理をサポートすることにも力を入れています。